松井今朝子のレビュー一覧

  • 愚者の階梯
    忘備録。輝ける人間ってを慕って意に沿おうとした結果、敬愛する恩師の命を奪うことになった人間が害虫呼ばわりされてしまおのは気の毒すぎる。自らの輝きで人を惹きつけて大いに稼ぐ人間はしっかり守られても、片や職務に忠実で従順な凡人が虫けらのように扱われてしまうというのではいいわけがない。本文から
  • 歌舞伎の中の日本
    総合芸術歌舞伎とは?
    『忠臣蔵』『四谷怪談』などから、日本人のメンタリティーに鋭く迫る。
    舞台の制作や台本作りに携わった著者が写真や図版を多用して、歌舞伎の真髄を綴った格好の入門書。

    歌舞伎とはどんな芸術か、どう鑑賞すればいいのか。『忠臣蔵』や『四谷怪談』など人気演目を年代順に取り上げ、背景や見所...続きを読む
  • 吉原十二月
    実際に遊郭で娼妓を勤めていた方の本を読んだばかりだったため、終始物語(フィクション)、悪く言えば偽物の話として読んだ。眠ることも出来ない程過労な日々、性病に蝕まれ子供も産めぬ体になり世間では前科者扱いされる末路、自尊心から意地悪至極を尽くす朋輩、定期的な性病検診や注射や手術、花魁の命より金庫を優先す...続きを読む
  • 吉原手引草
    吉原の売れっ子花魁、葛城がある日突然失踪した。一章ごとに語り手が変わりながら、葛城の失踪の真相が徐々に明らかになる。

    吉原を舞台にしているけれど花魁の生活や色恋沙汰はほとんど描写されず、肝心の葛城から真相が語られることもないのだけれど、人々の語りが繋がって、全てが完結する。ミステリー小説としても伏...続きを読む
  • 芙蓉の干城
    #芙蓉の干城 #松井今朝子 #読書記録

    時代物は苦手、というと母が、松井今朝子なら読める、とのご推薦を受けて。
    とはいえ手に取った1冊目は昭和。

    歌舞伎劇場を舞台とした劇場時代ミステリー。三部作の二作目らしい。

    歌舞伎を先日見たこともあり、選んでみた。
    なるほどその時代を思いつつ。

    時代物...続きを読む
  • 愚者の階梯
    事件の顛末と時代の空気感をリンクさせて表現した伝統芸能ミステリー。使われる言葉や文章表現からして時代感を表現できているのはすごい。あまりにも文章が巧みなのでどんどん読み進めてしまう。それぞれの人生模様が面白い。ただし、正直ミステリーとして読むには説得力が足りないように感じたし、首謀者不在の時代犯罪に...続きを読む
  • 愚者の階梯
    昭和初期の演劇界の雰囲気がプンプンする。

    序盤はとても惹きつけられたが、中盤からテンポが落ちた感じがする。
    昭和初期の雰囲気をじっくり味わうにはそうあるべきかもしれないが。

    ちょっとした行き違いから雰囲気と忖度に流されて思わぬ結末を迎えるというのは、今にも通じる。古今東西共通か。
  • 壺中の回廊
    歌舞伎の舞台裏で事件が起きるバックステージ・ミステリだが、昭和初期、ニューヨーク発の世界恐慌の波が押し寄せて、急速にきな臭くなっていく世相を描く時代ミステリでもあり、そちらの色の方が濃いかも知れない。ただ、ミステリと言うよりミステリ仕立てで、ため息が出るほど細やかに伏線は張り巡らされているものの、フ...続きを読む
  • 芙蓉の干城
    昭和初期の歌舞伎界を舞台に起きる連続殺人を、評論家が解き明かす。
    不調法にて歌舞伎なぞ2回ほどしか見たことない私にも、舞台からその裏までの魅力やしかけが生き生きと映るさすがの描写。人物もみんな深みがある。
    科学捜査のない時代(指紋がやっと)に、証言と観察から、人間関係のもつれと動機への推理で犯人に迫...続きを読む
  • 吉原手引草
    色々な人に話を聞くにつれて、いなくなった花魁に何が起こったのかが徐々に明らかになっていくのが面白かったです。
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵
    能は実際に観た時も分からんかったけど読んでも分からんかった
    狂言は面白かった
    説経説も面白かった
    出家した旦那追いかけ回すなよって思ったけど、私も絶対追いかけ回すタイプ
    浄瑠璃は世話物も時代物も人情味があって面白い
    時代物の戦闘シーンはやっぱり生で観たらさぞ面白いんじゃないかなって思う
    女殺油地獄は...続きを読む
  • 吉原手引草
    内容というより、吉原のしきたりが分かったという意味で面白かった

