【感想・ネタバレ】吉原手引草のレビュー

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ネタバレ

前にもこんな構成の本読んだんだけど思い出せない。登場人物がすべて読者=主人公に語り掛けてくるような感じで主人公のセリフをすべて対面の登場人物が
「え?あんたはそんな風ににみえないよ、だって?言ってくれるじゃねーか!」
みたいな感じでそれが自然な流れなので違和感がなくテンポよく読める。また、タイトルにも手引と書かれているように全く吉原を知らない人間がこの本を読めば通風を気取れるくらいに詳しくなれる。つい、ああ、ちょっと行ってくるかってなる。もちろん花魁相手にするような甲斐性はない笑
吉原に関する役職が順に登場し、その会話の流れから失踪した名うての花魁の失踪事件の核が見えてくる。またここにも時代小説特有の人情物語が漂い、やがてようやく主人公の正体も明らかになり失踪に隠れたこの物語の全体が見渡せる。ああ、角も武士の血とは....と唸らせる顛末に吉原花魁遊びをウフフと思っていたのを反省させられた笑

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2023年11月28日

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松井今朝子による、第137回直木賞受賞作。

十年に一度、五丁目一と謳われた、吉原・舞鶴屋の花魁、葛城。
全盛を誇り、また身請けも間近だった葛城が、ある日、忽然と姿を消した。
いったい何が起きたのか。

物語は葛城を取り巻く幾人もの証言からなる。
引手茶屋の内儀、舞鶴屋の見世番、番頭、番頭新造、葛城と枕を交わした男たち、遣手、舞鶴屋の主人、床廻し、幇間、女芸者、船頭、女衒、葛城を身請けするはずだった男、葛城の上得意。
彼らは葛城の思い出とともに、自らがなぜ廓にいて、どのような役割を果たしているのかも語る。耳慣れぬ仕事もあるが、無理なくその内実がわかる。同時に、異なる視点から映し出された廓が立体的に立ち上がるという巧みな構成である。
読み手は廓というある種の異世界の奥へと自然に誘われる。もちろん、葛城の謎の奥底へも。

葛城は不思議な花魁である。
廓に来たのは13、4のころで、花魁になるために仕込むには年を取り過ぎていた。そこから誰もが驚くような稼ぎ頭になった。
容貌は美しく、怜悧で床あしらいもうまい。頑固で子供のように負けず嫌いな一面も見せれば、相手の懐にすっと入り込み、心を捉えてしまう人たらしな面もある。
だが、それだけではない。葛城の心の奥には、底知れぬ「闇」がある。
その闇に、あるいは人は魅入られてしまうのかもしれない。

聞き手はさまざまな語り手の元を回る。次第に事件の全貌が見えてくる。
あれやこれやと聞き回っていた聞き手とは誰だったのか。
証言者が最後に見た葛城の表情に息をのむ。

消えた葛城の後ろ姿が、物語の余韻とともに鮮やかに脳裏に焼き付けられる。


*『木挽町のあだ討ち』を読んでいて思い出しました。
複数の人物が、ある人物について語る。その人物はある事件のかなめであり、謎を抱えている。多くの人々の証言が、その人物の人となりとともに、芝居小屋なり廓なりといった小さな社会を多面的に描き出す。さらには意表を突く背後の真相。・・・といった点で、構造としてはよく似た2作だと思います。
『吉原手引草』は昔読んでおもしろかった覚えはあったのですが、レビューを書いていませんでした。よい機会なので読み直してみました。

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2023年06月22日

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物凄い面白かった

数年に一度レベルの本!

