松井今朝子のレビュー一覧
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十年に一度の最高峰と謳われた吉原のトップ花魁・葛城が忽然と消えた――。
大河ドラマ『べらぼう』を観ていたこともあり、吉原の喧騒や九郎助稲荷の路地裏、大門の熱気や見返り柳の風景といった舞台装置が、まるで映像のように鮮明に脳内再生されながら読み進めることができました。
一人の探偵が謎を解くのではなく、同僚の遊女や、遣手婆、幇間、そして大店の主人といった裏方や客たちの「語り」によって真相に迫っていく構成です。
立場も身分も違う市井の人々の口から、葛城の圧倒的な気配りや野暮のなさ、客の心理を見破るプロとしての生き様が語られていきます。お国訛りを隠すための「ありんす(廓詞)」というシステムの背景など、 -
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近松門左衛門の生涯を描く時代小説。江戸時代は歌舞伎や浄瑠璃がこれほど身近にあったのか、と驚き、また、羨ましかった。
杉浦信盛(後の近松)は浄瑠璃の発展とともに自身でも驚くような速さで売れっ子になっていく。それは、若い頃から古典文学や歴史への造詣が深く、また、考え方が柔軟で、切り替えが早い、ポジティブシンキングの人だった事が大きいように思った。
この作者はまるで近松が目の前にいるかのように生き生きと描いていて、読んでいて楽しかった。火事になればあっという間にすべて焼けてしまう江戸時代。何度も大火に遭うが、簡単に建てられる芝居小屋はしぶとくすばやく再開するところも、あの時代の人々のバイタリティの表 -
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吉原一の花魁・葛城が失踪した。
その謎を探るため、ある男が関係者に聞き取りを行う。
引手茶屋の女将、店の男衆から馴染みの客まで、さまざまな者から事情を聞く男。
どうやら葛城の失踪には彼女の過去が絡んでいるらしい。
葛城が失踪したその日、何があったのか、核心に迫る男が聞かされた真相とは。
そして、謎の男の正体は…。
失踪事件の謎を追いながら、吉原のすがたを鮮やかに描き出した、時代ミステリーの傑作。
選考委員絶賛の第一三七回直木賞受賞作。
「吉原手引草」というタイトルどおり、吉原の裏の裏までが詳細に書かれていて面白かった。
ただ、聞き慣れない言葉が多く出てくるので、その都度調べながら読み進めた -
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八百善といえば江戸一番の料理屋。
名前は知っているが内実はあまり知らなかった。
八百善、本来の屋号は福田屋。4代目の善四郎の一代記。
福田屋は仏事の際の御斎で使われる、精進料理を出す料理屋だった。
それを善四郎がさまざまな出会いを通して江戸一番の料理屋に押し上げる。野心が旺盛な人物ではなく、人が喜ぶのが嬉しいちょっとおせっかいな、江戸っ子らしい善四郎がとてもいい。
善四郎は化政期に「料理通」という本をものす。当時著名な酒井抱一や太田南畝なども筆を寄せる。一流の人々もの交流もわかる。
もっと評価されて良い作品だと思う。
とても興味深かった。 -
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阿佐ヶ谷のコンコ堂さんの100円棚で買いました。
本当に、コンコ堂さんにも松井今朝子さんにもハズレがない。
松井さん自身、エンタメの世界に長くいたこともあって、芸能の裏側世界を書いて半端ない 笑。金、欲、名声。しかし、それらに全く絡めとられない主人公・綾ちゃんの清々しさも半端ない。
真に突き進む人には、有象無象はどうやっても絡めないんだなぁ。夢に向かって真っ直ぐな、明治時代の美少女浄瑠璃語り、綾ちゃんの青春ストーリーです。女子の痛快ものを読みたい人におすすめします。
ただし。小説ですが、早慶の学生の描写あり、早の学生に厳しいです 笑。松井さんは、早稲田卒ですが、なんぞ、恨みでも 笑、と、つ -
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優れた構成
主役 ヒロインの葛城花魁には最後まで語らせずに、周辺人物の証言で話を構成してゆくという、なかなかに凝った構成を取っている。話が進むに連れて段々と真相が明らかになってくる というクレッシェンドな話の進め方は大筋でいいのだが、途中やや中だるみ冗長なところが見受けられた。逆にエピローグ解決編がやや短すぎるようにも感じた。