松崎有理のレビュー一覧
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前に出版された『シュレーディンガーの少女』が良かったので、最新作のこちらの短編集も読んでみた。
先に巻末付録の「作中年表」を読むことをおすすめする。何の説明もなしに「撤退宣言」とか「モラヴェック」といった言葉が出てくる。この年表に基づいた、人類が都市を放棄して、リモート暮らす世界を描いている。つまりは、連作短編集のような体裁となっている。いや連作短編集と言っていいのだろう。
表題作は、鉄道としては廃止された山手線が円形加速器に再生され、さらに自意識を与えられるという話。加えて中央線が直線加速器になっている。さらにその1年後を描いた一編もあり、アイディアとしては秀逸。 -
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ネタバレディストピア小説の短編集。
六十五歳デス
紫と桜のバディ。おばあちゃん、というには若い65歳の紫は、元スリだった桜に生きる術を伝える。活劇っぽい感じが良かったし、紫も桜もカッコ良かった。
65歳前後で亡くなるのが分かっていることがディストピア的ではあるけど、現実を見てみると、これって案外いろんな問題解決ができるんじゃないの?とも思ってしまいました。倫理的には問題なんだろうけど。
太っていたらだめですか?
太っている人を排除するっていうのが政府の方針だったら恐ろしい。
ただ、この政府の方針はどうかと思いますが、ストーリーとしてはおもしろかった。女性3人は生き残ったけど、男性2人はサメに食べられてしまったのか?どうなんだろ?
このエンディングはなんとなくハッピーエンドな感じ。男性2人はバッドエンディングですが。
異世界数学
世界は数学でできているってことを教えてくれるストーリー。良かった。
2次方程式の解の公式ってそういうことだったの?って。そういうことだったのか!って教えてもらいました。ま、今更感いっぱいですが(笑)。
この物語を、高校生の時に読んでいたら、高校数学が好きになっていたのかも、と思えたのが良かった。エンディングも良い感じでした。
秋刀魚、苦いかしょっぱいか
そう遠くない未来に本当に起こりそうなストーリー。
このストーリーの近未来では、フードプリンターなる料理をコピー?する機械が登場しますが、本当にこういのができそうだな。
とは言っても、失われたものを復元するのは難しいと思うので、食べ物、食材、資源、文化など大切にしたいなぁ、と思いました。
ペンローズの乙女
サヨとヨーイチの淡い恋の話。だけなら良かったんですが、このサヨは島で一番の美少女。この島では舟を新しく作るときは、美少女の命と引き換えなければならないっていう掟がある。美少女の命を神に捧げるらしい。
なんだかなあ。ヨーイチがセリフで「神は人間か」みたいなことを言っていましたが、結局そんな感じなんだろうな。たぶん権力者の都合だろうなぁと思いました。
世の中はたくさんの犠牲で成り立っているとも言えるなぁ、と思いました。
シュレーディンガーの少女
ちょっと理解するのが難しかった。
ただ、人工知能AIが格段に進化したら、友だちがいなくて寂しい思いを抱えて生きている人も救われるのでは?と思いました。
でもそういう社会は最終的に、人工知能AIだけの社会になるんじゃないの?とも思うので、それはそれで破綻してますね。
いずれにしても人工知能と人類の関係はどうなるんだろう、と考えさせられました。
「異世界数学」「ペンローズの乙女」「シュレーディンガーの少女」は数学とか理科とかの知識があればより楽しめると思いました。
手の形の痣とかイレズミ、アップリケ、ロゴマークがどのストーリーにも出てきますが、何かの比喩なのかな?内容からは読み取れませんでしたが、なんとなく意味がありそうで気になりました。
絶望的なストーリーとかエンディングばかりなのかと思いましたが、それほどでもなく、ちゃんと希望もあるエンディングのストーリーもありました。
おもしろかったです。
別の松崎作品も読んでみたいと思いました。 -
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今回のアンソロジーは読みやすい作品が多かったように思える。あくまでも個人の感想であるが、世界観をぱっと理解できる短編揃いなのだろう。個人的に印象に残った作品は2つ。「メタモルフォシスの龍」(空木春宵)は個人的にはあまり好きではないジャンルなのだが、恋に破れると蛇化する女性と蛙化する男性、特に蛇化する女性の描写が生々しくも切ないのが良い。「されど星は流れる」は系外流星を流星同時観測の手法で探索する物語。科学を一生懸命やる話は私の好物である。遠くにある流星の母星と少し離れた観測者の男女の物語が接触しそうでしなさそうな、流星が地球をかすめていくような感じでよい。
