あらすじ
京都が生んだ、やさしい奇跡。
ホルモー・シリーズ以来16年ぶり
京都×青春感動作
女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。
京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは――。
今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
人生の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る傑作2篇。
大学時代を京都で過ごした万城目学さんが『鴨川ホルモー』でデビューしたのは2006年。その後も『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』など、独自の世界観と鮮烈な感性で私たちを驚かせ続けてきましたが、意外にも京都を舞台にしたのは『ホルモー六景』(2007年)が最後でした。
その万城目さんが16年ぶりに京都に帰って来ます。収められた2篇はそれぞれ、女子高校生と男子大学生を主人公としたド直球の青春小説。まさに「ホルモー」シリーズの万城目学、再来!とも言えますが、「ホルモー」が途轍もない勢いを感じさせる作品だとしたら、本書は瑞々しい感性はそのままに、しかしどこか成熟の匂いがします。
京都で起こる奇跡のようなフシギな出来事が、私たちの心の中にじんわりと優しく、同時になんとも切ない感情を呼び起こすのです。青春とは、人生とは、こうしたものかもしれない、そういう名状しがたい感動が心に拡がります。もしかすると、これまでのどの万城目作品にもなかった読後感かもしれません。
鮮烈なデビューから17年。いまふたたび、万城目学に「再」入門してみてはいかがでしょうか。
感情タグBEST3
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『なぁ、俺たち、ちゃんと生きてるか?』
《八月の御所グラウンド》の中で一番刺さった台詞はこれかな。
2つの意味で取れる言葉だよね。どんな2つの意味かは、読めばわかるはず。
《十二月の都大路上下る》
すごい方向音痴の女子高生サカトゥー、駅伝の補欠だったはずが突然出場することになり…
万城目学の小説にしては、どちらもコテコテさは薄めで、読みやすい入りやすい世界。
Posted by ブクログ
万城目学さん初めて読みました。
直木賞や芥川賞という作品で自分と合う物はあまり多くないのですが、こちらはとても面白く読めました。
「十二月の都大路上下ル」
女子全国高校駅伝のお話。京都の都大路をピンチランナーとして走る事になった1年生ランナーが沿道で目撃した物とは…
「八月の御所グラウンド」
早朝の御所グラウンで行われる「たまひで杯」という大会に借金のカタに参加する事になった大学生が共に戦ったチームメイトの正体とは…
まず文章がとても読みやすかったです。内容も途中から思わぬ展開が待っていてどんどん引き込まれました。沢村栄治…フルネームまでは知らなかったですが、野球の沢村賞は聞いた事があったのでWikipediaで検索してしまいました。
不思議な体験はしたことないけど、こんな体験ならちょっとワクワクしますね。
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直木賞受賞作
とても良かった。高校女子駅伝部の大会のお話は、少しグッときて涙が浮かぶような青春の輝きが感じられた。
表題作は、クラブのママの名前を冠した野球大会で、学生や友人をかき集めてなんとか試合をするお話。大学卒業のためには優勝するしかないのだが、素人も混ざって毎回人数集めだけで四苦八苦する。ようやく集まったメンバーは、実は戦前の大学生だったという、万城目ワールドな展開。真夏に朝6時から集まって、知らない人たちと試合をする楽しさ。想像だけはできる。
一気読み
標題作と「十二月の都大路上下ル」の2作品、どちらも心に滋養を与えてくれるサプリメントのような作品でした。特に「十二月〜」は続きが読みたくなるほど、短編なのに登場人物が全員魅力的でキャラ立ちしていたので、長編小説として膨らませていただきたいほど、この世界観から離れるのが惜しい気がしていました。いずれの作品も読み始めたら止まりません。文章の読みやすさもさることながら、テンポ、ユーモア、エピソードのバランスも絶妙で、読後に地理や歴史を確認する楽しみも付加されてます。最近の直木賞作品は重厚骨太な作品が多いように感じていましたが、軽やかで爽やかな中に込められているメッセージは、読書離れと言われている時代にこそ求められる作品であるように思いました。万城目ワールドのますますのご発展を期待しています。
