夏目大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
電池の原料となるコバルトが埋まっているコンゴの現状を書き記した一冊。
世界を股にかける名だたる企業はコンゴの状態を認識しつつも、見て見ぬふりをしている。人権問題に該当するような職場環境だが、安価にコバルトを調達するためにまともな会社を通して調達することで問題ないことを主張している。1日に1ドルちょっとの稼ぎで危険な仕事をやらせており、搾取されている。事故などで犠牲になる人も多く、小さな子供も巻き込まれるケースが多く報告されている。
このように燦々たる状況だが、なかなかニュースにならないのはそのほうが都合がいいからだろう。少しでも改善されることを願うばかりである。 -
Posted by ブクログ
「ダーウィンの悪魔」とは「環境」と「選択圧」と「適応」という「自然選択」が起きるところに必ず起きるもので、「たとえ長期的には全体に悪い影響をもたらすとしても、それに構わず目標のために動いてしまうこと」を指している。また、そこから派生して、「社会、経済のどのような目標も、それが目標となった途端、良い指標ではなくなる」という「グッドハートの法則」についても説明している。
様々な事例を挙げたうえで、「地球環境」「核兵器」「AI」もダーウィンの悪魔のパターンで逃れられない(→人類絶滅)、として、その解決策を提案している。
解決策としては「評判市場」を作り、協調するほうが利益になる環境を作る、ということである。
著者はカーボンアカウンティング自動化のテック企業CEO兼共同創業者であり、あるべき姿を事業化しているという点では必ずしも荒唐無稽とまでは言えないが、残念ながら解決策に実現性があるとは思えない。
【原題】
THE DARWINIAN TRAP : The Hidden Evolutionary Forces That Explain Our World ( and Threaten Our Future )
【目次】
プロローグ
第1部 進化の誤作動
第1章 ダーウィンの悪魔/悪事が利益になる構造
第2章 ダーウィンの悪魔の事例/悪い同僚ほど出世するのはなぜか
第3章 天使と悪魔、そして生命の壮大な闘いの歴史
第4章 生命を脅かす悪魔
第2部 滅亡の瀬戸際
第5章 枯渇する世界:資源をめぐる軍拡競争
第6章 絶滅兵器:力の軍拡競争
第7章 AIは神になるか:知性の軍拡競争
第3部 滅亡をいかに回避するか
第8章 最後の遷移 協調的な行動が適応される時代
第9章 力を基礎とした中央集権体制
第10章 間接的な互恵関係と「評判」の力
第11章 評判の市場
第12章 ダーウィンの悪魔を抑え込むためにあなたにできること -
Posted by ブクログ
痛覚と快感は一つの間隔の裏表で、触覚は自他の境界を確立する重要な感覚でもある。他人の体に触れる事をタブー視する近年の文化は危うさを孕んでいるとの指摘は興味深い。
他にもフェロモンを扱ったパート等に特徴的だが、どの章も人間と動物の感覚の近似を取り上げているので、人の理性や知能を強調して自然な(=動物的な)人間観から離脱することが正しい進化であると考えるような社会学的意見(人間は誰しも男性と女性の間を自由に行き来できるというような世界観)へのカウンターとしての切り口を提示することになる。実際、フェロモンを巡る研究では露骨な政治的批判さえ珍しくないようだ。学問の自由とはどうあるべきかとの論点も浮上する。
タコの身体感覚では、手足が独立した意識を持ち動き回る感覚はどのように意識されるのか、という難問にぶつかる。
犬のよりも人間の嗅覚の方が優れている部分もある等、驚くべき近年の発見も紹介されており刺激的である。 -
Posted by ブクログ
最近、スマホの電池の持ちが悪くなってきた。半日外出すると、帰宅時は20%を切ることもある。
スマホの電源として用いられている、リチウム電池にとって重要なコバルトという鉱物があるらしい。
いま、わたしがスマホの画面の上で指を滑らせている。
何気ない(ほとんど無意識の)日常は、コバルトを埃にまみれた大地の奥にあるトンネルで少年たちが採掘し、汚染された湖で少女たちが洗っていることに支えられている。
トンネルの崩落事故や少女たちへの暴行は伝えられず、彼らは1日1ドルほどを得るために、命と引き換えにコバルトを掘っている。
「にじゅっぱーきってるやん、やべ」
という思う時、わたしはこの事実を思い返すことだろう。