山本巧次のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和36年の急行霧島を舞台にした群像劇。
鹿児島から東京まで26時間の旅。今なら飛行機であっという間の距離だが、当時はとてつもなく遠い距離だったことを改めて思う。
しかも登場人物の一部は座席で26時間を過ごす。つまり横にはなれない。もっと言えば座席に座れない客もいて、そういう人は通路に新聞紙を敷いて座っている。時間がかかるだけでなくて過酷な旅だなと思う。
そんな急行霧島を舞台に
生き別れになった父親と会うために上京する少女・美里、お嬢様然としているのに二号車に乗っている靖子、傷害犯を追っている鹿児島県警の刑事二人、伝説のスリを追う鉄道公安室の公安職員二人とそのスリ、そして宝石泥棒という面々の物語が描かれる。
それぞれの物語が絡み合うのかと思っていたので少し肩透かしなような。。
それほど大きな山があるわけではないものの、上手くまとめてくれて楽しめた。
傷害犯の話は少し切なくなったし、スリの話も小気味良さとほろ苦さがあって良かった。
一番気になっていた靖子の話は思っていたのと違っていた。そして美里の父親は東京駅に迎えに来てくれているのか。
読み終えてみれば、内容紹介通り『人情系鉄道ミステリ』だった。アッサリしていたが軽快なテンポで読めた
。今の忙しい状況にはちょうどいいボリュームの読書となった。