夏目大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物理学、化学、IT、心理学、社会学等あらゆるジャンルの知者が無慈悲にも次々と登場し、一つのエッセイを読むたびに深く息をついてひと休みしなくてはいけないから、とても読むのに時間がかかる本だった。
科学者には3タイプあるように思う。この本にはその3タイプすべての人が登場する。一つめは、科学絶対信仰の信者みたいな人。ビジネスマンや宗教者が嫌いで(エッセイなんだから気軽に書けばいいのに)、見えない敵に喧嘩を売るような文章を書く人。科学は万能、証明や再現できないことはすべて愚かと考えるような人だ。こういう人は自分の正しさを証明するために科学を道具にしているんだろうなと思う。子供の視野だ。二つ目は科学が -
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Posted by ブクログ
主題はジェンダー論だと思うけど、それよりもリアルな青春小説として楽しめた。
特に幼児期の視点(世間の常識というトリックにはじめて触れる時)、ティーンの視点(世間の常識をはやく取り入れたいともがく時)をこれほどリアルに描いた作品はないと思う。
ただ、そのみずみずしい筆致は大学を卒業すると同時に色褪せていく。
これは「現実に適合していく」事へのアイロニーなのか?赤裸々に描かれた青年期と違って、仄めかすだけで伏せられている内容が多かった。
なので最終章で唐突にジェンダー論?として総括してしまったのは残念だった。
たしかに誰もが昔の事は語ることができても近しい事には口が重くなってしまう。
その繊 -
Posted by ブクログ
所々、この人何言ってんだろうと感じるくらい意味が分からない箇所もあり、自分には結構解読が難しかったです。
その中でも、なるほど〜と感じる箇所はたくさんありました。
思いがけない幸運や不幸が舞い込んできたとき、人は直近の過去に何かその原因になることはなかったかを考えてしまう。
ただこれはランダムに起きた事象なだけなので予測不可能であり、考えるのは無駄な事。
それを受け入れられず、運命や宿命といった言葉でつなごうとする。本来無関係な出来事を結びつけ、何か宇宙の隠された法則があるかのように思う。
だけど実際は自分たちに起こる事は予測できないし、善人にも悪人にも災難は降りかかる。
自分にもそうやって何 -
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Posted by ブクログ
一流の研究者・思想家151人の考え方が垣間見れる。
もちろん少しずつ短い文章で綴られているのでその背景まで理解することができるわけではないが、それでも今世界で活躍するような科学者や思想家たちがどのようなことを考えたり、注目しているのかを教えてくれるともいえる。
身近な内容から壮大なもの、意外なもんから、当たり前だと思っている事など色々なテーマが語られている。
朧げに「そんなもんだろう」と感じているが改めて言われると「そうだな」と再認識させられる話も多く、本書のテーマの1つともいえる「見慣れている世界を、そして人間の心、感情を普段とは違った目で見てより深く理解するきっかけを与えてくれる」本で