松井今朝子のレビュー一覧
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八百善といえば江戸一番の料理屋。
名前は知っているが内実はあまり知らなかった。
八百善、本来の屋号は福田屋。4代目の善四郎の一代記。
福田屋は仏事の際の御斎で使われる、精進料理を出す料理屋だった。
それを善四郎がさまざまな出会いを通して江戸一番の料理屋に押し上げる。野心が旺盛な人物ではなく、人が喜ぶのが嬉しいちょっとおせっかいな、江戸っ子らしい善四郎がとてもいい。
善四郎は化政期に「料理通」という本をものす。当時著名な酒井抱一や太田南畝なども筆を寄せる。一流の人々もの交流もわかる。
もっと評価されて良い作品だと思う。
とても興味深かった。 -
Posted by ブクログ
阿佐ヶ谷のコンコ堂さんの100円棚で買いました。
本当に、コンコ堂さんにも松井今朝子さんにもハズレがない。
松井さん自身、エンタメの世界に長くいたこともあって、芸能の裏側世界を書いて半端ない 笑。金、欲、名声。しかし、それらに全く絡めとられない主人公・綾ちゃんの清々しさも半端ない。
真に突き進む人には、有象無象はどうやっても絡めないんだなぁ。夢に向かって真っ直ぐな、明治時代の美少女浄瑠璃語り、綾ちゃんの青春ストーリーです。女子の痛快ものを読みたい人におすすめします。
ただし。小説ですが、早慶の学生の描写あり、早の学生に厳しいです 笑。松井さんは、早稲田卒ですが、なんぞ、恨みでも 笑、と、つ -
購入済み
優れた構成
主役 ヒロインの葛城花魁には最後まで語らせずに、周辺人物の証言で話を構成してゆくという、なかなかに凝った構成を取っている。話が進むに連れて段々と真相が明らかになってくる というクレッシェンドな話の進め方は大筋でいいのだが、途中やや中だるみ冗長なところが見受けられた。逆にエピローグ解決編がやや短すぎるようにも感じた。
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【不世出の天才・初代市川團十郎、空前の一代記】
なぜ江戸の民衆は團十郎に熱狂したのか。團十郎が命をかけた〈荒事〉とは何か。そして、なぜ舞台上で命を落としたのか。元禄時代から現在まで常に歌舞伎界に君臨し続けた大名跡・市川團十郎、そのはじまりの物語。
寛文7年(1667)、浪人の娘・恵以はひとりの少年と出会う。子どもながらに柄の悪い侠客たちに囲まれ、芝居に出れば大暴れして舞台を滅茶苦茶にする破天荒さに呆れながらも、恵以は自然と人の注目を集める彼の素質に気づく。少年の名は海老蔵。長じて市川團十郎を名乗り、〈荒事〉の追求の果てに江戸の民衆から信仰にも近い人気を集め、劇作家としても今なお愛される名演目