松崎有理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本、教え子たち全員に読ませたいわあ。
研究の世界というものの実質をびしびし
脳髄に叩き込んでくれる。痛快!
しかもなんとなく漂う胡散臭さが
えも言われぬ高尚な香りを漂わせていながら
知的な者以外がこの作品世界に触れることを
拒むような狭量なこともせず
エンターテイメントとしても面白すぎる。
癖のある、しかし出すか出されるか法に
苦しめられる愛すべき研究者たちと
自らの鈍感さと体質的な欠陥ゆえに
実るはずもない恋愛に翻弄されるミクラ。
先輩代書屋トキトーに鍛えられつつ
少しずつ成長してゆく典型的理系男子の
ミクラこそ、愛すべき人だ。
論文という研究者たる者の
宿命、足枷、飯の -
Posted by ブクログ
ディストピアの世界を描いた短編集
数学や量子力学、宇宙の話を点在させながら、AIが今のスマホ並みに普通に使われている近未来が舞台の話が多くてなかなか不思議な内容でした
特に、秋刀魚が絶滅して食べられなくなった時代に、AI技術とかろうじて食べた経験のある曾祖母の協力のもと再現を試みる少女の話は面白かった
数十年後、本当にあり得そうな内容で、でもどれだけ技術が発達したところで、ホンモノには敵わない、ということと感じました
65歳で必ず死ぬ世界や、罹患したら必ずゾンビになるウイルスが蔓延している世界、ひとにうつす前に自殺する手段を国が推奨しているけれど、AIは人を殺してはいけないと言うルール -
Posted by ブクログ
タイトル買いでした。
蔓延する超強力ウイルスのパンデミック。都市文明を放棄した人類は全てリモートで生きている…。
山手線が転生して、加速器になって、しかも意識まであって、言葉もしゃべれて、夏休みに憧れる山手線。おもしろい!!
「ひとりぼっちの都会人」が特に好きでした。これ程極端ではないにしろ…。コロナウイルスによって人生がガラッと変わってしまった方々、計画が狂ってしまった方々、多くの子供たちも不自由な生活を強いられた日々。
実は、わが息子もコロナきっかけで不登校になってしまったのだ。
その事を思うと、辛くなる…。
本当に辛い日々だったことを思い出す。 -
Posted by ブクログ
前に出版された『シュレーディンガーの少女』が良かったので、最新作のこちらの短編集も読んでみた。
先に巻末付録の「作中年表」を読むことをおすすめする。何の説明もなしに「撤退宣言」とか「モラヴェック」といった言葉が出てくる。この年表に基づいた、人類が都市を放棄して、リモート暮らす世界を描いている。つまりは、連作短編集のような体裁となっている。いや連作短編集と言っていいのだろう。
表題作は、鉄道としては廃止された山手線が円形加速器に再生され、さらに自意識を与えられるという話。加えて中央線が直線加速器になっている。さらにその1年後を描いた一編もあり、アイディアとしては秀逸。