【感想・ネタバレ】シュレーディンガーの少女のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年12月29日

爆発的ではないけどジワジワおもしろい佳作揃い=かなり好みの面白さ。

この本を読まない世界、まだ読んでいない世界...どうなってるのかな。

本筋と全く関係ないけど、高校の描写が完全にあの場所でニヤリとしてしまった。

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Posted by ブクログ 2023年12月13日

はじめましての作家さん
タイトル通りめっちゃ好物の理系ディストピアです。
しかも、シッカリ物理学や数学を題材にしているのに、お話として成立していて楽しかった。
作者はこれまで男性主人公ばかり書いていたのに、この作品では全員女性主人公にしてトライしたそうです。
ディストピア✕少女✕理系=面白い
を、松...続きを読む崎有理の定理とします。

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Posted by ブクログ 2023年07月06日

満足度高めのSF短編集。SFぎらいでも読めた!どころか引き込まれた!

・六十五歳デス
完全ディストピアの世界観に強おばあちゃん入れて、漫画映えすごそう。読んでる間すごく脳内で映像化できた。紫さんかっこよすぎる。

・太っていたらだめですか?
いちばん血なまぐさいのに友情エンドでよし、とはならない。...続きを読む短いから箸休め的なギャグなのか?

・異世界数学
好き。キャラも立ってて小ネタも楽しい。
タイトルまんま。

・秋刀魚、苦いかしょっぱいか
視点をちょっと未来にすることで秋刀魚にノスタルジーを感じさせるの天才。秋刀魚食べたくなったしSFに地続きの未来を唯一感じられた。SF苦手でも触れやすい。

・ペンローズの乙女
孤島の少女に漂流少年が初恋、っていうと可愛らしいけど独特な因習が出てきて……で終わらない視点構造が好き。

・シュレーディンガーの少女
さすがの表題作。これ最後に持ってくることでいい感じに締まるしまとまりもいい。ガール・ミーツ・ガールAI、切ないこの読後感も無限の世界のひとつ……

面白かった!!

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Posted by ブクログ 2023年05月28日

ディストピア×ガールがコンセプトのSF短編集。最初の65歳で確実に死が訪れる世界で恰好良い老女が少女と出会う「65歳デス」や肥満者が公開デスゲームに強制的に参加させられる2話目「太っていたらだめですか?」はそうSF色は強くないけど、最終話の表題作と1話前の「ペンローズの乙女」は結構濃いSF。頭使った...続きを読む。どの話にも何らかの喪失があるがコミカルに纏まったり寂寥感が残ったりとバラエティ豊か。コンセプトは「65歳デス」が一番合致していると思う。これと生贄の風習がある島に流れついた少年の話から超壮大な世界に繋がる「ペンローズの乙女」の雰囲気が好み。失われた秋刀魚の味を再現しようとする少女の自由研究「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」そう遠くない未来に起きる通過点に自分が立っている気がしてならない。

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Posted by ブクログ 2023年01月31日

 未来の日本。はたまたパラレルワールドのニポーンか。いづれもディストピア世界を生きる女性を主人公にした短編集で、佳作ぞろいと言ってよいだろう。

 特に気に入ったのは、最初の「六十五歳デス」と最後の「シュレーディンガーの少女」。どちらも生と死を扱っている短編である。味わいと余韻を残す作品。

 著者...続きを読むはいわゆるリケジョであり、パートタイムの作家である。もっと作品を出してもらえると嬉しい。

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Posted by ブクログ 2023年01月10日

もしかして松崎有理(単独の本)を読んだのは初めてじゃないかな。これまで各種アンソロジーで、単発の短編を読んだことはあるが、一本筋の通ったテーマ(ディストピア×少女)で文庫本に纏めたことは実に興味深い。

プロフィールを見たら、なんと大学の後輩だった。しかも水戸一高出身とは王道の進学コースだな。理学部...続きを読むという事だから、典型的かつ完全なる「リケジョ」。他の作品のことは判らないが、リケジョのSFであれば、作品に科学的なバックボーンを必須で入れ込んでいるだろう。マニアには確実にうけるが、一般人に対してはそれが足枷にならないか少々心配。まあ、SF小説だからSF好きな人に多く読んで貰えればそれで良し、何ら問題ない。変に、百合とか、ジュブナイルとか、アニメとか無理に意識・迎合しなくても構わない。女性ハードSF作家でいいじゃん、いや、今の時代、女性という冠を付けちゃいかんな、反省!次は東京創元社創元日本SF叢書01の「あがり」を読もうかな。

