【感想・ネタバレ】デマの影響力―――なぜデマは真実よりも速く、広く、力強く伝わるのか?のレビュー

あらすじ

世界規模のリサーチと科学的研究が暴き出した恐るべき真実――デマが感染症を拡げ、戦争を起こす。ニューヨークマガジン、ニューサイエンティストなど、米国有力誌で絶賛された全米震撼のベストセラー上陸! 米SNS内部を知るMIT教授による全人類への警告。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

すんごい厚さとその知識量、データ量、分析の幅に胃もたれしそうになる現代SNS論の大著。
フェイクニュース、他者の価値判断に影響を受けるユーザー、匿名性やプライバシー保護、デジタルマーケティング、相関関係と因果関係の違い、アルゴリズムと人間の相互関係による影響の及ぼしあい。
めちゃんこ勉強になりました

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2024年04月05日

Posted by ブクログ

「いいね!」について考える。

本書の原題は「ザ・ハイプマシン」で、これは、ソーシャルメディア、人工知能、スマートフォンにおける、膨大なデジタル・ソーシャル・シグナルを生成し、それが私たちの意思決定や行動に影響を与える仕組みの事。つまり、「いいね!」という仕組みを含む、我々の行動を左右するメディアの仕掛け。SNSのネットワークについて考察したり、行動経済学的見地、心理学的な分析もあり、あらゆる角度から、SNSやその仕組みの影響力を解剖した、読み応えのある本だ。

で、「いいね!」について。目的として、考えられるのは、賞賛、挨拶、証明、反応、共感、承認、同調、返礼など。個人で「いいね!」する場合は、こんな感じか。更に、それが集まった時、権威、推奨、立証、正当化、民意、常識、凄いもの、みたいな印象をもってくる。

ー 「いいね!」の多い写真を見た被験者は、脳全体の活動がさかんになり、特に視覚野が活性化した。視覚野が活性化した時には、おそらく、被験者は自分の見ているものに集中しており、より注意深く、詳しく見ていると考えられる。見ている写真の違いが結果に影響しないよう、写真ごとの「いいね!」の数は無作為に決まるようにした。写真の明度や内容などとは無関係に「いいね!」の数が決まるようにしたのである。「いいね!」の多い写真を見た時に視覚野が活性化する傾向は、被験者自身の写真を見た時でも他人の写真を見た時でも変わりはなかった。つまり、それがどのような写真であれ、とにかく「いいね!」が多くついてさえいれば、被験者は注意深く、詳しく見たということになる。人間は、他人が高く評価した情報には注意を向けるということだ。「いいね!」がたくさんつく写真はそれだけ興味深いものなのだから当然だ、と思う人もいるだろうが、写真の内容に関係なく無作為に数多くの「いいね!」をつけた実験でも、傾向は変わらなかったのだ。写真の内容ではなく、「いいね!」の数が、視覚野の活性化のきっかけになっていたのである。

ー だが、「いいね!」がすべてではなく、さらに高度な手段もあり得る。フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどに、「どのようなコンテンツを、どのように提供してもらえれば価値を感じられるか」をよりきめ細かく伝える手段も存在し得るのだ。たとえば、「真実」ボタンや、「信頼」ボタン、「知識」ボタンなどがあったらどうだろう。今は、大勢に好かれ人気のある人が名声を得てインフルエンサーになることが多い。だが、そうではなく、価値ある新しい考えを教えてくれる人、知識を授けてくれる人、良い人とつなげてくれる人、生きていくうえで助けになってくれる人、誤りを正してくれる人、悪い習慣から引き離してくれる人などが名声を得られるようになったらどうだろうか。

良いアイデアだなと思う。いいね!を細分化してみる。いや、面倒でレスポンスが減るだろうか。シビアに感情を提示する事は、見えない関係性においては案外デリケートであり、いいね!の「何となく感」が大事だという気もする。難しい所だが、こうした試行は面白そうだ。

本書は、いいね!だけではなく、友達推薦アルゴリズム、レコメンドシステムなども考察する。また、ユーザーは文字で読んだメッセージの10%程度しか記憶しないが、動画で見たメッセージの95%を記憶すると言われるらしく、だから文字よりも、動画こそがハイプマシンの最重要メディアだという。いままでは、文字情報の分析が重要だったが、今のソーシャルメディアプラットフォームは動画を分析することによって世界を把握しているのだという話も面白かった。とにかく、好き勝手にプラットフォーム側に操作されない意識を持つことが重要なのだろう。

知ることこそ、自衛である。絡め取られないように。

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2024年11月27日

Posted by ブクログ

真実よりも10倍も速く、広く、力強く伝わるデマ。デマの影響力を約600ページにも渡り、エビデンスを用いて説明した本である。
正直全文を1字1句読むのは断念し、流し読みになってしまったが、ソーシャルメディアの恐ろしさは自分の想定以上に大きく、もう何を信じて良いのか分からないレベルに来ているように思う。これに生成系AIが入ってくれば更に状況は難しくなるだろう。極端ではあるが、SNSには触れないというのが騙されないためには一番いいのかもしれない。(情報入手速度は遅くなるが、、、)

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2023年09月23日

Posted by ブクログ

フェイクニュース、アテンションエコノミーをfacebookなどの SNSの事例を用いて説明。
インフルエンサーエコノミーはもはや脅威ですね。

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2023年01月17日

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