松井今朝子のレビュー一覧

  • 吉原手引草

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    吉原のしきたりなどいろいろ知ることができた一冊。花魁のその後、この聞き役は誰だったのかも個人的には気になった。
    今の時代に生まれて良かったとありがたみを感じることができた。

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    2022年02月06日
  • 家、家にあらず

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    ネタバレ

    「御殿奉公」もの。ちなみに藩主も正妻も出てきません。舞台が江戸屋敷なのに藩主なんか国元で死んじゃうからー。
    なんと、大名の江戸屋敷にも、大奥同様に男子禁制の奥御殿が存在したとは。考えてみれば、藩主は参勤交代で1年おきに留守なわけで、そこに男が出入りするとややこしくなるわな、そりゃあな。

    解説の杉江松恋は「ゴシック・ロマンス・ジャポネスク」なんて茶化してますが、いやいや、真相に直前でようやく気付いた私は、大概な大うつけ。なんか沢之丞サイドが煮え切らないなあとは思っていたけど。

    個人的には、前作『非道行ずべからず』で荻野沢之丞を贔屓としたもんで、微妙に活躍しないのが残念だったけど、主人公の実の

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    2021年09月06日
  • 吉原手引草

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    落語の廓話と比べると、遊郭の構造の裏側が描かれている。えげつない話になりそうなところを、品性を保ちつつ、一人語りの多数の証言を積み重ねる構成で、テンポが良い。偶然にもクリスティのオリエント急行の殺人を読んでいたのだが、それへのオマージュ的なものを感じた。華やかさの裏にある吉原の凄み、えぐみ、人情にヤられる。

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    2021年03月06日
  • 吉原手引草

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    吉原の文化を、物語を通して楽しく理解できた。
    沢山の登場人物がいるけれど、それぞれの語り口の違いが明確で、それぞれの人物像、景色が想像できるので、あっという間に読み終えてしまった。
    結末を知ったうえでもう一度読みたい本。

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    2021年02月21日
  • 吉原手引草

    購入済み

    好きな形式

    主人公が各章ごとに関係者に問いかけていく構成。はじめはそもそもどんな事件かもわからない中で、次第に全体像ごみえてくる感じ、ん〜ンこういう構成、しびれますね。読み進める中で自然に江戸時代の遊郭を含めた文化も入ってきて、堪能いたしました。

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    2021年02月21日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    取り付きにくい古典を身近にしてくれる訳者の方に感謝。
    曽根崎心中、女殺油地獄、菅原伝授手習鑑、義経千本桜はストーリーも非常に面白い。

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    2019年05月19日
  • 吉原手引草

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    さまざまな吉原で起こった事件の関係者たちが事件当時のことに想いを馳せて証言をしていくストーリーテリング方式でとても面白かった。

    ただ事件そのものを理解するまで時間がかかるため、もやもやしたまんま事件の終着まで突っ走る感覚は好き嫌い分かれるかも。

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    2019年01月16日
  • 吉原手引草

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    吉原のとある事件の謎解きにいろんな人に話を聞く設定。
    吉原の当時のしきたりやら、江戸時代の風俗やら、結構出てきて勉強になるし興味深かった。
    そしてどうやって葛城は消えたのか?
    ちょうど歌舞伎を見に行って「助六由縁江戸桜」が上演されており、本書を読んでいたいのでとってもよく理解出来たのです。

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    2019年01月02日
  • そろそろ旅に

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    台風のお陰で
    ぽっかり できた 
    家に居つく休みの一日
    朝から 不穏な空の様子
    そのうち ぱらぱらと落ちてきたなと
    思ったら
    そのうち ものすごい風が…

    さて どうしよう と 思ったた時に
    ふと目に留まった一冊

    ページをめくって
    ものの十分もせぬうちに
    すっかり江戸期の大阪の町に
    連れていかれていた

    さすがに
    松井今朝子さん
    江戸期の浄瑠璃事情、読み本事情を
    ベースに、
    その時代のスーパースターたち
    十返舎一九を筆頭に戯作者たちが
    綺羅星の如く登場する

    物語の面白さは言うまでもなく
    その時代に生きた
    人たちの相互関係、互助関係が
    なんとも興味深く語られていく

    ふと 気が付くと

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    2018年09月04日
  • 吉原手引草

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    もう文章の秀逸さとプロットには脱帽、文句のつけよう無し。吉原入門の歴史書とも言える。ただ少し残念なのは葛城の人間像がもう少し多重で感じられたらもっとよかったと思って。関係する他人の証言から人間像を炙り出す手法の最高峰は、有吉佐和子の「悪女について」だと思ってるので、どうしてもそれと比較してしまいます。レベルの高い本作品だからこその、私の無い物ねだりです。素晴らしい作品であること、堂々たる直木賞作品であることは間違いありません。

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    2018年07月29日
  • 壺中の回廊

    購入済み

    大切なものを守るということ

    戦前、昭和が始まったばかりの話で、最初はその時代背景のせいかなかなか読み進められなかった。
    木挽座での歌舞伎の話が始まってから、俄然引き込まれました。

    多くの登場人物に犯人を特定するのが難しい、ミステリーとしてもとても楽しめました。

    歌舞伎が伝統を繋ぐ大変さや、新しい事へ挑戦することの難しさなどは、現代も抱える課題なんだろうと思います。

    人が大切なものを守るのは、本当に大変です。

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    2017年11月16日
  • 円朝の女

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    落語が好きで、「塩原多助」も、「真景累ヶ淵」も、昔、『明治文学全集』で読んだことがある。
    まったく読んだことがない作家の作品だけれど、数年前からずっと気になっていた。