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真夏の草野球大会、そんなの集まるわけないというのに、なぜか毎年、成立しているという不思議。あの人の正体があの人だって気づいたとき、野球好きとして、嬉しくなった。
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万城目さんのいつものコミカルな感じから始まって、考えさせられるシリアスな展開になり、ギャップが素晴らしかったです。こういうのも書けるのであれば、いつもの万城目ワールド全開の小説はなんなんだ、、。万城目さんに対して興味は尽きないです。
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爽やかな読後感。新撰組が駆け回り、かつての青年たちが草野球に興じる。京都ならそんなこともあるかも?と思わせる情景が脳裏に浮かぶ。
くだらないことをふざけて書くこともあるし、くだらないことを真面目に書くこともあるし、真面目なことを真面目に書くこともある万城目さん。この本はそれがとてもいい塩梅に出来上がっていました。歴史(特に京都の)とは、様々な人たちの人生の堆積そのものなのだなぁと深く感じ入った次第です。
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令和の現代の話なのに「京都」というフィルターが掛かるとノスタルジックな気配が漂ってくるのが万城目さんらしいですね。
「十二月の都大路上下ル」は高校女子駅伝の話。本編では「駅伝」が一選手からの目線で語られる。しかも補欠の1年生が突然アンカーに抜擢されるという展開にハラハラドキドキ。そこに現代には存在しない幕末のあの人々が何故かふっと現れて…。「駅伝」を描いた三浦しをんさんや池井戸潤さんらの作品とはまた一味違った面白さ…。
表題作の「八月の御所グラウンド」は草野球の話。夏の京都はそれこそ殺人的な暑さに目も眩みそうになる。そんな早朝のグラウンドにメンバーなんて集まりそうもないのに、何故かプロ野球草創期のあの人が「草野球」を楽しむためにやってくる。あ、これは『フィールドオブドリームズ』の京都版か…?
これはもうホント、一気に読み切ってしまいました。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作ということで巡り合った本作。
読み易くさらっと読めたけど、京都の情景が目に浮かぶような作りで心に残った。
万城目学氏の他の作品も読んでみようと思った。
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駅伝と野球を題材に、中編の二部構成となっている。
二話とも少し不思議な体験が絡んでいるものの、感想は、爽やか、である。
駅伝の方は、なぜ新選組?と思いつつ、新選組好きの私としては、思いがけない登場で嬉しかったが、新選組でなくてもいいわけで、もうちょっと深い仕掛けがあったほうが面白かった。
野球の方は、戦時中の若者が助っ人として登場するという話だが、飲み屋のバイト明けで絶賛二日酔いの現代の若者と戦争に動員される運命にある当時の若者が、同じチームで野球をする。同じ若者なのに置かれている状況の違いに考えさせられるものがあるが、野球を介すことで、そこまで重たく引きずられるわけでもない。なんだか、すごい仕掛けなのかもしれないと思った。
万城目学の小説を読むのは2冊目で、万城目学に限らず、文章の癖、みたいなものは作者の個性なんだなぁと、思いながら楽しんだ。
小説の帯にある、感動や感涙は全く感じなかったが、中編なので、軽くさっくりと楽しめた。
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読み始めたのが7月末、8月の〜と言うタイトルにに惹かれて読んだのですがこの時期に読めてなんだか良かったと思えました。
京都を中心に巻き起こるファンタジーは、行った事もない見たこともない景色や匂い感じさせてくれたり、優しい気持ちになったり切ない気持ちになったりすごく私に合っている作品とも感じました。
2025年7月29日
Posted by ブクログ
八月に読むべきだった。ジリジリと暑い大文字焼きの頃終戦記念日の頃に。
駅伝の物語から始まり、草野球のメインストーリーへ。関係ないようで微妙に繋がっている。
方向音痴の駅伝ラストランナー、サカトゥーが疾走する横で、新撰組が刀を振り走る。
笑った。
御所Gでは、クラブのママのちゅーのご褒美獲得を目指して、30年間真夏の野球大会が続いている。
