松井今朝子のレビュー一覧

  • 一の富 並木拍子郎種取帳
    平均的な娯楽作。
    ただ今一つキャラクターに乗っていくことができなかった。
    機微を描いているとは思うのだが、揺さぶられるものがない。
    娯楽作にそこまで求めるのは酷なのかも。
  • 円朝の女
    明治時代の落語家円朝を題材にした作品はいくつか読んだが、なぜ現代までその高い評価が継続しているのかいまだ得心がいかない。ただし、「真景累ケ淵」を読むとそこにあぶり出された奥深い人間の情念にぞっとさせられる。本著では円朝の弟子というかマネージャー的な男を語り部にしてその女性遍歴が綴られ、大きな変化の真...続きを読む
  • 家、家にあらず
    江戸時代の二十余万石大名の江戸屋敷大奥での出来事を書いている
    おもしろかった
    松井さんの作品、まだ3作目だけど1番好き
    内容は、少しこの時代の男と女の悲しさが感じられ
    松井さんの小説って、その時代その場所の悲しさ、おかしさが
    すんなりと無知な私にもわかるようになっているんだけど
    悲しいけれど、最終的...続きを読む
  • そろそろ旅に
    十返舎一九もの。駿府の侍だった男が、大阪に流れて商家の入り婿となり、浄瑠璃台本を書くようになり、江戸に渡って山東京伝に出会い、作家となり、また旅に出て「膝栗毛」を執筆するまでの話。

    この前に読んでいたのが「花伝書」シリーズだったので比べるとすらすらっと読める感じ。
  • そろそろ旅に
    『東海道中膝栗毛』の著者、十返舎一九の若かりし頃の話。大坂と江戸の町人の生活が活き活きと描かれていた。やはり全く異なるものですね。戯作の世界だけでなく江戸文化の香遊びや人形浄瑠璃といったのも出てきて楽しめた。一九は素直で思いやりがあるんだけど、反面、この男はひとつの場所にじっとはしておられず、つなぎ...続きを読む
  • 仲蔵狂乱
    江戸時代の歌舞伎役所を主人公にした小説。
    現代とは大分違うかもしれないけど、興業主と役者との関係や、改名、一門のことなんかが分かって面白かった。
    ストーリー的には、前半の孤児から千両役者へ成り上がっていく部分が、様々な人との交流が描かれていて面白かった。
    後半はゴシップ的な話や、政治の歴史的な話が多...続きを読む
  • 幕末あどれさん
    たいして引き込まれるという訳でもないのにぐんぐん読み進めてしまうんだな、この作者さんの本は。読みやすいのは確か。
    歌舞伎が好きらしくそんな構成ですね。

    土方歳三好きとしては名前が一回でただけで「おぉ!」と思ってしまった。条件反射。
    土方さんはどんなにチョイ役でも女作家さんには何故か良い描写されてい...続きを読む
  • 家、家にあらず
    もっとおもしろくなるところをちいさくまとめてしまった感あり。モッタイナイ。着物の描写がすばらしく見えるよう。
  • 仲蔵狂乱
    松井今朝子さんは直木賞の「吉原手引草」以来2冊目(刊行順だとこちらが先だけど)。今朝子さんは時代考証がしっかりしてるのが分かるから、小説を読む楽しみと時代風俗を知る楽しみの両方を味わえていい。
    エンタメ要素は手引草の方があったけど、こういう普通の構成の方が時代物は楽しめるかも。
  • 仲蔵狂乱
    江戸時代、浪人の子から
    実力で歌舞伎の花形まで上り詰めた中村仲蔵。

    読み終わってから、実在の人物を題材にした小説だってわかってびっくりした。
    たまたま養子先が梨園だったことから、
    養父養母に見込まれて、舞をたたき込まれて。
    でも素性がわからない子だってことで、
    下積み時代にはひどいイジメにあったけ...続きを読む
  • 仲蔵狂乱
    江戸時代、孤児の身から苦労に苦労を重ねて、歌舞伎界の大物役者になっていく主人公仲蔵の生涯。おもしろくなかったわけではないけれど、なんだろう、ところどころ、ものすごく引き込まれる部分と、なんだか退屈になる部分が交互にあらわれるような感じ。個人的に、名前の継承の話とか、家どうしの争いとか、座の政治的なか...続きを読む
  • 家、家にあらず
    同じ行儀見習いをするのでも、部屋子なら長局にいて部屋の主に行儀作法を教わり、茶の湯や音曲や聞香といった習い事をするだけですむ。身のまわりの世話もすべて部屋方の召使いがやってくれる。部屋子とは、つまりわが子のいない御殿女中の娘分のようなもの(p32)つまりはお滝のいう二通りの道で、殿様のご寵愛を得て若...続きを読む
  • 家、家にあらず
    終わり方が突然だなと感じた。本気でただ読み進めるつもりで次のページを開いたらもう解説ページでした。もう一回読んだら、もうちょっとくるくる変わる場面転換とかを面白く読めるのかなぁと考えてます。
    単純に時代小説とか好きなので、こういう風にいろいろ描写が細かいのは読んでて楽しかったかな。
  • 辰巳屋疑獄
    1/13 俯瞰で客観で、歴史の教科書に芝居が入ったような書き方で珍しいなあと思った。クライマックスに向かってのところ、もうちょっとつっこまれててもよかったかも。元助の気持ちがわかりづらいところもあり。
  • 一の富 並木拍子郎種取帳
    11/13 装丁がかなり最低だと思う。装丁まで含めての本だと思うんだけどなあ。。。その分☆1つを引きたい。話はおもしろかった。ひとつひとつのキャラが思い浮かべられるのは描写力のせいか。続きも読みたい。
  • 仲蔵狂乱
    歌舞伎役者中村仲蔵の一代記。名前は聞くけど名門出でないのに成功した役者、ということしか知らなかったので読んでみました。当時の芝居興行のシステムとか、複数の小屋(座)の関係、現代では名門となっている梨園の家系が出来上がっていく様ななんかも面白いです。
  • 仲蔵狂乱
    面白い。一気に読んだ。これを呼んでから定九郎の場面を見たい、と思うようになった。江戸の昔に、二荒山神社に巡業に来たという記述があって、江戸の宇都宮の人も芝居を見たのか、と思ったらやっぱり歌舞伎っていいなぁって思った。