大好きだった

主役は全く出てこず

周りの登場人物から 本当に少しずつ少しずつ輪郭が浮かび上がっていく様は見事で

楽しく楽しくて一気に読んでしまった

もともと 吉原ネタが大好きだが
男女の性や業みたいなものまで
とにかく豊かに彩られ

素晴らしかっ

話の筋も表現方法も最高!
登場人物が多いのに
とてもバライティーに富んでた

とても良かった

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2022年08月20日

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失踪した花魁・葛城のことを、吉原の内外で尋ね歩く男を通して、葛城というミステリアスで気高い女性の半生が語られる。と同時に、失踪事件の影に隠されたもう一つの物語が徐々に浮かび上がってくるという仕掛け。
読み終わってみたら、人情ものだったな~としみじみ感動した。
遊郭の仕組みも分かりやすく説明されており、興味深かった。

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2022年07月23日

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ネタバレ

語り手が章ごとに変わっていく語り口です。
語り手ごとに多様な面を見せる花魁。
語り手ごとに、同じ事象に対しても見方が異なっていたり。

何が嘘で何が真実なのか、誰が真実を知っているのかいないのか、読むたびに楽しめそうです。
最後は楼主ではないですが、天晴れと言いたくなりました。
一つの志のために10年以上かけて苦界に身を起き、味方を増やし、志を遂げた葛城は、どんな思いだったのでしょうか。

もう一度読み直してみよう。

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2022年06月12日

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Audibleで。ちょっとびっくりしたおもしろさ。

吉原の人々に話を聞いて回りながら、かつらぎ花魁の事件の真相に迫っていくという体裁。事件の解決させるミステリーもおもしろかったが、吉原の風習や江戸の人々の考え、カルチャーなどが差し込まれるところが、二度おいしい感じ。
かつらぎ花魁のあっぱれな生きざまに、3度おいしい。
かつらぎおいらんを助ける周りの人々の情に、4度おいしい。

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2021年01月22日

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ネタバレ

吉原の売れっ子花魁が企てた復讐劇。終盤までは吉原の内情が描写され、何が起こったのかは分からない。終盤に怒涛の展開、面白かった。葛城は復讐のために花魁になったのだろうか?

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2020年10月08日

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落語でよく聞く言葉が字で書いてあり、うんちくものになっていた。

ミステリとしての欠点、語り口の変わり映えのなさを指摘する意見もあるみたいだけど、楽しく読めた。

新聞小説で筆者を知り、まずは賞を取ったものだから面白いだろうと手にした。別のも読んでみたい。

映画化されたら誰が葛城になれるだろうかと想像した。浮かぶほど俳優を知らないことがわかった。

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2018年12月08日

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これは、直木賞とかそういう付加価値を抜きにしても、十分に楽しめる作品だった。やっぱり自分は、こういう色んな視線からひとつの事件を見た、的なストーリーテリングが好きだな、という思いを新たにした次第。中心となる花魁や、主人公たる聞き手が、実際には物語中に登場せず、周りの評判などからその姿を浮かび上がらせる手法も、本作では有効に働いている感じです。その題名通り、吉原の手引き書としても役割を分に果たしていて、怖いもの見たさ的充足感も得られる仕組み。興味深かったです。

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2016年11月14日

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詳細や個人的な感想文はいらない。もう凄いの一言。とにかく読書家も読書に興味が無い方も読んでみてください。そうそう出会えない日本文学最高峰の快作です。最後に改めて…はぁ凄かった!!!

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2015年09月15日

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おもしろい。
インタビュー形式っていうのが面白い。インタビュアーの人のセリフは全然なくて、相手のセリフのみで形成されているんだけど、違和感は全くない。遊郭の専門的なことも、セリフの中ですんなりと説明できていて、難しくないしスラスラと読める。中で働いている人はもちろん、遊郭へ通っていた人や、関わっている人…など、いろんな視点での遊郭を感じれて新鮮だった。
行方不明の花魁自身も出てきたらもっとよかったのになぁ。それと、事件の真相は分かるものの、彼女がどこへ行ったのか語られていないのが、腑に落ちなかった。
でも、とっても面白いので迷っている方はぜひ。

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2020年01月23日

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 吉原一の花魁が惹き起こしたある事件を、戯作者が関係者に聞きまわり、次第に真相が明らかになっていくという話です。

