松井今朝子のレビュー一覧

  • 壺中の回廊
    歌舞伎の世界を旧劇と呼んでいた時代のお話。 殺人予告が本物の事件となり解決へ関わる事となった大学講師 桜木次郎。封建的なこの世界で役者や下働きの者の権利を訴える労働運動はまだまだ時期尚早なのか... 大好きな松井今朝子だからもっと何かあると思いすぎでしまったかも知れない。
  • 仲蔵狂乱
    ちょっと変わった、歌舞伎役者の一生を描いた話。
    松井今朝子の「吉原手引草」があまりに面白かったので、
    読んでみました。

    まあ、「吉原手引草」ほどではなかったかな・・・
  • 吉原十二月
    吉原の大籬、舞鶴屋の主人の語り口で進むお話。
    小夜衣と胡蝶という二人の花魁が中心となり移り行く季節と年月、そして吉原遊廓という空間が小気味よく描かれている。
    どちらかというと小夜衣にスポットが当たり、彼女については良い面ばかりという印象。最後まで読むと「だからなのかな」と思うところがあるのだけど、逞...続きを読む
  • 円朝の女
    内容(「BOOK」データベースより)
    時代の絶頂を極め、近代落語の祖と言われた大名人・三遊亭円朝と彼を愛した五人の女。江戸から明治に変わる歴史の大転換期に生きた彼らの姿、いつの世も深く果てない男女の仲を、語りの名手がいま鮮やかに炙り出す―全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで、女を活写す...続きを読む
  • 吉原十二月
    二人の花魁にスポットをあて、吉原での十二月を描いた小説。

    ここ!と言った山場はないものの
    吉原での月々の行事や遊女たちの生活、風習が描かれていて面白かったです。

    吉原と言うとどうしても切ない恋や物悲しい内容を想像しがちですが
    この小説に出てくる二人の花魁は凛としていて
    格好いいです。
  • 師父の遺言
    内容(「BOOK」データベースより)
    祇園の料亭に育ち、歌舞伎の世界に飛び込んだ著者は、稀代の演出家にして昭和の怪人、武智鉄二に出会った。この反骨の師が全身全霊で教えてくれた、人生の闘い方とは―。直木賞作家が波乱万丈の半生を綴る自伝文学の傑作!
  • 非道、行ずべからず
    江戸時代の歌舞伎の世界を舞台にした、ミステリー。
    なかなか犯人が分からなくて、うまい仕掛けだなと思ったけど。
    545ページを使ってその終わり方?
    と、ちょっとがっかり。
  • 吉原十二月
    廓に売られてきた2人の少女が、競い合いながら花魁へと成長していく話。
    色々な事件がありつつ、最後はほのぼのハッピーエンドで良かった。

    吉原手引草と同じ作家さんで、同じく語り口調で物語が進んでいく。
    それがどうも、なじめないな。
  • 一の富 並木拍子郎種取帳
    大店の不義密通事件、出合茶屋の幽霊騒動、金貸し老婆の首縊り事件…。人気狂言作者に弟子入りした拍子郎(ひょうしろう)が遭遇する事件と、江戸の四季・人情が織りなす、粋でいなせな捕物帳の傑作。

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    勧善懲悪痛快捕物帳。

    軸のストーリーとは別に、江戸の風情が...続きを読む
  • 星と輝き花と咲き
    ☆3.3
    実在の人物、女義太夫竹本綾之助の物語。

    元祖アイドルと言えるほどの人気。
    追っかけに悩まされ、忙しさのあまり恋愛を知らずに育つなどまさしくアイドル。いや、現在のアイドルは上手くやってるようなので一昔前のアイドルか。

