松井今朝子のレビュー一覧

  • 一場の夢と消え

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    寺男だった信盛が才能と才覚で、劇作家近松門左衛門として成功していくサクセスストーリーがとても面白かった。信盛の周りの芸事に携わる人たちが生き生きと描かれていて、特に丹六と玉鬘太夫のエピソードが芝居の演目のようにドラマチックで物悲しくて心に残った。

    「虚にして虚に非ず、実にして実に非ず、虚と実の間をつなぐのが芸というもんだ」

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    2026年08月21日
  • 吉原手引草

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    十年に一度の最高峰と謳われた吉原のトップ花魁・葛城が忽然と消えた――。
    大河ドラマ『べらぼう』を観ていたこともあり、吉原の喧騒や九郎助稲荷の路地裏、大門の熱気や見返り柳の風景といった舞台装置が、まるで映像のように鮮明に脳内再生されながら読み進めることができました。

    一人の探偵が謎を解くのではなく、同僚の遊女や、遣手婆、幇間、そして大店の主人といった裏方や客たちの「語り」によって真相に迫っていく構成です。
    立場も身分も違う市井の人々の口から、葛城の圧倒的な気配りや野暮のなさ、客の心理を見破るプロとしての生き様が語られていきます。お国訛りを隠すための「ありんす(廓詞)」というシステムの背景など、

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    2026年08月14日
  • 吉原手引草

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    吉原で働く人々、吉原を取り巻く人々への短いインタビューを繰り返していくうちに、消えた花魁・葛城の謎が次第に明らかになってゆくミステリー。面白いのは語りを通じて吉原での遊び方や習俗なとが分かる文字通りの「手引」になっていること。悪所とも地獄友言われる吉原で強かに生きる人間たちの暮らしと人生が鮮やかに脳裏で再現されるようで見事な一作でした。

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    2026年04月27日
  • 吉原十二月

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    吉原の妓楼・舞鶴屋を舞台に二人の花魁を楼主の視点から描く。毎月一つ、十二の話からなる。一人は小夜衣、頼りなさげだが実は強か。一人は胡蝶、闊達で負けず嫌い。禿の頃からの同胞であり、ライバルである。二人とも身請けされなかったが、意外な道へ進んで驚いた。

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    2026年04月12日
  • 吉原手引草

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    ネタバレ

    面白かった。当時の吉原の様子が臨場感を持ってわかるし、一つの文化として独特の美の世界が作り上げられていたことが感じられる。また、インタビューに応じてくれる吉原の人たちが実はみんな知らないふりをしているだけで柏木への敬意からその敵討ち及び失踪を後押ししたのではないかと気づいた時にぞくっと感動する。

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    2026年02月08日
  • 一場の夢と消え

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    近松門左衛門の生涯を描く時代小説。江戸時代は歌舞伎や浄瑠璃がこれほど身近にあったのか、と驚き、また、羨ましかった。
    杉浦信盛(後の近松)は浄瑠璃の発展とともに自身でも驚くような速さで売れっ子になっていく。それは、若い頃から古典文学や歴史への造詣が深く、また、考え方が柔軟で、切り替えが早い、ポジティブシンキングの人だった事が大きいように思った。
    この作者はまるで近松が目の前にいるかのように生き生きと描いていて、読んでいて楽しかった。火事になればあっという間にすべて焼けてしまう江戸時代。何度も大火に遭うが、簡単に建てられる芝居小屋はしぶとくすばやく再開するところも、あの時代の人々のバイタリティの表

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    2025年12月09日
  • 吉原手引草

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    吉原一の花魁・葛城が失踪した。
    その謎を探るため、ある男が関係者に聞き取りを行う。
    引手茶屋の女将、店の男衆から馴染みの客まで、さまざまな者から事情を聞く男。
    どうやら葛城の失踪には彼女の過去が絡んでいるらしい。
    葛城が失踪したその日、何があったのか、核心に迫る男が聞かされた真相とは。
    そして、謎の男の正体は…。
    失踪事件の謎を追いながら、吉原のすがたを鮮やかに描き出した、時代ミステリーの傑作。
    選考委員絶賛の第一三七回直木賞受賞作。


    「吉原手引草」というタイトルどおり、吉原の裏の裏までが詳細に書かれていて面白かった。
    ただ、聞き慣れない言葉が多く出てくるので、その都度調べながら読み進めた

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    2025年10月31日
  • 一場の夢と消え

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    近松門左衛門の生涯。地に足ついた語り口。今もなお名前と作品名と功績が称えられている超ビッグネームなお方だけど、本名の信盛目線で一緒に時間を進んでいけるのがなんとも楽しい。

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    2025年10月28日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    能や文楽、歌舞伎に行きたくなった時、読んでおくと筋がわかって理解が深まり、余裕を持って楽しめます。 時代が違うと景色が違い、常識や価値観が違って、なかなかわかりづらいことが多いのですが、どの新訳も面白く、登場人物が生き生きと動き、楽しく読み進めました。 一家に一冊。

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    2025年10月01日
  • 一場の夢と消え

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    近松門左衛門の一代記。歌舞伎と浄瑠璃の黎明期の様子がわかり、ファン必見と思う。
    当時の情勢に鑑みながら、有名な物語の生まれる背景や、話の筋をわかりやすく説明してくれて、またその時代の人の心情、京都と大阪の違いなんかもめっちゃ面白かった。今に通じるエンタメの創作の苦労とか、政治に翻弄される町人とか、どこを切り取っても面白かった!

