山本巧次のレビュー一覧
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昭和36年の急行霧島を舞台にした群像劇。
鹿児島から東京まで26時間の旅。今なら飛行機であっという間の距離だが、当時はとてつもなく遠い距離だったことを改めて思う。
しかも登場人物の一部は座席で26時間を過ごす。つまり横にはなれない。もっと言えば座席に座れない客もいて、そういう人は通路に新聞紙を敷いて座っている。時間がかかるだけでなくて過酷な旅だなと思う。
そんな急行霧島を舞台に
生き別れになった父親と会うために上京する少女・美里、お嬢様然としているのに二号車に乗っている靖子、傷害犯を追っている鹿児島県警の刑事二人、伝説のスリを追う鉄道公安室の公安職員二人とそのスリ、そして宝石泥棒という面々 -
Posted by ブクログ
昭和レトロなタイトルに惹かれ、あらすじからオリエント急行殺人事件チックな内容を想像して購入。どうでも良いことだが本のサイズが微妙に大きく、文庫用のブックバーに収まらない。
数十年前、ブルートレインと呼ばれた寝台特急に乗って東京から熊本に行った。その列車も急行霧島と同じく東京と(西)鹿児島を結んでいた。車中で日の出を迎えてから降車まで5時間程、結構退屈した覚えがある。作品では鹿児島から東京まで26時間半を要す。その間、寝台で横になれれば良いが、座席または床に新聞引いて過ごすなど、荒行と呼ぶべき体験だ。
同一区間を空路はさておき、新幹線を乗り継げば7時間足らずで移動する現代では、犯人も警察も時間に -
Posted by ブクログ
ネタバレまやかしうらない処第二弾。
前作から続く贋金の話は、
どうもただの金儲けではなく、
貨幣吹替えのための布石らしい。
今回は調べもの担当の権次郎がお役目を辞める原因になった女が、
瑠璃堂をに現われるが、
どうも占ってほしい訳ではなく権次郎に会いたかった様子。
だが、再会することなく、殺されてしまう。
贋金づくりは、勘定方をも巻き込んで、
内藤新宿を通り過ぎ、高井戸宿、布田宿へ。
千鶴は大店の札差の娘だったとさらっと書かれていたが、
店がつぶれたのははめられたせいだと思っていて、
店を再興すべくうらないでお金を儲けてる、ということらしい。
それにしても、襲われることを想定して、
仕掛けだら