松井今朝子のレビュー一覧
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ネタバレ「御殿奉公」もの。ちなみに藩主も正妻も出てきません。舞台が江戸屋敷なのに藩主なんか国元で死んじゃうからー。
なんと、大名の江戸屋敷にも、大奥同様に男子禁制の奥御殿が存在したとは。考えてみれば、藩主は参勤交代で1年おきに留守なわけで、そこに男が出入りするとややこしくなるわな、そりゃあな。
解説の杉江松恋は「ゴシック・ロマンス・ジャポネスク」なんて茶化してますが、いやいや、真相に直前でようやく気付いた私は、大概な大うつけ。なんか沢之丞サイドが煮え切らないなあとは思っていたけど。
個人的には、前作『非道行ずべからず』で荻野沢之丞を贔屓としたもんで、微妙に活躍しないのが残念だったけど、主人公の実の -
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好きな形式
主人公が各章ごとに関係者に問いかけていく構成。はじめはそもそもどんな事件かもわからない中で、次第に全体像ごみえてくる感じ、ん〜ンこういう構成、しびれますね。読み進める中で自然に江戸時代の遊郭を含めた文化も入ってきて、堪能いたしました。
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台風のお陰で
ぽっかり できた
家に居つく休みの一日
朝から 不穏な空の様子
そのうち ぱらぱらと落ちてきたなと
思ったら
そのうち ものすごい風が…
さて どうしよう と 思ったた時に
ふと目に留まった一冊
ページをめくって
ものの十分もせぬうちに
すっかり江戸期の大阪の町に
連れていかれていた
さすがに
松井今朝子さん
江戸期の浄瑠璃事情、読み本事情を
ベースに、
その時代のスーパースターたち
十返舎一九を筆頭に戯作者たちが
綺羅星の如く登場する
物語の面白さは言うまでもなく
その時代に生きた
人たちの相互関係、互助関係が
なんとも興味深く語られていく
ふと 気が付くと -
購入済み
大切なものを守るということ
戦前、昭和が始まったばかりの話で、最初はその時代背景のせいかなかなか読み進められなかった。
木挽座での歌舞伎の話が始まってから、俄然引き込まれました。
多くの登場人物に犯人を特定するのが難しい、ミステリーとしてもとても楽しめました。
歌舞伎が伝統を繋ぐ大変さや、新しい事へ挑戦することの難しさなどは、現代も抱える課題なんだろうと思います。
人が大切なものを守るのは、本当に大変です。 -
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落語が好きで、「塩原多助」も、「真景累ヶ淵」も、昔、『明治文学全集』で読んだことがある。
まったく読んだことがない作家の作品だけれど、数年前からずっと気になっていた。
円朝のおかみさんとなったお幸、円朝の子を産んだお里、ひょんなことから関わりを持った長門太夫、養女お節などの女性たちとのかかわりを通して、円朝の半生が浮かび上がってくる仕掛けの小説だった。
それを語るのは、円朝の弟子で、今や本業では食いあげて、五厘という、芸人にくっついて上前をはねる仕事(今でいうならマネージャー?)となった八。
まず印象的なのは、本当に聞こえてくるかのような、歯切れのいい江戸弁。
これに惚れ惚れしてしまう。
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歌舞伎好きの人にはお馴染なのだろうが、あいにくそっち方面の趣味がないので、中村仲蔵と言えば落語しか知らない。噺の中での仲蔵は、斧定九郎の役作りに悩み、ついに現代に伝わる黒羽二重に朱鞘の大小、破れ傘を傾げて血反吐を吐くというスタイルを確立して、江戸中の話題をかっさらった人物として描かれる。
『仲蔵狂乱』は、この有名なエピソードはもちろん織り込みつつ、みなし子に育ち、最下級の稲荷町で苦渋を舐めた時代から、ついに名題にまで昇り詰め、江戸三座の座頭を張るまでになった稀代の歌舞伎役者の人生を、当時の世相を交えながら詳細に描く、著者渾身の一篇。こういう力の入った小説を読むのは、最高の読書体験だ。
萩尾 -
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松井今朝子さんの作品は直木賞を受賞した「吉原手引草」を読んだことがあるだけだ。ミステリーめいて非常に面白い作品だったけれど時代小説が苦手なせいでなかなか手がのびす。
ところが先日読んだ「直木賞受賞エッセイ集成」で彼女の生い立ちやら小説を書くようになったきっかけに興味を持ったのと、あの直木賞受賞のエッセイなのにまったくフレッシュさがなく玄人めいた感じだったのがやけに気になっていた。
と言うわけで話題の本書を読んでみることにした。
なるほどねー。分かりましたよ。
松井さんの人生のピークは直木賞を貰う前にとうに来ていたようで。
それは武智鉄二の演出助手として「けいせい仏の原」という歌舞伎作品に携