松崎有理のレビュー一覧
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タイトル買いでした。
蔓延する超強力ウイルスのパンデミック。都市文明を放棄した人類は全てリモートで生きている…。
山手線が転生して、加速器になって、しかも意識まであって、言葉もしゃべれて、夏休みに憧れる山手線。おもしろい!!
「ひとりぼっちの都会人」が特に好きでした。これ程極端ではないにしろ…。コロナウイルスによって人生がガラッと変わってしまった方々、計画が狂ってしまった方々、多くの子供たちも不自由な生活を強いられた日々。
実は、わが息子もコロナきっかけで不登校になってしまったのだ。
その事を思うと、辛くなる…。
本当に辛い日々だったことを思い出す。 -
Posted by ブクログ
前に出版された『シュレーディンガーの少女』が良かったので、最新作のこちらの短編集も読んでみた。
先に巻末付録の「作中年表」を読むことをおすすめする。何の説明もなしに「撤退宣言」とか「モラヴェック」といった言葉が出てくる。この年表に基づいた、人類が都市を放棄して、リモート暮らす世界を描いている。つまりは、連作短編集のような体裁となっている。いや連作短編集と言っていいのだろう。
表題作は、鉄道としては廃止された山手線が円形加速器に再生され、さらに自意識を与えられるという話。加えて中央線が直線加速器になっている。さらにその1年後を描いた一編もあり、アイディアとしては秀逸。 -
Posted by ブクログ
ネタバレディストピア小説の短編集。
六十五歳デス
紫と桜のバディ。おばあちゃん、というには若い65歳の紫は、元スリだった桜に生きる術を伝える。活劇っぽい感じが良かったし、紫も桜もカッコ良かった。
65歳前後で亡くなるのが分かっていることがディストピア的ではあるけど、現実を見てみると、これって案外いろんな問題解決ができるんじゃないの?とも思ってしまいました。倫理的には問題なんだろうけど。
太っていたらだめですか?
太っている人を排除するっていうのが政府の方針だったら恐ろしい。
ただ、この政府の方針はどうかと思いますが、ストーリーとしてはおもしろかった。女性3人は生き残ったけど、男性2人はサメに食べら -
Posted by ブクログ
今回のアンソロジーは読みやすい作品が多かったように思える。あくまでも個人の感想であるが、世界観をぱっと理解できる短編揃いなのだろう。個人的に印象に残った作品は2つ。「メタモルフォシスの龍」(空木春宵)は個人的にはあまり好きではないジャンルなのだが、恋に破れると蛇化する女性と蛙化する男性、特に蛇化する女性の描写が生々しくも切ないのが良い。「されど星は流れる」は系外流星を流星同時観測の手法で探索する物語。科学を一生懸命やる話は私の好物である。遠くにある流星の母星と少し離れた観測者の男女の物語が接触しそうでしなさそうな、流星が地球をかすめていくような感じでよい。