それでは、謹んで各作品の書評を記す。
〇 六十五歳デス
老いてある歳になると死ぬという設定はこれまでにもいくつか聞いたことはあるが、死ぬまでにやることのノルマを自分に課すという考え方が面白い。計画的に死を迎えるって、ちょっとパッシブ人生だけど、ここでは死ぬ直前に急に目標ができて、その達成(育成)に奔走するというのが実にドタバタSFっぽくてワクワク感満載だ。すごくテンポよく話が進むのも好感が持てる。読み終わった後に、爽快感が次々に押し寄せてくる感じがして、とても素晴らしい作品だと思う。

〇 太っていたらだめですか?
短い作品であるが、これもドタバタ活劇SFで、読んでいて本当に楽しい。現代の会社の健康診断でBMI測定は必須である。生活習慣病は企業の悪、幹部候補生は体調管理の一つもできなければ部下も管理できないという論法、これがどんどんエスカレートすれば太っているだけで解雇という社会がやってくるのは頷ける。これこそ、ディストピアの真骨頂かな。ただ、最後の地球外生命体の1ページは余計だな。なんか、取ってつけたような星新一ワールドで、作品全体が白けてしまった。そんなどんでん返しはいらん。本当に残念だ、実に勿体ない。

〇 異世界数学
リケジョ全開パラレルワールド。イケメン俳優が出演するテレビで頻繁にやってる時代劇パラレルワールド歴史改変に近いものがあり、ストーリーはその線上にある。もちろん数学の面白さを織り交ぜるのは知的でハードSFっぽいが、数学にあまり詳しくなくても数学の雰囲気を嗅ぎ取れるようにしているのは読者にとても優しい配慮だ。
話は逸れるが、松崎有理の「有理」は数学の有理数から来たのか?名付け親に確認したい(余計なお世話と言われそう)。

〇 秋刀魚(さんま)、苦いかしょっぱいか
夏休みの自由研究は小学生だけに与えられた足枷・苦行。これを始業式までに完成させなければならないのは小学生の宿命。今、夏休みの自由研究って必須なのだろうか。もしかしてこれを設定している小学校はほんの一握りではなかろうか。であれば、これが未来社会だったら、悪しき伝統はとうの昔に廃止されていないかと、まず考えた。こう考えてしまうと、作品の面白みが半減したような気もする。一方、夏休みの自由研究的授業を中心にしている学校(個性を伸ばす学校という謳い文句)も実際ありそうだが、それはそれで毎日締め切りに追われる授業ばかりで疲弊してしまいそうだ。
食品プリンターはもう実用化されているし、人工肉もそろそろ実用化しそうだし、人口イクラと天然イクラを判別できるガクトみたいな人は超レア人間として祭り上げられる。基本的に匂い成分というのは低分子有機化合物の混合物だから、成分データと物質を揃えばどんな匂いでも再現することができている。なので、このお話は技術的には近未来の話ではなく、あと5~10年以内に実用化できる話。いや、行列のできる名店の味は実際にインスタント食品で再現できている。だんだん、こんがらがってきた。
余談だが、広瀬川の河原で行う芋煮会は楽しかったな。そう言えば、会社の独身寮にいる東北大卒の若手社員が中心になって、荒川のキャンプ場で芋煮会が開催され、私も飛び入り参加した記憶がある。みそ仕立てと醤油仕立ての対決だと言っていた。どちらが宮城芋煮か山形芋煮かは忘れてしまった。

〇 ペンローズの乙女
仙台の流行作家、伊坂幸太郎を彷彿とさせる複数同時進行ストーリー仕立てで話が進む。どうせ最後に一つに纏まるだろうなと思いつつ読み進めたら、纏まった様な、纏まらなかった様なエンディング。

〇 シュレーディンガーの少女
何かイベントがある時だけパラレルワールドが分岐して発生すると考えがちだ。つい先日に読んだ伴名練の 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」も同じ考え方。しかし私は、通常の生活でも、例えばある時間に特定の一個の赤血球が心臓から肺に行く世界と脳に行く世界とでパラレルワールドが出来上がってしまうのではと考える。更には、宇宙から来た特定のニュートリノが地球を素通りする世界と、不運にもカミオカンデで補足されてしまう世界とでパラレルワールドが出来上がってしまう。何をイベントと見るか、どのようなタイムスパンでパラレルワールドが生成するか、そう考えただけで無限の無限乗の世界に世の中は分岐しているのではないかと考えてしまった。自分や自分の周囲だけでもとんでもないパラレルワールドができているのに、宇宙全体ではどれだけのワールドができているのか、と思うと夜も寝られません(古い)。