    円朝のおかみさんとなったお幸、円朝の子を産んだお里、ひょんなことから関わりを持った長門太夫、養女お節などの女性たちとのかかわりを通して、円朝の半生が浮かび上がってくる仕掛けの小説だった。
    それを語るのは、円朝の弟子で、今や本業では食いあげて、五厘という、芸人にくっついて上前をはねる仕事(今でいうならマネージャー?)となった八。

    まず印象的なのは、本当に聞こえてくるかのような、歯切れのいい江戸弁。
    これに惚れ惚れしてしまう。

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    2017年10月15日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    菅原伝授手習鑑 三浦しをん 訳
    実際の出来事を後年、娯楽として楽しみながら市井の人間は、知って行ったのだなということがよく感じられる人形浄瑠璃。これが、今、私たちが普通に使う言葉に置き換えられているのだから臨場感あふれるのは当たり前。ここまで持って来てくださった役者三浦しをんさんに感謝。

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    2017年08月20日
  • 仲蔵狂乱

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    歌舞伎好きの人にはお馴染なのだろうが、あいにくそっち方面の趣味がないので、中村仲蔵と言えば落語しか知らない。噺の中での仲蔵は、斧定九郎の役作りに悩み、ついに現代に伝わる黒羽二重に朱鞘の大小、破れ傘を傾げて血反吐を吐くというスタイルを確立して、江戸中の話題をかっさらった人物として描かれる。

    『仲蔵狂乱』は、この有名なエピソードはもちろん織り込みつつ、みなし子に育ち、最下級の稲荷町で苦渋を舐めた時代から、ついに名題にまで昇り詰め、江戸三座の座頭を張るまでになった稀代の歌舞伎役者の人生を、当時の世相を交えながら詳細に描く、著者渾身の一篇。こういう力の入った小説を読むのは、最高の読書体験だ。

    萩尾

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    2017年06月17日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    能・狂言(岡田利規)
    説教節(伊藤比呂美)
    曽根崎心中(いとうせいこう)
    女殺油地獄(桜庭一樹)
    菅原伝授手習鑑(三浦しをん)
    義経千本桜(いしいしんじ)
    仮名手本忠臣蔵(松井今朝子)
    月報:酒井順子・後藤正文

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    2017年04月05日
  • 仲蔵狂乱

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    中村仲蔵の波乱万丈の人生。
    芝居に、踊りに生きた人生。
    挫折しそうになっても、「芸があの子を見捨てない」の言葉通り、叩き込まれた芸が仲蔵を助けてくれる。
    七両役者から千両役者へのサクセスストーリーなわけだけれども、一心に芸を求めた男の物語、人の一生の儚さとか脆さとかも含めて、最後は無常観に尽きた。

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    2017年04月02日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    タイトルは知っているものの
    中身は案外知らない
    有名、名作、古典がズラリとそろった
    分厚い一冊。

    読めるのかな?
    と、少し心配しながら手にとったところ
    これがさすがに、現代作家にかかると
    すいすいと読めてしまう。
    ストーリー展開のおもしろさに
    「こんな話だったの?」と驚かされたり。

    物語に、古い新しいはなく、人の心を
    惹きつけるものは、変わりなくおもしろいのだ。
    と、古典をもっと読みたくなった。

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    2016年12月09日
  • 壺中の回廊

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    関東大震災の影響が残り、世界恐慌に労働争議という昭和5年の社会情勢。いつの世でも世の中を映す歌舞伎の世界。
    そんな社会情勢の影響を受け、歌舞伎のバックステージで起きた殺人事件。
    事件の決着の付け方は、歌舞伎の台本の様にも思える。

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    2016年10月09日
  • 幕末あどれさん

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    旗本の次男坊、宗八郎は武士に嫌気がさして狂言作者の道に入り、どうしようもない兄を持つ源之助は幼なじみの許嫁を待たせつつ創設されたばかりの陸軍に志願する。時代に翻弄された、あどれさん(フランス語で若者の意)を描く。

    読み始めたら止まらない。江戸から明治にかけて、刻々と変わっていく江戸と日本と市井の人々の生活。男は勝手で、それに振り回される女。貧乏武家なんて、当時こんな風になってたのかもな。哀しい。

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    2015年10月26日
  • 師父の遺言

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    松井今朝子さんの作品は直木賞を受賞した「吉原手引草」を読んだことがあるだけだ。ミステリーめいて非常に面白い作品だったけれど時代小説が苦手なせいでなかなか手がのびす。

    ところが先日読んだ「直木賞受賞エッセイ集成」で彼女の生い立ちやら小説を書くようになったきっかけに興味を持ったのと、あの直木賞受賞のエッセイなのにまったくフレッシュさがなく玄人めいた感じだったのがやけに気になっていた。
    と言うわけで話題の本書を読んでみることにした。

    なるほどねー。分かりましたよ。
    松井さんの人生のピークは直木賞を貰う前にとうに来ていたようで。
    それは武智鉄二の演出助手として「けいせい仏の原」という歌舞伎作品に携

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    2014年09月29日