 手引草という題名からもわかるとおり、読み進むうちに吉原と言う特異で絢爛な世界が徐々に浮かびあがり、そこに暮らす人々の営みが手に取るようにわかるようになります。

 時代ミステリーとしても絶品で、直木賞にふさわしい作品です。

 時代的に男性上位社会の中で、鮮やかに世の男の鼻を明かしたラストは、女性読者には爽快なのではないでしょうか。

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2017年08月15日

購入済み

優れた構成

主役 ヒロインの葛城花魁には最後まで語らせずに、周辺人物の証言で話を構成してゆくという、なかなかに凝った構成を取っている。話が進むに連れて段々と真相が明らかになってくる というクレッシェンドな話の進め方は大筋でいいのだが、途中やや中だるみ冗長なところが見受けられた。逆にエピローグ解決編がやや短すぎるようにも感じた。

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2023年09月18日

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素晴らしかった。自分には少し読みにくかったが内容は痛快だった。もっと吉原で何が行われていたか知りたいと思った。

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2022年10月22日

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ネタバレ

       -20090430

著種曰く「いい意味でも悪い意味でも、今も日本社会には金銭を介在した男女関係が、ある種の文化として存在する。それを代表するのが吉原で、一度書いておきたかった。当時の習俗を忠実に再現することによって現代を逆照射するものがあると思う」と。

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2022年10月20日

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ネタバレ

なんで廓とか花魁ってこうも惹かれるんですかね。
春を売るって生業としては最低なのに、どこまでも気高い感じが同性として辛くもあり、誤解を覚悟で言うとちょっとだけ羨ましくもある。どんな境遇にいたって、卑しい奴は卑しいし、尊い人は尊いんだ。自分次第。

葛城は、吉原に来た時から仇討ちだけを心に全てを計算し準備しそして成し遂げたんだとしたら天晴れとしか言いようがない。
"そりゃ、葛城には惚れてたね"って言う廓の人たちが凄く粋。痺れるぜ。

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2022年02月15日

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吉原のしきたりなどいろいろ知ることができた一冊。花魁のその後、この聞き役は誰だったのかも個人的には気になった。
今の時代に生まれて良かったとありがたみを感じることができた。

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2022年02月06日

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落語の廓話と比べると、遊郭の構造の裏側が描かれている。えげつない話になりそうなところを、品性を保ちつつ、一人語りの多数の証言を積み重ねる構成で、テンポが良い。偶然にもクリスティのオリエント急行の殺人を読んでいたのだが、それへのオマージュ的なものを感じた。華やかさの裏にある吉原の凄み、えぐみ、人情にヤられる。

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2021年03月06日

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吉原の文化を、物語を通して楽しく理解できた。
沢山の登場人物がいるけれど、それぞれの語り口の違いが明確で、それぞれの人物像、景色が想像できるので、あっという間に読み終えてしまった。
結末を知ったうえでもう一度読みたい本。

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2021年02月21日

購入済み

好きな形式

主人公が各章ごとに関係者に問いかけていく構成。はじめはそもそもどんな事件かもわからない中で、次第に全体像ごみえてくる感じ、ん〜ンこういう構成、しびれますね。読み進める中で自然に江戸時代の遊郭を含めた文化も入ってきて、堪能いたしました。

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2021年02月21日

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さまざまな吉原で起こった事件の関係者たちが事件当時のことに想いを馳せて証言をしていくストーリーテリング方式でとても面白かった。

ただ事件そのものを理解するまで時間がかかるため、もやもやしたまんま事件の終着まで突っ走る感覚は好き嫌い分かれるかも。

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2019年01月16日

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吉原のとある事件の謎解きにいろんな人に話を聞く設定。
吉原の当時のしきたりやら、江戸時代の風俗やら、結構出てきて勉強になるし興味深かった。
そしてどうやって葛城は消えたのか?
ちょうど歌舞伎を見に行って「助六由縁江戸桜」が上演されており、本書を読んでいたいのでとってもよく理解出来たのです。

