松井今朝子のレビュー一覧

  • 吉原手引草

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    オーディブルで聴きました。
    木挽町の仇討ちを読んでこの本を思い出し、数年前に聞いたのを再度。(木挽町よりかなり好き。)初回も驚いたけれど、全貌がわかってから聴き直すと、いろんなことの裏がとれてさらに感動、感心。

    映像化したらヒット確実と思うけど、されていないのは、映像化すると勝手にストーリーを変えられたりするから、松井氏がOK出さないのかなと思った。

    外見や頭の良さはもちろん、ちょっとやそっとの努力ではトップになれない世界で、お職に登りつめ、思いを果たした彼女の執念に圧倒される。

    最後のタネ明かしも秀逸。是非映像化してほしい。葛城は柴咲コウの若い時のイメージが浮かんでました。今なら誰だろ

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    2025年03月10日
  • 吉原手引草

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    手引草の名前よろしく吉原に関するさまざまなことを初心者でもわかるように説明されてるだけでなく、ある事件を追って数珠つながりのように話者が代わり、だんだん点と点がつながって半沢直樹になったのは非常におもしろかった。結末や真相が気になるから、次々と読み進めてしまった。

    四角い卵と女の誠はない吉原だから、すべての人物が果たして真実を語っているのか。黒澤明の羅生門のような側面もありつつ、いろいろと想像を掻き立てられるのも好み。考察がてら、また忘れた頃に読み返したくなる作品。

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    2024年11月22日
  • 料理通異聞

    ネタバレ 購入済み

    江戸時代後期、お寺の御斎の精進料理がメインの福田屋の倅善四郎が、店を将軍家斉が御成をするほどの名料理屋「八百善」へと発展させる物語。
    出てくる料理やその素材の描写も美味しそうだが、善四郎自身も卓越した料理人でもあり、客はその時代の文人墨客が名を連ね、その時代の文化を堪能することができたと思う。
    一杯一両二分で有名なお茶漬けの逸話も出てくる。

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    2024年02月09日
  • 吉原手引草

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    ネタバレ

    前にもこんな構成の本読んだんだけど思い出せない。登場人物がすべて読者=主人公に語り掛けてくるような感じで主人公のセリフをすべて対面の登場人物が
    「え?あんたはそんな風ににみえないよ、だって?言ってくれるじゃねーか!」
    みたいな感じでそれが自然な流れなので違和感がなくテンポよく読める。また、タイトルにも手引と書かれているように全く吉原を知らない人間がこの本を読めば通風を気取れるくらいに詳しくなれる。つい、ああ、ちょっと行ってくるかってなる。もちろん花魁相手にするような甲斐性はない笑
    吉原に関する役職が順に登場し、その会話の流れから失踪した名うての花魁の失踪事件の核が見えてくる。またここにも時代小

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    2023年11月28日
  • 吉原手引草

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    松井今朝子による、第137回直木賞受賞作。

    十年に一度、五丁目一と謳われた、吉原・舞鶴屋の花魁、葛城。
    全盛を誇り、また身請けも間近だった葛城が、ある日、忽然と姿を消した。
    いったい何が起きたのか。

    物語は葛城を取り巻く幾人もの証言からなる。
    引手茶屋の内儀、舞鶴屋の見世番、番頭、番頭新造、葛城と枕を交わした男たち、遣手、舞鶴屋の主人、床廻し、幇間、女芸者、船頭、女衒、葛城を身請けするはずだった男、葛城の上得意。
    彼らは葛城の思い出とともに、自らがなぜ廓にいて、どのような役割を果たしているのかも語る。耳慣れぬ仕事もあるが、無理なくその内実がわかる。同時に、異なる視点から映し出された廓が立体

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    2023年06月22日
  • 吉原手引草

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    物凄い面白かった

    数年に一度レベルの本!

    大好きだった

    主役は全く出てこず

    周りの登場人物から 本当に少しずつ少しずつ輪郭が浮かび上がっていく様は見事で

    楽しく楽しくて一気に読んでしまった

    もともと 吉原ネタが大好きだが
    男女の性や業みたいなものまで
    とにかく豊かに彩られ

    素晴らしかった

    話の筋も表現方法も最高!
    登場人物が多いのに
    とてもバライティーに富んでた

    とても良かった

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    2022年08月20日
  • 吉原手引草

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    失踪した花魁・葛城のことを、吉原の内外で尋ね歩く男を通して、葛城というミステリアスで気高い女性の半生が語られる。と同時に、失踪事件の影に隠されたもう一つの物語が徐々に浮かび上がってくるという仕掛け。
    読み終わってみたら、人情ものだったな~としみじみ感動した。
    遊郭の仕組みも分かりやすく説明されており、興味深かった。

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    2022年07月23日
  • 吉原手引草

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    ネタバレ

    語り手が章ごとに変わっていく語り口です。
    語り手ごとに多様な面を見せる花魁。
    語り手ごとに、同じ事象に対しても見方が異なっていたり。

    何が嘘で何が真実なのか、誰が真実を知っているのかいないのか、読むたびに楽しめそうです。
    最後は楼主ではないですが、天晴れと言いたくなりました。
    一つの志のために10年以上かけて苦界に身を起き、味方を増やし、志を遂げた葛城は、どんな思いだったのでしょうか。

    もう一度読み直してみよう。

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    2022年06月12日
  • 師父の遺言

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    歌舞伎の注釈も多く、歌舞伎の知識のない
    自分にも読めるだろうか?
    と、思ったものの、一気読み。

    松井今朝子さんの幼少期から、今に至る
    生き方、運命、巡り合わせ。
    どれも、普通の人には味わえないもので
    一つ間違えば、またガラリと違う人生
    それもまた、普通の人にはないようなものが
    待ち受けたいただろうと思われるような境遇。