基本ストーリー設定の話はさておき、既に松崎有理の世界観はしっかりと確立されているので、あとは方向性をどのように発展(ハードSF?ソフトSF?それともそれらに拘らない?)させるかは御本人にお任せするしかない。頑張って!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月31日

 『あがり』以来久々の松崎有理氏。好きだ。

 『65才デス』題名、ヘビメタですか。
 この、遺伝子は残さずに、技だけ残すって、憧れかも。高校の家庭科の授業で、人生計画を立てなさいと言われ、この手の養子をもらう計画を書いて、こっぴどく叱られたのを思い出した。

 『太っていたらだめですか?』BMI3...続きを読む8って大したことないじゃん。って思ったらダメなんだろうけど、170cmで110㌔なんて、結構いるんじゃないかな?リングネームが太る原因を指していて、自虐的に笑った。健康的に長生きすることってそんなに大切なのだろうか?考えさせられる。

 『異世界数学』胡蝶の夢系の話。
 「一握りの数学者を発見するためのフルイが受験数学だ」という説を聞いたことがある。その通りだと思うし、私はフルイからこぼれてしまった。が、この話は、受験数学と数学の面白さは別だと教えてくれる。中学受験の縛りのキツい数学問題が好きでもOKと。

 『秋刀魚、苦いかしょっぱいか』人と瞬時に繋がれる世の中の宿題のやり方。なるほど。環境のお題があればこその発想か。

 『ペンローズの乙女』自己犠牲ものは苦手。

 『シュレーディンガーの少女』パンデミックをこう利用するとは。さすが、松崎有理氏!どの話が現実なのか混乱させるところまで、他世界解釈?

 他にも、何冊か間にあるみたいなので、買おうと思う。

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Posted by ブクログ 2022年12月24日

ディストピア小説です。共通の世界の様々な時代で物語を作っています。決してやさしくない世界。その中で生を模索するそんなお話たちです。
個人的には巻頭作の「六十五歳デス」が好きかな。65歳くらいでもれなく人が死んでしまう世界。技術が継承されずに世界が衰退してく様がリアルです。

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Posted by ブクログ 2024年04月29日

 またまた、本屋で帯とタイトルに惹かれて買いました。創元SF文庫だ。SFなんだ。
 文字が小さくて詰まっているけど、難解な言い回しはないので読みやすいです。
「六十五歳デス」デスはdeathとかけてあるのね。人口の抑制のために、65歳で死ぬ世界。個人的にはそれもいいかもと思うけど、そのために、技術が...続きを読む継承されなかったんじゃないかっていう所は、そうでなくても、されていかない気がする。この話に出てくる「紫」さんが、64歳だけど、かっこいいです。
「太っていたらだめですか?」政府主催ダイエット王決定戦って、そこまでやるんですか?ノリはいいので笑って読めます。でも、あんまり好きじゃないかな。
「異世界数学」数学の苦手なエミが、数学を禁止された世界に紛れ込んでしまう話。面白かったです。中に出てくるヒルベルトさんの宿屋の話も面白かったです。こんな話、先生がしてくれたらいいのに。
「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」近未来の小学生が夏休みの自由研究で、失われた秋刀魚の塩焼きの味を再現する話。これも面白かったです。学童用アシスタントAIが、「現在、自分の力でがんばりましょうモードを実行中です」と言って、手伝ってくれないところで笑った。
「ペンローズの乙女」作者は東北大の理学部出身なんだっけ、と思い出させる話。途中、物理関係の話題は正確には分からない。でも、この終わり方は嫌いじゃないです。最後の一文の意味を私は捉えきれていないと思います。
「シュレーディンガーの少女」何度か読み返さないと私には分からないと思う。なんとなく感覚的には分かるんだけど。設定は面白いし、話の流れも面白いけど、基礎知識があるときっともっと面白いと思われます。学問が高度になってくると、数学は哲学に、物理は数学に、化学は物理に、生物は化学に寄っていくと聞いたけど、物理学は哲学までいっちゃうのね。この前読んでいて途中で挫折したブルーバックスとか読めると、ちょっとは変わるかな?

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Posted by ブクログ 2023年07月27日

★なんでも早めに引退するのが好きでね(p.40)

[○]「六十五歳デス」/カッコいいおばあさん/人口減らすため六十五歳前後で死ぬ人工病原体/六十五歳までにしたいことリスト/喫煙率増加/死の恐怖を癒す無免許医/自分と同じ痣のある少女を引き取る/少女との心の交流。

[△]「太っていたらだめですか?」...続きを読む/政府が行う肥満者撲滅デスゲーム。その(二重の)結末は?

