山本巧次のレビュー一覧
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ネタバレ入舟長屋おみわの六作目。
若旦那が化けた読売屋の次は忍びか…。
次々と恋に破れるお美和はどんどん守備範囲(?)が広がっているような。
しかもとうとう女親分ですか、と言われてしまうし。
今回は長屋に引っ越してきた店子を巡るお話。
元畳屋と言っていたが、怪しんでいた矢先に行方不明になる。
実は偽の茶碗をめぐり姿を隠していた茶道の先生とわかり、
先生は恩人だからと探すのを手伝ってくれる若い男あり。
もちろん美形。
最後に若い男が姿を消してしまった時に、男の住んでいた長屋のおかみさんに、
いい男だったから、玄人筋の女に貢がせてたにちがいない、
となぐさめられたのが余計に胸に痛かった。 -
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山本巧次『災厄の宿』集英社文庫。
文庫書下ろしのミステリー。
昭和51年に起きた事件の背後にあった真相が47年後に解き明かされる終章。一種のクローズドサークルの中で人質立て籠り事件と殺人事件が同時進行するストーリーの面白さ。なかなか読ませてくれた。
昭和51年、元優秀な刑事で弁護士事務所の嘱託調査員の上坂徹郎は高知でのハードな仕事を終え、一息付きたいと思い、徳島の人里離れた旅館に逗留する。折しも台風の影響で強い雨が降り続いていた。
旅館の広間では地元の名士である河野依志輔の喜寿を祝う集まりが開いていたが、そこに散弾銃と爆破物を仕掛けたガソリンタンクを手にした多田修一郎という男が押入り -
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ネタバレ大江戸科学捜査の第九弾。
元長崎奉行の配下が心の臓の発作で亡くなった件を、
内偵するよう命じられたおゆうと伝三郎。
事情を聞きに行った海鮮問屋の主人も心の臓の発作で亡くなる。
偶然なのか、毒殺なのか。
長崎で抜け荷が行われていたのか、薩摩藩と関係あるのか。
今回は腑分け? 司法解剖?と思いきや、
実行直前で止められてしまう。
伝三郎といい仲だと思われているものの、
泊まっていかないことに慣れてしまっているおゆうがかわいそうだが、
今回は千住の先生こと宇田川が
「おゆうさんを危ない目にあわせたりしない」と伝三郎に言い切ってた。
それに対して伝三郎も「おゆうに怪我をさせたら、ただでおかない」と -
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山本巧次さんの『阪堺電車177号の追憶』は大好きな作品なので同じ鉄道ものってことで。
今回は阪堺電車みたいな擬人化ではなく鹿児島東京間で起こるドタバタ劇って感じです。
傷害犯瀬戸口とそれを追う刑事、スリ師知恵蔵とそれを追う鉄道公安、これだけだと男臭い感じになるところに父に会いに行く美里、上京する理由を明かさないお嬢様靖子というメンツが彩を添えます。
それぞれに事情がありなんだかんだそれぞれが良い着地をして物語は東京へ到着し幕を閉じます。
阪堺電車もそうでしたが根っからの悪人はおらずみんな好感が持てる人たちで読んでて清々しい気持ちになれますね。 -
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ネタバレ入船長屋おみわの四作目。
前作での騒動の結果、
「障子割りのお美羽」という二つ名がついてしまったとは、
ますます縁遠くなっているおみわ。
ところが、
今回は芝居小屋の若旦那と旗本の家人にはさまれての三角関係?
もちろん、違ったが。
芝居好きの友達に誘われて芝居を見に行ったが、
新築したばかりの小屋で座長のあいさつが始まったとたん、
桟敷席がくずれおち、けが人が出る。
桟敷席の部分を任せられていた大工が長屋の店子とあり、
おみわは芝居小屋の若旦那と、見物に来ていた姫についていた家人と
真相を探ることになる。
読売りへの殴り込みや、材木の詐欺、芝居をめぐる賭けにさらに黒幕と、
おみわの恋心に -
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ネタバレ入船長屋おみわの三作目。
かわいそうに、
どうも事件がらみで誰かに岡惚れして振られるというパターンが
決まってしまったようだ。
お美羽が幸せになってほしいが、
シリーズにも続いてほしい、とちょっと苦しい心持ちだ。
今回は、江戸の華、けんかと火事のうち、火事のお話。
江戸っ子が宵越しの金を持たないのは、
いったん火事になってしまえばすべてを失うからだ、
という説を聞いたことがある。
そんな木と紙でできている江戸の町で、
火除け地蔵を作っている仏師にからんだ付け火がおきる。
入船長屋も、最近店子となった仏師の弟子の裏の塀が燃やされ、
地蔵を祀っていて付け火をされたらしい呉服屋の若旦那と
犯人捜 -