あらすじ
北森下町にある長屋を仕切るお美羽は器量はいいが、言い寄る男を川に放り込み、店賃の払いが悪い家の障子を叩き割るほど気が強い。そのせいか二十一歳で独り身だ。ある春、火事が続き、長屋や呉服屋でもボヤが出た。呉服屋の若旦那は、役者にしたいほど整った顔立ち。彼に惹かれたお美羽は火事の真相を探るのだが......。切なすぎる時代ミステリー!
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Posted by ブクログ
入船長屋おみわの三作目。
かわいそうに、
どうも事件がらみで誰かに岡惚れして振られるというパターンが
決まってしまったようだ。
お美羽が幸せになってほしいが、
シリーズにも続いてほしい、とちょっと苦しい心持ちだ。
今回は、江戸の華、けんかと火事のうち、火事のお話。
江戸っ子が宵越しの金を持たないのは、
いったん火事になってしまえばすべてを失うからだ、
という説を聞いたことがある。
そんな木と紙でできている江戸の町で、
火除け地蔵を作っている仏師にからんだ付け火がおきる。
入船長屋も、最近店子となった仏師の弟子の裏の塀が燃やされ、
地蔵を祀っていて付け火をされたらしい呉服屋の若旦那と
犯人捜しをすることになる。
商売敵の呉服屋を偵察に行ったりしているうちに、
ボヤ騒ぎですんでいた付け火も死人が出て、
長屋の住人の弟子も夜道で襲われてけがをしてしまう…。
呉服屋と仏師、それぞれの商売敵も複雑にからみあって、
結構犯人探しが面白かったし、
太物商の友達を女中ということにして、
呉服屋に乗り込んだ場面も面白かった。
それにしても、
結局、呉服屋の若旦那には、強烈な母親がいていいなりだと判って、
啖呵を切って、障子をけり割ってしまうお美羽だったが、
それぐらいの「嫁」じゃないとやっていけないだろうから、
嫁入りすべきだと思うんだけどなー。
Posted by ブクログ
連続付け火事件の真相に迫っていく婚活中?のお美羽。
今回も山際さんと一緒に事件を解いていきます。
世間で人気の火除け地蔵菩薩に関連した様子に、江戸の読売と現代のSNSを彷彿とさせました。昔も今も変わらないんだろうな。
早くお美羽さんには幸せになってほしいです。