松井今朝子のレビュー一覧

  • 奴の小万と呼ばれた女
    大阪屈指の豪商の娘、長身で美人。
    頭もよく、両家の娘のしてのたしなみの覚えもよく、
    しかも、ひとたびことあらば、火のような情熱で
    愛しい男を守るために角材を手にして大立ち回りもやってのける。
    世が世なら大活躍のスーパーウーマン・・・されど
    お雪が生きるのは、まだまだ女性の地位が低い江戸の昔。
    やるこ...続きを読む
  • 幕末あどれさん
    あどれさん、とは、仏蘭西語で、「青年」のことをさすとか。筆者は、歌舞伎等江戸文化の研究に秀でた方である。この方の描いた、幕末は、一味違う。有名所(土方さんとか)は、脇役である。主人公は、旗本の家に次男坊として生まれた、二人の青年。一人は、黒船以降、武士という階級に不思議を抱き、歌舞伎、戯作の世界へと...続きを読む
  • そろそろ旅に
    「東海道中膝栗毛」の十返舎一九の若いころを描いたもの。前半はなかなか読み進めないなーとちょっと思っていたりしたけれど、真ん中くらいから、一九が江戸に出て戯作者となっていくあたりから、なぜだか急にすごくおもしろくなった! 当時の江戸の出版界?の話とか、蔦屋重三郎とか馬琴とか式亭三馬とか出てくるあたりと...続きを読む
  • そろそろ旅に
    文庫化を待っておりました。嬉しい‼

    本書の前半は大阪が舞台で、「プリンセス・トヨトミ」を読み終わったばかりの自分は「大阪」らしさとはなんぞやとか思いつつ読んだりしました。
    本作もさまざまな情報がてんこもりで、しかもそれが香道だったり江戸時代の出版界だったり旅であったりといちいちツボにはまるので楽し...続きを読む
  • 家、家にあらず
    最近お気に入りの松井今朝子さん。時代小説が好きなのもあるけど、読みやすい!出てくる言葉とか舞台は現在の生活からは離れているから少し難しいけど、ストーリーがうまいと思う。
    現代では『家』って感覚は昔よりずっと穏やかなものになったけど、その時代は一大関心事であったことは確か。いずれは生家を嫁いで出てい...続きを読む
  • 家、家にあらず
    時代物。
    母を亡くした17歳の娘・瑞江は、遠縁の伯母が勤めている大名の砥部家に奉公に出ることになる。
    父の笹岡伊織は江戸北町奉行同心。つまり八丁堀勤め。これが1年ごとの契約というか奉公とは驚きました。
    おば様と呼んでいた浦尾は、表の老中に匹敵する御年寄職という大奥のトップ。威厳があり、何度か会っては...続きを読む
  • 非道、行ずべからず
    江戸の3座のひとつ・中村座の焼け跡から一人の男性の死体が見つかる。当代とっての女形・沢之丞の名跡を息子のどちらかに継がせるかが話題になっていた。戯作者、劇場主、帳元、金主など、中村座をめぐる不穏な空気が流れる中、次の殺人が。