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東京創元社が、社名の「創元=GENESIS」を冠して二〇一八年に刊行したSF書き下ろしアンソロジー第一集。各作品の前に編者による洒脱な紹介コメントも寄せられていて、「日本の現代SF小説界、作家も出版社も一丸となってこんなメンツで盛り立てていきますぜ」という顔見世興行的な気合いの入りようが感じられる。今のところ二〇二一年の第四集まで毎年刊行が続いているようだ。
SFに限らず同時代の作家の好きと思える小説に出会えることには、古典名作を楽しむのとはまた違う喜びがある。創元さんの四年前のお薦め、彩り豊かで「ぜんぶ好き」とはいかないが、これだけいろいろ並べて出してくれたことにありがとうという気持ち。
以下、備忘メモ。
■久永実木彦『一万年の午後』
聖典(ドキュメント)に従い「特別」を作らないことにこだわるマ・フたち。マ・フとは、人類が遺した人類そっくりなロボット。
■高山羽根子『ビースト・ストランディング』
ちょっとよくわからなかったけど、木綿が人類を救った?(違)
■宮内悠介『ホテル・アースポート』
やっと読みやすいのがきた。SFなのにミステリー。弦楽器や香水もいい味出してる。
■秋永真琴『ブラッド・ナイト・ノワール』
王族とかヴァンパイアとか、ラノベっぽい。でも嫌いじゃない。好みが似てたのか(眼鏡とか)。片仮名タイトルが続くなあ。
■松崎有理『イヴの末裔たちの明日』
ここまででいちばん好き、王道の、すぐそこの近未来らしさ。AIに次々と仕事が奪われる時代、「人間にできる仕事」というキーワードで求人検索する主人公の姿が、なかなか笑えない。
■倉田タカシ『生首』
不条理もの。夢みたいな目まぐるしい混沌。意味はわからないけど不思議に好き。
■宮澤伊織『草原のサンタ・ムエルテ』
(未読)「本格的近未来アクションSF」とのことだが、私の頭にはぜんぜん入ってこなくてギブアップ。みんな大好きらしいガンダムが私にはぜんぜん見られない感覚と似ているが、この作品がガンダムと似てるかどうかは知らない。
■堀晃『10月2日を過ぎても』
トリは大御所らしい。しかも大阪SFというジャンル?らしい。高齢者ばかりになったマンションの理事をしてる設定もリアル。でもちょっと受け止めきれなかった。 -
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なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。
2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。
第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。
「おまかせ」とは言え、オードブルからデザートまで全てパイ包み焼きだったらイヤだし、全部がココナッツ風味だったらもっとイヤな訳です(笑 たとえ、どれも単品としては超美味しかったとしても!
その意味では編集者(本著エッセイで言うところの「アンソロジスト」)の役割は非常に大きく、しかも料理とは違って、「これはケーキだからデザート」的な情報は当然無い訳ですし、そもそもデザートが最後とも決まっていない訳です。
本著は、何と言うか…そこらへんの並びが非常に良く、飛び抜けた1皿は無くても、バランスの良いコースで、そこにまずお見事感がありました。
その上で、個人的に好きな1編を挙げると、「痩せたくないひとは読まないでください。」でした。
※第1集のレビューで挙げた1編と同じ著者さんだったコトには今見返して気付いたので、自分はこの著者のスタイルが好きなのかもしれません。長編読むか…。(というコトに気付けるのもアンソロジーの良いところですね(気に入った著者の名前くらい覚えとけというツッコミもありますが…))
99%あり得ないだろうと思う未来の社会。でも、1%くらいあり得るんじゃないか、と思わされるのが面白いところ。本編では、「太ってると会社を辞めさせられ、殺されかける社会」という、恐ろしいながらも完全にあり得ないとは言い切れない気がするもの。
文章に通底する雰囲気がどうにもユーモラスで、少しブラックユーモアっぽい感もあるのですが、同時に考えさせられるというのが、個人的にツボでした。
続巻も読んでいきたい、良質なアンソロジーだと思います。 -
