山本巧次のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
シリーズ六冊目(かな)となる本書は、外国人絡みである。
オロシャ(ロシア)から密入国した男が捕らえられ、
出島へ移送される間に何者かにさらわれて...
という物語のスタート。
鎖国中だった日本では、外国人が江戸にいるだけで大騒ぎ。
が、そこに密貿易やら、二件の殺しやら、様々な要素が絡み、
外国人の話など本来守備範囲外の町奉行も絡んでくる。
全体像としては、複数の「犯罪」と数奇な偶然が絡まり合って、
かなり複雑なストーリー展開となっている。
通勤の行き帰りに飛び飛びに読んでいた私は、
大団円の謎解きを読んでも今ひとつ「?」状態で(^ ^;
さらにさらに、実在の人物や実際の出来事も絡んできて -
Posted by ブクログ
いわゆる「探偵の謎解き」的ミステリではない。
留萌本線で発生した、列車ジャック事件がテーマで、
周到に寝られたv計画、翻弄される警察、
想定外の犯人像、炙り出される過去の悪事...
読んでいるうちに、いつの間にか「犯人側」に肩入れし、
「このまま完全犯罪で逃げ切れ!」などと応援してしまう(^ ^;
ただ、本作の「事件の真相」は、予想以上にヒネくれている。
徐々に明らかになる「真の目的」、現代的な「仕返し」手法、
意外な黒幕などなど、ものすごく盛りだくさん(^ ^
ややご都合主義的(失礼!)な印象も持ちつつも、
最後まで息もつかせず読ませる筆力はさすが(^ ^
あとがきを読むと、急に「力 -
Posted by ブクログ
阪堺電車177号という、路面電車にまつわる
人々の悲喜こもごもを、時間軸に沿ってたどる、
という体裁の連作短編集。
デビューして、85年間の現役生活を終えて、
間もなく解体される177号が、自分の意思を持って
長い歴史を振り返りっていく...という始まりなので、
ファンタジーに分類してはみましたが(^ ^;
戦前から戦中・戦後、そして現代に至るまで、
様々な時代のさまざまな人々が登場して、
それぞれのストーリーを紡いでいく。
一つひとつの作品は、ミステリ色が強かったり、
社会派要素があったり、人情話だったりと、
多彩なラインアップとなっている(^ ^
時代を超えて、ある登場人物が
複数の -
Posted by ブクログ
シリーズの4作目? 5作目くらいかな?(^ ^;
だいぶ「こなれた」感じで、すいすい読める。
が、その分...かどうかは知りませんが、
「現代人が江戸に存在する特殊性」の描写が
薄くなってきた感じがする(^ ^;
もちろん、元々の設定が「ファンタジー」なので、
あまり細かなツッコミは野暮ってもんですが(^ ^;
最初の方はもうちょっと違和感や緊張感が満ちていて、
その特殊な設定自体を楽しめたように思いますが(^ ^;
何だか読んでて「普通のミステリっぽい」なぁ、と(^ ^;
普通のミステリとして読んでも面白いのですが、
せっかくの特殊な設定がややもったいない感じで(^ ^;
現代科学の「便 -
Posted by ブクログ
ネタバレ関西の人、いや大阪人であっても梅田起点文化圏の人には、存在程度走っていても今一つメジャーじゃない、阪堺のチン電。その電鉄会社の中で85年間一線で走り続けた車両を擬人化して、沿線に関わる風景を短編小説とした作品集。
俺自身は梅田文化圏よりなんだけど、妻がばっちりチン電文化圏に生息しているんで、結婚してからは、この辺も詳しくなり、しっかり楽しませて頂きました。
そういう生い立ちの小説だから…いや、それ以上の部分で、ストーリーも思わせる趣旨も、伏線の張り方も、クライマックスも、時代選択も、あらゆる部分がローカルである。
例えれば関西ローカル時代の、上岡龍太郎が吼えまくってた時のナイトスクープ的なマ