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    2025年07月15日
  • 吉原手引草

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    木挽町の仇討ちを読んだすぐあとに読んだので、なんか構成が似すぎて、ちょっと楽しみが半減した。

    それでも吉原のことは全然知らないので、へーっていいいながら最後まで面白く読めた。

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    2025年06月11日
  • そろそろ旅に

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    面白かった
    上司や堅物の同僚や、大坂の荒くれ者や、遊郭の女性たちにも大いに気に入られたという十返舎一九
    優しいながらも冷たいところがある
    自分の中で相対するいろんな気持ちが、あったことだろう

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    2025年05月10日
  • 料理通異聞

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    八百善といえば江戸一番の料理屋。
    名前は知っているが内実はあまり知らなかった。
    八百善、本来の屋号は福田屋。4代目の善四郎の一代記。
    福田屋は仏事の際の御斎で使われる、精進料理を出す料理屋だった。
    それを善四郎がさまざまな出会いを通して江戸一番の料理屋に押し上げる。野心が旺盛な人物ではなく、人が喜ぶのが嬉しいちょっとおせっかいな、江戸っ子らしい善四郎がとてもいい。
    善四郎は化政期に「料理通」という本をものす。当時著名な酒井抱一や太田南畝なども筆を寄せる。一流の人々もの交流もわかる。
    もっと評価されて良い作品だと思う。
    とても興味深かった。

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    2024年11月21日
  • 一場の夢と消え

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    近松門左衛門の無名時代からに加え、京、大阪を舞台に「曽根崎心中」で不動の地位を得ても更に創作活動に励み、「国性爺合戦」で頂きに立った事実を元にした小説。家族とのやりとり、政治的な圧力、艶やかな女性との関わりなど、人間としての近松が面白かった。

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    2024年11月19日
  • 一場の夢と消え

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    ネタバレ

    松井今朝子さんは6冊目かな。今回もおもしろかった。
    近松門左衛門は不勉強で「曽根崎心中」を書いた人くらいしか知らないのが自分の残念なところ。
    でも十分に楽しめたし、読み応えもありました。
    当時の人々の暮らしや政情なども描かれていて、なるほどなあと思うところもあった。
    恵次とのエピソードが妙に楽しかったな。ヤキモキしながらも最後はほっこり。

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    2024年11月10日
  • 道絶えずば、また

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    江戸時代の歌舞伎界が舞台のミステリー。
    謎解き、歌舞伎界の内幕、奉行所=捜査陣と、視点が変わりながらストーリーが展開するのが面白い。
    前作を先に読めばよかった。

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    2024年10月29日
  • 吉原手引草

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    大量に江戸言葉とありんす言葉を摂取してもうお腹いっぱい。
    間接的に事件のことをインタビューし、大勢の人間から断片的に情報を集めていくのでじれったさもあった。

    読み終わった直後はなるほどそうだったのかと思ってたけど、何日か経つともうおぼろげであれなんだったっけ?状態になってしまった。

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    2024年07月28日
  • 星と輝き花と咲き

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    阿佐ヶ谷のコンコ堂さんの100円棚で買いました。
    本当に、コンコ堂さんにも松井今朝子さんにもハズレがない。

    松井さん自身、エンタメの世界に長くいたこともあって、芸能の裏側世界を書いて半端ない 笑。金、欲、名声。しかし、それらに全く絡めとられない主人公・綾ちゃんの清々しさも半端ない。
    真に突き進む人には、有象無象はどうやっても絡めないんだなぁ。夢に向かって真っ直ぐな、明治時代の美少女浄瑠璃語り、綾ちゃんの青春ストーリーです。女子の痛快ものを読みたい人におすすめします。

    ただし。小説ですが、早慶の学生の描写あり、早の学生に厳しいです 笑。松井さんは、早稲田卒ですが、なんぞ、恨みでも 笑、と、つ

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    2023年11月25日
  • 吉原手引草

    購入済み

    優れた構成

    主役 ヒロインの葛城花魁には最後まで語らせずに、周辺人物の証言で話を構成してゆくという、なかなかに凝った構成を取っている。話が進むに連れて段々と真相が明らかになってくる というクレッシェンドな話の進め方は大筋でいいのだが、途中やや中だるみ冗長なところが見受けられた。逆にエピローグ解決編がやや短すぎるようにも感じた。

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    2023年09月18日
  • 芙蓉の干城

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    木挽座シリーズ第二弾。今度も歌舞伎役者絡みの事件が発生し、戯作者の孫が解決に奔走する。単に殺人事件が起こったというだけでなく、昭和初期の雰囲気(軍人や特高の横暴が目立ったり、貧富の差が拡大しつつあったり、社会主義活動が活発だったり)がよく伝わってくる描写で、リアリティを感じる。一方で、この手の権力の横暴と、人間の欲望と、非力な人たちが追い詰められる場面というのは現代も同じ。事件は解決するが、なんとなく無力感を感じる。小説自体はとても面白く、第三部が楽しみ。

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    2023年01月22日