    言葉が現代語ではなく独特のなので、読みにくかった
    ところどころ流し読みした

    一度女性を選んだら他の女にのり移れ無い、まるで現代のホストクラブの様な仕組みだなと思った

    吉原について色々知りたいと思った
  • 壺中の回廊

    雰囲気を楽しむ

    特に印象に残るストーリーではありませんでしたが、時代背景や当時の空気感を存分に味わえる作品。
    最後まで一気に読み進めるわくわく感もありました。
  • 作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美
    「 作家と楽しむ古典 」日本文学全集の現代語訳を行った 有名作家の あとがき的 エッセイ。

    やはり 作家だけあって、文章を 現代語に訳すというより、著者の意図を 現代的に書き直しているみたい。日本文学全集 即買い。


    島田雅彦 「 好色一代男 」 エロかつ経済小説
    *女たらしの遍歴の物語
    *遊郭...続きを読む
  • 老いの入舞い 麴町常楽庵 月並の記
    大奥を下った老女と若い定町廻り同心が事件に巻き込まれ、解決していく。
    老女と同心にはなんらかの関係がありそうだが、まだ明らかにされていない。
    同心と周りの人と関係がしっくりこないのは、同心が成長していく過程で、しっくりしてくるのだと思う。

    次巻を期待しよう。
  • 吉原十二月
    負けん気の強い胡蝶。
    どこか強かな小夜衣。
    幼馴染でありライバルでもある二人の花魁の年月を十二月に沿って廓主によって語られる。

    二人は最後にどうなるのかと気になりながら、対照的な二人に起きる数々の廓特有の日常・出来事・事件を飽くことなく読めた。
  • 壺中の回廊
    関東大震災から7年後昭和5年の旧劇(歌舞伎)界に起きる殺人事件。時代背景を大いに浮かび上がらせながら調査と捜査が始まる。
    多くの登場人物が世相を映し出し、多くの言葉の端々に大小さまざまな石ころのように結末へのヒントが転がっている。

    しかし物語があっちへこっちへ…
    読むペースが落ちるも、さすがに最後...続きを読む
  • 老いの入舞い 麴町常楽庵 月並の記
    若く正義感に満ちた新米同心と、
    それを眩しくかわいいと思って眺める大奥出身の尼僧。

    この二人のやりとりだけでも、心の読み合いにも
    おかしみがあり、また現れるキャラクターもそれぞれ
    個性的で、愛嬌があり楽しく読めた。

    作者の他の作品にくらべると、少しこじんまりした感は
    あったけれど、楽しい芝居を観...続きを読む
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵
    我が家から五十メートルばかし行ったところに「口の芝居跡」という碑が立っている。その昔、京・大阪の芝居小屋にかける前、全国から伊勢参りに来る旅人目当てに、ここで演じて評判が良ければ大受けまちがいなしとして、試演される芝居小屋だったと聞く。有名な歌舞伎役者もこの芝居小屋の舞台に立ったこともあって、古市は...続きを読む
  • 吉原手引草
    忽然と消えた花魁。
    彼女の身に何が起こって、どこへ消えてしまったのか。

    吉原、という場所に関係する人達が
    消えた花魁について一人称で語ります。
    消えた、という花魁が、何故消えたのか、すら
    こちらは知らない状態から始まるので
    事件が何なのか、も分かりません。

    徐々に何が起こって、花魁がどうしたのか...続きを読む