    いや~、おもしろかった!同じ時代小説のミステリーでも、宮部さんとは違って...続きを読む
  • 似せ者
    江戸時代の歌舞伎役者をめぐる短編集。テンポの良い語り口で、読ませます。名優・坂田藤十郎の番頭を30年もつとめた与市がそっくりな旅回り役者に二代目を継がせようとする「似せ者」対照的な若い役者の微妙な葛藤と皮肉な盛衰を幼馴染みの女性を絡めて描いた「狛犬」一世一代のはずの引退興行を繰り返す人気役者と興行師...続きを読む
  • 仲蔵狂乱
    江戸時代の歌舞伎役者、仲蔵を描いた小説。
    中村仲蔵は、親を亡くして身元もはっきりしない。
    どことなしに愛嬌のある子だったのは知らない大人に養って貰うほかなかったためもあった。養母に踊りを仕込まれ、厳しい下積みに耐え、出世しようとしかけるとねたまれて辛酸をなめる。
    それもいつしか演技のすごみに繋がり…...続きを読む
  • 仲蔵狂乱
    田沼意次の時代、孤児から役者の養子となり、厳しい修行、役者同士の妬み、争いなどを乗り越えて人気役者への道を歩き続けた稀代の歌舞伎役者の話。時代の荒波に揉まれ続けた動乱の役者人生を味わえた。松井今朝子の時代物は相当に痛いところもあるけれどやはりじっくり魅せてくれる。役者として大成する話を期待して読むと...続きを読む
  • 似せ者
    役者と芝居にまつわる4つの短編集。どの話も江戸庶民の日常や打算、ほろ苦さが溢れていて面白く読めた。最後の明治維新への過渡期を芸人の視点から描いた「心残して」が一番心に響いたかな…
  • 家、家にあらず
    外様大名家に奉公に出た同心の娘が主人公。いやおう無くイジメや勢力争いに巻き込まれていく。おりしもその大名家に勤める女が役者と心中事件を起こし・・

    前半、冗長でだれましたが、後半は面白かったです。「子を産むための道具」としての女の哀しさをよく描いています。それに反抗していく主人公のかっこよさも・・...続きを読む
  • 幕末あどれさん
    5/7 おもしろかった。一つ一つの章はわりと短いのに、分断されている感じもせず。一人一人の物語が大きなうねりとなって時代を作っていた感じが伝わってきた。幕末にはじめて興味をもったかも。あと、江戸時代って私たちはひとくくりにわりかし見ているけどそれぞれの時代があって、それに合った芝居が存在していたんだ...続きを読む
  • 似せ者
    4/24 良質の短編集を読んだときというのは長編とはまた違った感覚になる。一つ一つの物語が短いのにどっぷり引き込まれていろんな世界を行ったりきたり。あー今朝子さんよいわ。好きだわ。もっともっと読みたいわ。そんでなんでこんな色気が描けるんでしょうと失礼ながらも不思議に思う。ご本人がそういう感じに見えな...続きを読む
  • 二枚目 並木拍子郎種取帳
    4/14 ひさしぶりの今朝子さん。前作(シリーズの)に比べて話が進むにつれ、明るい、おもしろいところだけじゃなくてキャラクターの深いところにまで触れていて楽しいだけではない哀愁があった。目に浮かぶような江戸時代の描写、演劇を知り尽くした上での謎解き。飽きないなあ。
  • 非道、行ずべからず
    久々に読み応えのあるものに出会えて満足!
    歌舞伎の表の華々しさだけではなく、その裏側の生々しい現実、芸の道に事細かにリアルに描かれていて、江戸の世の話なのにまるで現代に通じるものを感じてグイグイと惹きこまれていきました。
    テレビの勧善懲悪もの時代劇ドラマを見慣れているためか、時代小説は「死んだ息子の...続きを読む
  • 仲蔵狂乱
    仲蔵という芸名壱本で、七両取りの稲荷町から千両役者にまで上り詰めた。この後お前さんのような役者は、もう二度と出ねえよ
  • 非道、行ずべからず
    読み応えがあり、面白かった。江戸芝居町の風俗がきめ細やかに且つ生々しく描かれていて良い。本格時代ミステリーの傑作。
  • 家、家にあらず
    10/30 おもしろかった。その人の住む世界の道理と世の中の倫理みたいのの対立がこの人の作品の軸になっている気がする。ミステリとしても結構最後まで予想できずに読んでたので楽しめた。
  • 吉原手引草
    正体不明の主人公が、消えた花魁葛城の真実に迫る物語。主人公は誰なのか、葛城は一体何をしたのか…主人公が吉原で働く人々から話を聞く、という形で話は進行していきます。言葉遣いが昔のものなので、全く読めないというわけではないが難しさは感じました。また、専門用語的なものが多く、この時代についてもっと知ってい...続きを読む