あらすじ
関東大震災からの復興の兆しを見せる昭和五年、東京。歌舞伎の殿堂木挽座に“掌中の珠を砕く”という脅迫状が届く。皆が疑心暗鬼にかられるなか『忠臣蔵』に出演中の花形役者が毒殺される。江戸の狂言作者の末裔桜木は、築地署の笹岡と真相究明に乗り出す。容疑者は、役者、裏方、観客すべて。だが、嘘をつくのが商売の役者を相手に捜査は難航……。変革の時代を背景に描く歌舞伎バックステージミステリー。
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大切なものを守るということ
戦前、昭和が始まったばかりの話で、最初はその時代背景のせいかなかなか読み進められなかった。
木挽座での歌舞伎の話が始まってから、俄然引き込まれました。
多くの登場人物に犯人を特定するのが難しい、ミステリーとしてもとても楽しめました。
歌舞伎が伝統を繋ぐ大変さや、新しい事へ挑戦することの難しさなどは、現代も抱える課題なんだろうと思います。
人が大切なものを守るのは、本当に大変です。
Posted by ブクログ
関東大震災の影響が残り、世界恐慌に労働争議という昭和5年の社会情勢。いつの世でも世の中を映す歌舞伎の世界。
そんな社会情勢の影響を受け、歌舞伎のバックステージで起きた殺人事件。
事件の決着の付け方は、歌舞伎の台本の様にも思える。
Posted by ブクログ
歌舞伎の舞台裏で事件が起きるバックステージ・ミステリだが、昭和初期、ニューヨーク発の世界恐慌の波が押し寄せて、急速にきな臭くなっていく世相を描く時代ミステリでもあり、そちらの色の方が濃いかも知れない。ただ、ミステリと言うよりミステリ仕立てで、ため息が出るほど細やかに伏線は張り巡らされているものの、フーダニットのつもりで読んだなら、不満は出そうな気はする。極悪人の印象が強い登場人物まで、その心情にフォローが入っていたりして、人が大勢殺される話なのに、主要登場人物には本当の悪人がいないお話。当然、読後感は爽やか。桜木はもちろん、澪子の将来など、時代を考えたら、到底平坦には思えないのだけどね。
雰囲気を楽しむ
特に印象に残るストーリーではありませんでしたが、時代背景や当時の空気感を存分に味わえる作品。
最後まで一気に読み進めるわくわく感もありました。
Posted by ブクログ
関東大震災から7年後昭和5年の旧劇(歌舞伎)界に起きる殺人事件。時代背景を大いに浮かび上がらせながら調査と捜査が始まる。
多くの登場人物が世相を映し出し、多くの言葉の端々に大小さまざまな石ころのように結末へのヒントが転がっている。
しかし物語があっちへこっちへ…
読むペースが落ちるも、さすがに最後はスピードアップした。