山本巧次のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
巻を重ねてシリーズ11作目。もとOLの関口優佳は、秘密のタイムトンネルを使って現代と江戸時代を行き来していた。江戸では、南町奉行所同心の鵜飼伝三郎から十手を預かり、女親分おゆうとして密かに現代科学を駆使し、数々の難事件を解決してきた。
今作はでは、おゆうが鑑定等を依頼する科学ラボの宇田川から依頼を受けるところから始まる。建設工事の現場から約二百年前の他殺と思われる人骨が発見されたのだ。江戸時代では、まだ事件化していない「殺人事件」を調査することになるのだが…
今回はの事件の発端が、いつもとは逆で現代から、そしていつも依頼される側の宇田川から依頼を受ける、というのが面白いところだ。そして鵜飼と宇田川のおゆうを巡っての腹の探り合い、恋のさや当てがバチバチと。 -
Posted by ブクログ
昭和五十一年を舞台にしたサスペンスミステリ。徳島の人里離れた旅館に、猟銃と爆発物を持った男が押し入り立てこもった。人質になったのは旅館の従業員や客と、宴会を開いていた地元の有力者一族。立てこもり犯の目的は有力者一族に対する告発だったようなのだが、しかしそこで予想もしなかった殺人事件が起こる。さらに台風の影響で豪雨に晒され、土砂崩れの危険性も看過できない事態になる。立てこもり犯によるサスペンス、クローズドサークルミステリ、そして迫りくる自然脅威のパニック、一冊で何度もおいしい作品です。
ハラハラドキドキはさせられるものの、立てこもり犯が案外とまともそうなのに安心させられます。もちろん猟銃だのガソリン缶だのは危険だけれど、はっきりした目的があるようだしそれほど粗暴にも見えない。その一方でどう考えても危険なのは有力者一族……絶対なんかやってるでしょこの人。ってので立てこもり犯の計画成功の方を期待してしまうのですが。停電起こるし、殺人事件起こるし、雨はやまないし、本当にどうなっちゃうのこれ。
その一方で地道に堅実に捜査を進める泊り客の上坂が頼もしくて、さらに安心感。いや、こういうサスペンスで安心感とかいうのはどうかと思うのですが。気になってぐいぐい読めるけど、落ち着いて読めました。最後の「終活」も穏やかな解決でほっとさせられます。良いと思う……あの人の行動は、悪事だとは思えません。 -
Posted by ブクログ
おぼろげな記憶で、たしかこれの前作に当たる本を読んだような気がして購入。読んでもよく思い出せなかったが(^ ^; 何となく世界観は知ってるような(^ ^;
全体を通して、昔の「無国籍冒険活劇」のような印象。タイトル通り満州国を日本が統治していた時代の話で、張作霖だのスターリンだの抗日パルチザンだの、歴史に詳しい人ならもっと楽しく読めるんだろうなーという言葉が当たり前に使われていて(^ ^; 私なんぞ予備知識が貧弱なので、満州の当時の地名が書かれた地図をプリントして、何となくの土地勘をつけながら読んでいた(^ ^;
警察と関東軍の対立とか、四カ国後を操る謎の美女とか、正体不明の補助役だとか、とにかく内容が盛りだくさんで(^ ^; 登場人物も多くて、脳内RAMが128KBくらいしかない私にはキャパオーバーな感じで(^ ^;
おそらく読み終わっても、全貌の6割くらいしか理解できていないのではないかと(^ ^; まぁ面白くはあったのですが、文体とか割と「若者向け」に書かれているのかな。内容はけっこうきな臭いけど(^ ^;
でも当時は、ソ連や中国と向こうを張って戦争していた時代だし、本当にこんなようなことは日常的に起こっていたのではないか、と思わせるリアリティがある。ほら、第二次対戦後だって、ゾルゲ事件とか普通にあった訳だし(^ ^;
近代アジア史を勉強したら、読み返してみるかな。そんな日はネバー来ないに2,000バーツ賭けられるが(^ ^; -
Posted by ブクログ
八丁堀のおゆうシリーズ、10作目。
江戸の事件にまで密室殺人が、、、。とは言え、おゆうも何だかんだで素人探偵だからか、抜け道探索など、現代機器を利用するにしても大掛かり。ちょっと大袈裟だし、よくバレなかったなと思うけど(苦笑)まぁでも、茶業界の裏事情や当時の経済実態などが垣間見えて面白かったし、勉強になりました。あとはかの有名な・・・が出てきたのは読者への大サービスかな。あれを目にしたおゆうと宇田川の驚きの顔が想像に難くない。確かに一発で思いつくよね。
そして伝三郎の正体に気づき始めた宇田川さん。今回はあまり進展ないかなと思ったら、最後。この二人の攻防、楽しみ~。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ入舟長屋おみわの六作目。
若旦那が化けた読売屋の次は忍びか…。
次々と恋に破れるお美和はどんどん守備範囲(?)が広がっているような。
しかもとうとう女親分ですか、と言われてしまうし。
今回は長屋に引っ越してきた店子を巡るお話。
元畳屋と言っていたが、怪しんでいた矢先に行方不明になる。
実は偽の茶碗をめぐり姿を隠していた茶道の先生とわかり、
先生は恩人だからと探すのを手伝ってくれる若い男あり。
もちろん美形。
最後に若い男が姿を消してしまった時に、男の住んでいた長屋のおかみさんに、
いい男だったから、玄人筋の女に貢がせてたにちがいない、
となぐさめられたのが余計に胸に痛かった。 -
Posted by ブクログ
山本巧次『災厄の宿』集英社文庫。
文庫書下ろしのミステリー。
昭和51年に起きた事件の背後にあった真相が47年後に解き明かされる終章。一種のクローズドサークルの中で人質立て籠り事件と殺人事件が同時進行するストーリーの面白さ。なかなか読ませてくれた。
昭和51年、元優秀な刑事で弁護士事務所の嘱託調査員の上坂徹郎は高知でのハードな仕事を終え、一息付きたいと思い、徳島の人里離れた旅館に逗留する。折しも台風の影響で強い雨が降り続いていた。
旅館の広間では地元の名士である河野依志輔の喜寿を祝う集まりが開いていたが、そこに散弾銃と爆破物を仕掛けたガソリンタンクを手にした多田修一郎という男が押入り、旅館の客と従業員を人質に取り、籠城する。無論、上坂も人質の1人となり、辛くも従業員の手引きで難を逃れた客が警察に通報する。
警察に包囲された旅館に台風による川の氾濫や土砂崩れの危機が迫る中、あろうことか旅館の中で殺人事件が起きる。客と従業員が多田により広間で監禁される中、29歳の西浦晴美という女性がリネン室で扼殺されたのだ。
犯人の多田は実の兄を不動産を巡る詐欺にはめた不動産業者の坂東敏則をメディアを使って糾弾することを要求する。そして、多田は元刑事である上坂に女性を殺害した犯人を探し出すことを要求する。
本体価格700円
★★★★