松井今朝子のレビュー一覧
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ネタバレ一場の夢と消え
著者:松井今朝子
発行:2024年8月30日
文藝春秋
初出:「オール讀物」2023年3・4月号~2024年3・4月号
もう4年も前になるが、同じ著者による「江戸の夢びらき」という小説で、初代市川團十郎の誕生と、二代目團十郎が一人前になっていく様子が描かれた。史実に基づいたフィクションとのことわりがあり、團十郎の評伝的な小説でもあった。
今回は、舞台が関西、京と大坂である。主人公は近松門左衛門こと、杉森信盛。
越前の武士の子として生まれた信盛が、京でどのようにして浄瑠璃や歌舞伎の脚本家となっていったのか、そして、大坂で曽根崎心中を大ヒットさせて不動の地位を築いた経緯、国 -
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総合芸術歌舞伎とは?
『忠臣蔵』『四谷怪談』などから、日本人のメンタリティーに鋭く迫る。
舞台の制作や台本作りに携わった著者が写真や図版を多用して、歌舞伎の真髄を綴った格好の入門書。
歌舞伎とはどんな芸術か、どう鑑賞すればいいのか。『忠臣蔵』や『四谷怪談』など人気演目を年代順に取り上げ、背景や見所、作劇法を論じる。舞台の重要な要素「舞踊」も解説し、先行芸能や文化風俗を取り込み、その時代の人々の暮らしを反映させた歌舞伎の姿を浮き彫りにする。日本人のメンタリティーが生んだ歌舞伎の本当の面白さとは!? 写真や図版を盛り込み総合芸術歌舞伎の真髄に迫る格好の入門書。 -
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実際に遊郭で娼妓を勤めていた方の本を読んだばかりだったため、終始物語(フィクション)、悪く言えば偽物の話として読んだ。眠ることも出来ない程過労な日々、性病に蝕まれ子供も産めぬ体になり世間では前科者扱いされる末路、自尊心から意地悪至極を尽くす朋輩、定期的な性病検診や注射や手術、花魁の命より金庫を優先する主人。そういった描写は無かった。そのため、華やかで、地位のある花魁のこういった描かれ方は、果たして本当にあったことなのか 私たち世間の一般人が見たいように見るためのコンテンツ化されたものなのか判別出来なかった。自分の無学を恨む。また、書かれていることがちゃんと面白いのと、一人の主人の主観でずっと物
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歌舞伎の舞台裏で事件が起きるバックステージ・ミステリだが、昭和初期、ニューヨーク発の世界恐慌の波が押し寄せて、急速にきな臭くなっていく世相を描く時代ミステリでもあり、そちらの色の方が濃いかも知れない。ただ、ミステリと言うよりミステリ仕立てで、ため息が出るほど細やかに伏線は張り巡らされているものの、フーダニットのつもりで読んだなら、不満は出そうな気はする。極悪人の印象が強い登場人物まで、その心情にフォローが入っていたりして、人が大勢殺される話なのに、主要登場人物には本当の悪人がいないお話。当然、読後感は爽やか。桜木はもちろん、澪子の将来など、時代を考えたら、到底平坦には思えないのだけどね。
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購入済み
雰囲気を楽しむ
特に印象に残るストーリーではありませんでしたが、時代背景や当時の空気感を存分に味わえる作品。
最後まで一気に読み進めるわくわく感もありました。