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2019年01月02日

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もう文章の秀逸さとプロットには脱帽、文句のつけよう無し。吉原入門の歴史書とも言える。ただ少し残念なのは葛城の人間像がもう少し多重で感じられたらもっとよかったと思って。関係する他人の証言から人間像を炙り出す手法の最高峰は、有吉佐和子の「悪女について」だと思ってるので、どうしてもそれと比較してしまいます。レベルの高い本作品だからこその、私の無い物ねだりです。素晴らしい作品であること、堂々たる直木賞作品であることは間違いありません。

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2018年07月29日

Posted by ブクログ

読んでいる間廓言葉やら越後弁やらと脳内再生が止まらず、サクサク読めた。
消えた葛城の謎を追え!に対するイケメンの情報収集力が素晴らしい。しかし、みんなペラペラ話し過ぎだよ!
着地点にそこまでの驚きはなかったけれど、小出しの情報は先が気になる撒き方で面白かった。

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2015年12月15日

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ネタバレ

消えた花魁の謎を追いながら、吉原の光と影をもつまびらいてゆく。
巧い。流石。
松井今朝子氏、廓好きの私には鉄板。

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2015年10月12日

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登場人物の聞き取り形式の構成に最初は苦手意識があったが、慣れるほどに引き込まれた。吉原のルール、内情なども知ることができてなかなか良かった。

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2015年08月26日

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嘘で塗り固められた男の夢と欲望の世界。
その中で生きてゆく女の辛さ、切なさを様々な角度から巧みにサラッと描かれていた。
花魁だけではなく、芸者や船頭まで、吉原全体を見渡せて、面白かった。
葛城の視点ではなく、その周縁の話しを綴ることで、より葛城が神聖化されているのもまた巧い。

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2015年05月14日

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正体不明の主人公が、消えた花魁葛城の真実に迫る物語。主人公は誰なのか、葛城は一体何をしたのか…主人公が吉原で働く人々から話を聞く、という形で話は進行していきます。言葉遣いが昔のものなので、全く読めないというわけではないが難しさは感じました。また、専門用語的なものが多く、この時代についてもっと知っていたらより面白かっただろうなあ…と思いました。ただ、アウトラインさえつかめていれば、しっかり時代小説としてもミステリーとしても楽しめます。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

吉原の売れっ子花魁、葛城がある日突然失踪した。一章ごとに語り手が変わりながら、葛城の失踪の真相が徐々に明らかになる。

吉原を舞台にしているけれど花魁の生活や色恋沙汰はほとんど描写されず、肝心の葛城から真相が語られることもないのだけれど、人々の語りが繋がって、全てが完結する。ミステリー小説としても伏線の回収が見事だった。時代小説が苦手という人にもお勧めしたい一冊だった。

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2023年02月15日

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ネタバレ

色々な人に話を聞くにつれて、いなくなった花魁に何が起こったのかが徐々に明らかになっていくのが面白かったです。

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2022年02月23日

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内容というより、吉原のしきたりが分かったという意味で面白かった

言葉が現代語ではなく独特のなので、読みにくかった
ところどころ流し読みした

一度女性を選んだら他の女にのり移れ無い、まるで現代のホストクラブの様な仕組みだなと思った

吉原について色々知りたいと思った

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2021年02月14日

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忽然と消えた花魁。
彼女の身に何が起こって、どこへ消えてしまったのか。

吉原、という場所に関係する人達が
消えた花魁について一人称で語ります。
消えた、という花魁が、何故消えたのか、すら
こちらは知らない状態から始まるので
事件が何なのか、も分かりません。

徐々に何が起こって、花魁がどうしたのか、が
分かってくるわけですが…まったくもって
考え付きもしなかった理由です。
驚きの理由。
そのための花魁。
確かに『自分』を証明するよりも
これが早いのやもしれません。
確実ですし…。

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2016年10月17日

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