[△]「異世界数学」/数学は好きやけど(ほとんど忘れてるけど)、さすがにこの展開は無理あらへん?/ま、も一回数学を学び直したくはなりました。

[○]「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」/まさか秋刀魚の塩焼きをSFにできるとは・・・

[△]「ペンローズの少女」/地球外知的生命体との遭遇率/コンデイ島=生贄の島/漂流してきた少年ヨーイチとコンデイ島の美少女サヨ/ペンローズ族。

[△]「シュレーディンガーの少女」/観測者/シュレーディンガーの猫実験/美少女アンドロイド対ゾンビ/時間軸の分岐/パラレルワールド/量子自殺。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月02日

女子が多種多様な理由で理不尽に退場させられる未来を描いたライトSF短編集。一話目の「六十五歳デス」がわりと好き。

■六十五歳デス:65歳になると強制退場の世界。64歳の紫さんの潔さがいい。母性と伝承の物語。
■太っていたらだめですか?:デブコンテストで負けたら強制退場の世界。いくらなんでもありえな...続きを読むすぎか。
■異世界数学:数学禁止法で強制退場の世界。かくれんぼの人数問題でひっかかりそうになった。
■秋刀魚、苦いかしょっぱいか:秋刀魚が食べたくなる話。強制退場無し。
■ペンローズの乙女:生け贄で強制退場の美少女に恋する少年。ドレイク方程式。
■シュレーディンガーの少女:生き残り確率50%の量子自殺

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Posted by ブクログ 2023年05月17日

個人的には『ペンローズの乙女』がお気に入り。
視点が行き来するので最初は面食らったが、収束していくのが気持ちよかった。皮肉なラストも切れ味抜群。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年04月19日

【収録作品】六十五歳デス/太っていたらだめですか?/異世界数学/秋刀魚、苦いかしょっぱいか/ペンローズの乙女/シュレーディンガーの少女

「六十五歳デス」プログラムされた死が65歳前後に訪れる世界。ヒロインがかっこいい。著者は「かっこいいおばあちゃんを書きたかった」と言っているが、65歳は「おばあち...続きを読むゃん」ではないと思う。
「太っていたら……」肥満者を集めた公開デスゲーム。出場させられた女性たちはタッグを組んで抵抗する。
「異世界数学」数学嫌いの女子高生が、数学を禁止する異世界に飛ばされる。
「秋刀魚、……」秋刀魚が遠い過去のものとなった世界。少女は小学校の自由研究で秋刀魚の塩焼きを再現しようとする。再現方法が未来だった。
「ペンローズの乙女」フェルミパラドックスとのこと。時間軸の長い話だというが、途中からついていけなくなってしまった。
「シュレーディンガーの少女」「量子自殺」のアイディアに触発されたという。多世界解釈とあるが、これまた私には難しかった。

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Posted by ブクログ 2023年02月26日

SFの短編集で、作り込み度の高いSFというより、簡単なタラレバの世界観で一話一話構成されていると感じられる小説だった。SF小説の導入として読むのにおすすめです。

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Posted by ブクログ 2023年02月12日

「本書のコンセプトは『ディストピア×ガール』です」と著者あとがきにあり、まさにその通りの短編集。ディストピアを描いた小説には耐性があるんだけれど、残酷描写はとても苦手なので、正直読むのがつらい箇所が多かったです。でも読み終えられたのは、ユーモアもあるから。魚を見るのも食べるのも好きなわたしは、『秋刀...続きを読む魚、苦いかしょっぱいか』が一番楽しんで読めました。

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Posted by ブクログ 2023年01月11日

2023-01-11
リケジョ松崎有理による、ディストピアxガールズ6編。個々の作品に繋がりは無いが、AI名称が統一されてたりする。(モラヴィッツって(笑))
世にも奇妙な物語にありそうで、文章でしか語りえない所に持っていくセンスはさすが。だいたい想像した範疇で進んでいくので、誰でも読みやすいでしょ...続きを読むう。

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Posted by ブクログ 2023年01月07日

洗練された科学啓蒙読み物と言おうか。ブルーバックスあたりでおなじみの数学トピックが乱れ打ちで、数学嫌いの偏見を解きほぐそうとする「異世界数学」が典型だけれども、「ペンローズの乙女」や「シュレーディンガーの少女」もコアになる最新科学のトピックを素人に優しく解説するためのお話と言われたら、なんとなくしっ...続きを読むくりきませんか?ってそんな感じ。そんな中、カッコイイおばあちゃんを描きたかったと作者さんが語る「六十五歳デス」が異色で愉しい。

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