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2018年末に刊行された新しめの日本SFアンソロジー。短編8編+エッセイ2編が収録されています。
アンソロジーを読むこと自体、ちょっと良い(と見込んだ)食事処にぷらっと入って「おまかせコース」を頼むようなもので、満足したい気持ちと、意外なものを味わいたい気持ちが同居していると思います。
個人的には両ポイントともにちょうど良い感じの1冊でした。編集者の匙加減の素晴らしさもあるんでしょうが、SFというジャンルの中での振れ幅もなかなか心地良かったと感じました。
(正統派SFもありつつ、一見ファンタジーでは?日記では?となる作品や、突き抜けたシュールさの作品があって、色彩豊かでした)
1編挙げるとすると、個人的には「イヴの末裔たちの明日」が面白かったです。AIに仕事を奪われ、ベーシックインカムで養ってもらう世界を舞台に、「これから人間にできるのは新薬治験くらい」というネットの書き込みを見て治験ボランティアを始めた主人公は…という話。
結末を読んで、こういう世界は本当にあり得るよなぁ…と思いました。でもそれはユートピアなのかディストピアなのか、正直悩んでしまいます。
あと、個人的に短編を読むときに気にしているのが、どれだけ早くその短編の世界を理解できるか、です。
別に早い方が良い訳ではなく(遅すぎると短編だと終わってしまいますが…)、書き出しに個性が出ると言うか。割り切って説明調で書くケースもあれば、最初に象徴的なパーツを掘り下げて書くケースも。
本著を読んで感じたのは、前者のような親切かつクイックな、ある意味ラノベ的な書き出しもアリだなぁというコト。時代に合わせた変化なのでしょうか。
各短編それぞれの個性が組み合わさった、面白いコース料理でした。
次巻も読んでいきたい、出版元の矜持を感じる作品集です。 -
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三年以内に一定水準の論文を発表できない研究者は即解雇-通称『出すか出されるか法』
大学及び教育研究機関で施行された法律により、需要が急増している論文代筆業。新人代書屋の『ミクラ』は、大学教授の難題に悪戦苦闘しながら、脳内神の『アカラ様』に語りかけていた。
「僕のしあわせはどこにあるんでしょう」
ちょっと頼りなく、惚れっぽいのが玉にキズのミクラ。彼の恋模様(ほとんど始まる前に終わってしまうけど)も気になるけど、論文テーマも中々興味深い。
そそて、空気も行間もよめない、ただ見守る事しかできない『アカラ様』の存在が、なかなかクセになってくる。 -
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武漢ウイルス蔓延により、はからずも数多の余剰時間が出来まして。
ひさぶりに本でも読もうかなぁ?と。
でも?いきなり中長編はなぁ?と。
ぢゃあ!星新一先生!てのも短絡。
アンソロジーやショート集を読みたいな?と本著に出会い、田丸雅智さんをはじめショートショートの旗手の方々にも出会いました。
ワンルーマー
Dogcom
工場散歩
山へ帰る日
鞍の上で
天文学者の受難
ラプラスの兄妹
砂漠の機械工
ドルフィンスーツ
つなげる思い
田丸雅智先生もですが、特に松崎有理先生の書に好感を覚えました。
峠も越えた感有る武漢ウイルス。
あと少しの?のんびり期間?
数多の書籍を楽しみたく思います(=´∀`)人(´∀`=)
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SF。短編集。エッセイもあり。
これは良い企画。5年、10年と続いてほしい。
久永実木彦「一万年の午後」
人類絶滅後のロボットたち。綺麗な文章が印象的。
高山羽根子「ビースト・ストランディング」
怪獣を持ち上げるスポーツ。相変わらず奇妙な設定が持ち味。好き。
宮内悠介「ホテル・アースポート」
SF設定でのミステリ。ミステリとしては小粒だと思うが、上手くまとまってる。舞台設定が良い。
秋永真琴「ブラッド・ナイト・ノワール」
吸血鬼&マフィアもの。ラノベやマンガぽさが強い。成田良悟『バッカーノ!』風な印象。好き。
松崎有理「イヴの末裔たちの明日」
近未来の技術的失業。リアルなテーマを、静かな文章でコミカルに描く。作者らしい。好き。
倉田タカシ「生首」
かなりの異色作。自分はついて行けなかった。
宮澤伊織「草原のサンタ・ムエルテ」
SFアクション。『裏世界ピクニック』のイメージが強いが、こんなのも書くのか…。
堀晃さんは、日記風ということでスルー。