    また、できちゃった婚をして芸能界を引退し、10年後にまた復活するってと...続きを読む
  • 似せ者
    内容(「BOOK」データベースより)
    「似せ者とわかっていながら、なぜこんなにも心が騒ぐのだろうか」。時は江戸。歌舞伎芝居の名優のそっくりさんが二代目を名乗り、人々は熱狂して迎えるが…。表題作のほか、若い役者二人の微妙な関係を描く『狛犬』、お仕打が東奔西走する『鶴亀』、幕末混乱期の悲恋をめぐる『心残...続きを読む
  • 道絶えずば、また
    内容(「BOOK」データベースより)
    江戸中村座。立女形三代目荻野沢之丞が、引退を決めて臨んだ舞台で、奈落へ落ちて死んだ。大道具方の甚兵衛が疑われたが、後日首を吊った姿で見つかる。次に沢之丞の次男・宇源次が、跡目相続がらみで怪しまれた。探索にあたる北町奉行所同心・薗部は、水死体であがった大工の筋から...続きを読む
  • 家、家にあらず
    内容(「BOOK」データベースより)
    江戸北町奉行同心・笹岡伊織の娘瑞江は、おば様と呼んでいる御年寄職・浦尾の勧めで、大名砥部家奥御殿に奉公へ。否応なく、陰湿ないじめや、長局内の勢力争いに巻き込まれていく。折しも、砥部家に勤める女が役者と起こした心中事件を、伊織が探索することになり…。閉ざされた“女...続きを読む
  • 仲蔵狂乱
    内容(「BOOK」データベースより)
    「存分に舞い狂うてみせてやる…」江戸は安永―天明期、下積みの苦労を重ね、実力で歌舞伎界の頂点へ駆けのぼった中村仲蔵。浪人の子としかわからぬ身で、梨園に引きとられ、芸や恋に悩み、舞いの美を究めていく。不世出の名優が辿る波乱の生涯を、熱い共感の筆致で描く。第八回時代...続きを読む
  • 非道、行ずべからず
    内容(「BOOK」データベースより)
    文化六年元旦、江戸最大の劇場、中村座が炎上し、焼け跡から、男の死体が見つかる。正月興行に水をさされ、下手人が身内でないことを祈る劇場主十一代目中村勘三郎。だが折しも、三代目荻野沢之丞が、誰に名跡を継がせるか、話題となっていた。反目しあう兄弟、戯作者、帳元、金主等...続きを読む
  • 円朝の女
    伝法な口調の「語り手」の地の文のおかげで、とにかくスピード感を持って読める。

    主人公は円朝自身ではなく、あくまでその周辺の「女」であることが

    他の円朝ものとは違う利点。

    うむ面白い。

    いろんな女。

    ただ決め手に欠ける。

    そんな読後感。
  • 非道、行ずべからず
    ☆3.3
    歌舞伎を観たことがなくても、情景が目に浮かぶような素晴らしい描写はさすが松井今朝子といったところ。
    ただ、中盤で解説風の部分が多くてちょっと退屈した。
    でも理一郎と女形三人組のその後が気になる(笑)
  • 奴の小万と呼ばれた女
    型破りな女性の一生。
    今読んでもとんでると感じるのだから江戸時代当時はどれほどか。
    一生懸命生きていた雪の一生は読後爽快。
  • 幕末あどれさん
    幕末から明治維新にかけて、二人の旗本の次男坊が時代の波に翻弄される物語。

    ベースとしてその時代の歌舞伎を裏側から描くことにより、江戸の町の幕末の雰囲気を明らかにしながら、名も無い若者が、武士の存在価値がなくなっていくその時代を生き抜こうとする姿を、交互に描く。そして最後に二人が交差する。

    自分が...続きを読む
  • 四文屋 並木拍子郎種取帳
    「ランティエ」に掲載された5話を文庫化した、シリーズ4作目。

    北町奉行所の同心の家に生まれたが、芝居作家を目指して
    座付きの狂言作者並木五瓶の弟子となった拍子郎が、芝居
    町に起こる出来事を解決していく。

    一向に進まない拍子郎とおあさとの恋路のもどかしさを伏線
    にしつつ、早稲田の大学院で歌舞伎を研...続きを読む