『フィールドオブドリームス』を彷彿とさせ、余韻が良い物語。万城目ワールドにハマり込み、『しゅららぼん』読み直したくなった。
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アメリカのユダヤ系作家、バーナード・マラマッドの「Natural」(汚れた白球)やケビンコスナーの「フィールド・オブ・ドリームス」を思い出した。
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目次
・十二月の都大路上下(カケ)ル
・八月の御所グラウンド
タイトル作が直木賞受賞作であることは、忘れていた。
でも、読み終わった時「狙いに行ったな」と思った。
万城目くんの真面目路線は嫌いではない。
もちろんゲハゲハ笑える愉快路線も大好きだが、少し切なくてビターな読後感の真面目路線の読後感は結構癖になる。
『とっぴんぱらりの風太郎』なんて、未だにひさご様を思い出したら泣きそうに切なくなるくらい。
しかしこの作品、そこまでの感動はなかった。
もちろん少し切なくてビターであるこの作品に、じんわりとした感動を覚えはしたけれど。
でも、何か違う。
何度も直木賞に挑戦して、講評を受け止めて、受け入れられるように調整したのではないだろうか。
万城目学特有の、そこはかとない可笑しみが絶対的に足りない。
もう、直木賞取っちゃったんだから、リミッター外していこう。
だって、彼はそれができる人だから。
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「六月のぶりぶりぎっちょ」を読んだ後に、「八月の御所グランド」のシリーズだと知り、こちらも読みましたが、話的には、つながってはいなかったです。
京都が舞台で歴史上の人物達が現代に紛れ込んでくるお話のシリーズって感じかな?
「十二月の都大路上下ル」と「八月の御所グランド」の2篇。
どちらも良かったですが、「八月の御所グランド」は、ちょうどお盆の今、読んだこともあり、こんなことあったらいいなと思う話でした。
最後、どうなったのかなぁと思わせる終わり方も良かったです。
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万城目学さん、初めて読みました。
空気感を書くのが上手く、読み手もそのコミュニティの一員のような目線になって読める文章だなと感じました。
表題作、伝えたいメッセージを書いたところで潔く終わっているのが凄い。
潔く終わっているんだけどしっかり余韻もあって、パタンと本を閉じ、あ〜いいもの読んだな、としみじみする読後感。
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表題作と他一編で、さら〜っと読めました。
『十二月の都大路上下る』
女子駅伝のお話。
またここで会おう、と他校のライバルとの約束ができるってとてもいい。
『八月の御所グラウンド』
助っ人が頼りの野球大会のお話。
早朝の京都御所で不思議な体験をして、そこから知る事になる事実が悲しい。
どちらも主人公が、自分の生き方を見つめて成長するだろうな、と思えるお話でした。
この作品から過去作へと読んでいくのも有りな気がする、少しだけ不思議な万城目ワールドでした。
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直木賞のイメージがあったのでてっきり長編かと思いきや、かなり短かったのでスルッと読めた。前半の短編は一体、、?一瞬、繋がった部分があった気がしたが、思い出せず、チャットGPTに聞いてもわけわからんことばっかり言うので再読するかと思ったが、それも大変なのでやめた。不思議な読後感。
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『十二月の都大路上下ル』と『八月の御所グラウンド』の中編2作が収録されている。
直木賞ということで、まさに「大衆文学」だった。
読みやすさと温かい雰囲気、ファンタジー。
嫌な人が出てこないのも、いいポイント。
冬の京都と夏の京都。
よく聞く京都の「寒さ」と「暑さ」が小説の中でも表現されていた。私は、快適な気候の土地に住んでるから、「ここに住んでてよかったなー」なんて思いながら読んだ。それでも、最近はだんだん寒くなってきてツライ。
シャオさんみたいに、誘われたら野球やっちゃう女性に憧れる。憧れだけで、私は絶対に早朝野球はしないけど。
次、京都に行く時は「御所グラウンド」に行ってみよう。不思議体験を期待して。
