松尾スズキのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれは現代の自然主義文学か、と思うほど松尾スズキは現実を生々しく切り取ってみせた。そして切り取った現実から、血なまぐさい、あるいは単に生臭いものを漉しとり、松尾流の「愛」と撹拌して物語に仕立て上げた。タイトルに宗教とあるけれど、物語にはなまやさしい救済は存在しない。汚いものを汚いまま、醜悪なものを醜悪なまま描き、そうした文脈で愛を語ることができるのは、おそらく松尾スズキくらいではあるまいか。
立ち上げたコント集団、劇団が、大きくなり宗教集団となればなるほど、それは破滅的終焉を予期させる。毎頁のように流される血、涙、糞尿や呼吸をするように行われる性交は、どれも破滅に突き進むモチーフのように思える -
Posted by ブクログ
『50歳を過ぎて、怒られる。けっこうシャレにならない温度で。それも仕事というものの醍醐味だ』
『締め切りは、世界の終わりに似ていて、必ず来る。そういうものだ』
『それほどあの時間と空間は安定していた。その記憶が、今、目の前で鋭利な刃物で切り裂かれたような、いや、バケツ一杯の墨汁をぶっかけられたような、いや、どうだろう、大量のザリガニの死骸を…例えている場合じゃない。まったくない。』
「怖い目しないで ー 私パニック障害って診断されてから、どんどんパニック障害なんだから」
『男というのは潜在意識の中で常に有名な女優を抱きたいものだ。』
『声を上げずに海馬は泣いた。声を出さないのは、軍 -
Posted by ブクログ
とりあえず「クワイエットルーム?」ってところから。静かな部屋?静かにしなきゃならない部屋?音を出したものに罰則とか?みたいに、あれこれ思いを巡らせつつ、とても薄い文庫本に着手。なるほど。精神科病棟の中でも特別な一室っていう位置づけでしたか。そんな病棟の中でのドタバタ喜劇が描かれているけど、主人公は、たまたま発作的にODしてしまった女性。一歩離れたところで、”自分はここの連中とは違う”と向こうを張りながら、でも結局同じ穴の狢的な醜態も晒しつつ、物語は進む。短い中編ながら、登場人物はとても個性的で(舞台設定上、当たり前かも)、もっと見ていたい気持ちにさせられる。サクッと楽しめる、でも味わい深い、そ
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Posted by ブクログ
ーーー東京の片隅で、無宗教で、子供を持たないことを選択し、ただひっそりと死んでいこうと決めた夫婦だって、世にはたくさんいるのだ。ーーー
茨城出身の一人娘で箱入り娘。
福岡出身、既婚暦あり、職業松尾スズキ。
年の差は20。
「だいたい」で生きてきた男と
「厳密」に生きてきた女の暮らしは読んでいて微笑ましい。
子供についての記述はいろーんなことを考える。
自分たちのあり方を「ほぼ、ゲイ」と喩えるところなんてユーモアがあるのだけど、すこし、じっと考えてしまう。
松尾さんは子供がほしくない自分を、欠陥だ、冷たいのでは、と考えるが、まじめで、先を読んでいるからこそ、選ばないという選択をしたのだとおも