万城目学のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『あの子とQ』続編。
バス事故から怪我もなく復帰したヨッちゃんを不審に思うスサミン。
カウンセリングに現れた男。
ヴァンパイヤが営むピッツェリアに現れたカナダ人オーエン。
ヴァンパイヤ高校生弓子の周辺のお話3編。
*
ヨッちゃん最高!
前作ですでにヨッちゃんの大ファンとなっていたので、ヨッちゃんが登場しただけでニマニマしてしまった。
…ヨッちゃんには成瀬的な匂いを感じてしまう。
どこまでもついていきたい。
それにしても、大いなる展開につながりそうな、絶妙なバランスの3編だった。
インタビュー記事で『Qの続編を書きたい』とあったので楽しみに読んだのだけど、本当の続編は「O」ではなく、この次の作品になりそうと勝手に予測した。
そしてQの片鱗も…?
現代(ではなくても)、生きにくい性のヴァンパイヤたち。
どうか少しでも「普通」の幸せを感じられるといいな。 -
Posted by ブクログ
軽妙でありながら、手に汗握る緊張感もありつつ、とにかく疾走感に溢れた純度100%のエンタメ作品。
主人公は今度17歳の誕生日を迎える普通の女子高生…………として暮らしている吸血鬼・弓子。
吸血鬼と言っても世代を経て変質したようで、太陽の光の下で人間社会に溶け込んで暮らしている。当然、人の血も吸わない。
そんな弓子の前に、ある日突然得体の知れない物体が現れる。曰く、17歳の誕生日に行われる「脱・吸血鬼化」の儀式に向けて、血の誘惑に負けないか監視に来たのだという––––
ほんわか平凡な日常系小説としてスタートするも、当然それで終わるわけではない本作。とにかく印象的だったのは、場所・場面の描き方が非常に鮮烈。
主人公が今いる場所やシーンが不思議と目の前に立ち上がるような…いや、自分がそのシーンに入り込んだかのような感覚を受ける。
そして、それぞれの情景が割とガラッと切り替わることが、本作のテンポの良さ、緩急を生み出しているように感じた。
もちろん、ストーリー自体の面白さ、キャラクター同士の軽妙なやり取りも貢献しているが、とにかく映像的な効果が印象的で、あたかも2時間ものの映画を観るが如く、一気に読んだ。
惜しむらくは、肝心要の部分の種明かしがないままに話が終わってしまうところだが………まあ、種明かしがあってもそれはそれで取ってつけたように感じちゃうのかな。
しっかりと記憶に残る上質なエンタメ小説。