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草野球が舞台のスケールの小さい「フィールドオブドリームス」です。
タイトルのより、駅伝女子高生のほうがファンタジー抜きでもストレートな青春もので良かった。
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万城目学さんの作品を初拝聴。
短編2話の構成で、1話目は女子高生の駅伝大会、2話目は草野球大会の話。
どちらも舞台は京都、かつ、歴史的な偉人が現実世界に現れ、それがリアルなのか不思議現象なのかがわからなくなるような展開で、ジャンルとして面白い。
題名にもなっている2話目の八月のの御所グラウンドはすごく面白いです。
2作目もあるようなのでこの勢いで読みます。
Posted by ブクログ
おなじみの近畿が舞台の二作。
ベタつき感のない青春モノと思わせておいての奇天烈ファンタジーが万城目ワールド。
でも今回はアッサリしてたような。
もう少し引っ張るというか掘り下げるというか食い下がるというか。ちょっぴり物足りなさを感じました。
でも、キュッと胸にくるところもあり。
ただ、文にもありますが、尋常じゃない暑さの京都で、夜とはいえ、そんなに冷静に喋っていられるものか??と疑問。若さかな。
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京都にゆかりのある亡くなった人達によって、スポーツで実力よりも少し上の力を発揮できた2つのお話。
方向音痴の女子高生の、憎めない愛されキャラ感が、可愛らしくて好きだった。
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都大路を走る全国女子高校駅伝中に新鮮組が亡霊として走ったり、京都の御所グラウンドでの草野球に沢村栄治が参加する奇妙な青春物語。
万城目学氏の本はいくつか読んで、物語のスケールの大きさに感動したけれど、今回の本は短編2作ということもありそういうものではなかった。
内容で気になったのが、
「十二月の都大路上下ル」で新鮮組の亡霊が出てくるが、何故ここに新選組が出てくるのかが分からない。例えば、駅伝当日が池田屋事件があった日だとか。。
「八月の御所グラウンド」で沢村栄治が出てくるが、何故ここに沢村栄治が出てくるのか、沢村栄治でなければならないのか。。
等々、直木賞受賞作ということで楽しみしていたが、疑問が残り期待外れだった。それとも私の読解力不足??
Posted by ブクログ
京都を舞台にした二篇からなるお話。知った土地の名前が出るとその時主人公が見たであろう景色が容易に想像できる。京都は通り名があるからそれがわかりやすい。本のタイトルにもなっている二篇目は送り火に合わせたタイミングと相まって、どう言えばいいのか、心が澄むというか、静かに目を閉じたくなるというか、そんな気持ちにさせてくれる。実写で観てみたくなる。
Posted by ブクログ
表題作の感想。
エンターテインメント作品で
読者年代、時季、地域文化への親和性が
マッチすると非常に楽しめるものと
感じた。
自身は京都に住んでいた時期もあり
楽しめた作品ではあるが
もう少し長編で、ひと盛り上がり
あってもよかったかな。
ただ建勲神社からの大文字送り火は
見たいと思ったし、そこからは
妙法も見えるのではと
勝手に考えている。
Posted by ブクログ
京都の少し不思議な女子駅伝と野球のお話。
本当にそのスポーツチームに入ったように没頭できて楽しかった。
お盆だからなのか、京都だからなのか。それともよく起きることなのか?
こんなことが自分にも起きるかもしれない、
今まで時を超えて出会えた人がいたのかもしれない、
と思わせてくれるとても素敵な話だった!
シャオさんが誰よりも男気溢れてたかも。シャオさんの勤勉さと行動力と向上心、どれも見習いたい!
万城目氏には直木賞取って欲しい
高校時代陸上を経験し、京都で学生時代を過ごした自分にとって前半部は非常に感情移入して読む事が出来ました。サカトゥーのキャラクターや走ることができなかった先輩、代走に選ばれなかった同級生の思い、ライバル校のアラガキ先輩とのやりとりの部分は熱い想いが込み上げ涙が出てしまう部分がありました。
鹿男の剣道の試合もそうでしたが、万城目さんはスポーツの試合の描写がすごく臨場感があり面白いと感じます。
ただ強いて突っ込ませて頂けるならなぜ新選組が一緒に走っていたのか?そこの部分が少し納得行かない部分がありました。
坂東という名字が多摩出身の新選組と関係しているのか?坂東のご先祖様が心配して併走してくれていたのか?それともなんの関係もないのか?そこの部分がもう少し物語と絡まっていたらより良かったと思います。