    それを見事に活かし、ご自身の才能と努力のもとに
    思いも掛けない巡り合わせを、舞台に作品にと
    昇華された。

    文章も読みやすいのに、重厚で、ずっしりと
    心に残る。

    良い作品に巡り会えたことを嬉しく思う。

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    2021年09月07日
  • 吉原手引草

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    Audibleで。ちょっとびっくりしたおもしろさ。

    吉原の人々に話を聞いて回りながら、かつらぎ花魁の事件の真相に迫っていくという体裁。事件の解決させるミステリーもおもしろかったが、吉原の風習や江戸の人々の考え、カルチャーなどが差し込まれるところが、二度おいしい感じ。
    かつらぎ花魁のあっぱれな生きざまに、3度おいしい。
    かつらぎおいらんを助ける周りの人々の情に、4度おいしい。

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    2021年01月22日
  • 吉原手引草

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    ネタバレ

    吉原の売れっ子花魁が企てた復讐劇。終盤までは吉原の内情が描写され、何が起こったのかは分からない。終盤に怒涛の展開、面白かった。葛城は復讐のために花魁になったのだろうか?

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    2020年10月08日
  • 吉原手引草

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    落語でよく聞く言葉が字で書いてあり、うんちくものになっていた。

    ミステリとしての欠点、語り口の変わり映えのなさを指摘する意見もあるみたいだけど、楽しく読めた。

    新聞小説で筆者を知り、まずは賞を取ったものだから面白いだろうと手にした。別のも読んでみたい。

    映画化されたら誰が葛城になれるだろうかと想像した。浮かぶほど俳優を知らないことがわかった。

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    2018年12月08日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    純粋に面白く読めました。
    説教節、曽根崎心中、女殺油地獄、菅原伝授手習鑑、
    義経千本桜、仮名手本忠臣蔵
    それぞれ有名な作品ですが、しっかり読んだことが
    今までなかったのですが
    現代語訳で非常に読みやすく一気に面白く読めました。

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    2018年07月30日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    能も狂言も人形浄瑠璃も見たことないので、
    実際にどのような”動き”をするのかは全く想像するしかないのですが。

    後書きでは「舞台での人形は本当に死ぬ。首が飛ぶ、崖から落ちればそのまま動かなくなる」とありそれを想像しながら読むと心に迫ります。

    【「能・狂言」新訳:岡田利規】
     能「松風」
    磯に立つ一本の松の木。
    行平中納言の一時の寵愛を受けた二人の女の情念。

     能「卒塔婆小町」
    若き日は美しかった。
    その昔戯れに扱った男の怨念が憑り付いて、
    いまでは卑しく年を取った。

      能「邯鄲」
    ”邯鄲の夢”の能舞台化。

     狂言「金津(かなづ)」
    「はい、こうして登場したのが誰かと言いますと、金津と

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    2018年03月31日
  • そろそろ旅に

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    奥付は2011年3月15日第1刷。この頃読んだ本(何かは失念!)に触発されて江戸の紀行に関連する本を数冊購入したうちの一冊。変な先入観が無かった分、十返舎一九の伝記的小説ということも意識になかったため、読む驚きがあった。山東京伝、馬琴、写楽、豊国、北斎等々、教科書に出てくる有名人が同時代にいた凄さ。臣従する太吉という不思議なキャラクター。一九という戯作者の生涯を通して、江戸の生活が伝わってきて良かった。

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    2017年08月19日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    どれも訳が素晴らしく、非常に楽しめた。特に能・狂言では現代的な表現がちりばめられていて、思わず笑わずにはいられなかった。
    作品の中では説教節の「かるかや」。説教節といえば「小栗判官」や「山椒大夫」を想起するけれど、かるかやもこれらにおとらず壮絶かつ深い内容であった。

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    2017年08月16日
  • 吉原十二月

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     小夜衣と胡蝶の成長日記を12か月になぞらえて その時の吉原の行事や風習を紹介してくれる。 話手は廓の主
     吉原物って 親に売られて苦界と呼ばれる廓のなかで 外に出ることも許されず 身請けされるか年季が明けるその日を待ちわびるという かなり暗い話になりがちだけど この本は小夜衣と胡蝶のちいさないざこざだったり 仲良くしたりとわりと ほっとさせられる話が多かった。

    「神無月は亥の子宝の恵み」はちょっとかわいそうだった
    誰も救われなかったから…

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    2017年06月04日
  • 仲蔵狂乱

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    旦那が買ってきた本。何となしに手に取ったら面白くて一気読み。歌舞伎の世界。中村仲蔵。

    私は彼の名前も知らなかったようなずぶの素人だけど、そんな私でも入り込める歌舞伎の世界の面白さと読ませる仲蔵の人生ストーリー。

    松井今朝子さんの作品他にも読んでみたくなった。

    読みながら昔習った日本史をチラチラ思い出すこともでき楽しかった。

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    2017年01月26日
  • 吉原手引草

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    これは、直木賞とかそういう付加価値を抜きにしても、十分に楽しめる作品だった。やっぱり自分は、こういう色んな視線からひとつの事件を見た、的なストーリーテリングが好きだな、という思いを新たにした次第。中心となる花魁や、主人公たる聞き手が、実際には物語中に登場せず、周りの評判などからその姿を浮かび上がらせる手法も、本作では有効に働いている感じです。その題名通り、吉原の手引き書としても役割を分に果たしていて、怖いもの見たさ的充足感も得られる仕組み。興味深かったです。

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    2016年11月14日
  • 吉原十二月

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    元々大好きな廓物。
    ふたりの花魁と楼主が、生き生きと魅力的で面白かった。
    私の好みは断然小夜衣!

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    2015年05月16日