マイクル・コナリーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リンカーン弁護士シリーズ5作目。傑作だった第一作目に匹敵するほどの面白さ。
タイトルが意味するところは陪審員。彼らに対していかに無罪のイメージを植え付けていくかが鍵となる。今回の事件はやや複雑で、複数の事件が入れ子構造に押し込められている。移り変わっていくハラーの思考に共鳴する緊迫感、そこに絡む様々な思惑を持った人物たち。濃厚なドラマに目が離せない。
意外性のある真相も面白いが、果たしてそこまでどうやって辿り着くの?という先の読めない展開がとにかく秀逸。証人を繋ぎながら黒幕へ狙いを定めるハラー手腕は見事の一言で、判事に若干同情しつつも、この法廷ドラマを心地よく堪能できた。
本作品の -
Posted by ブクログ
ボッシュ・シリーズも15作目だそう。
当代最高のハードボイルドと言われる作品、充実した内容です。
ロス市警の未解決犯罪班で捜査を続けることになったハリー・ボッシュ。
根っからの刑事だが、定年が延長になってよかったという年齢。
引き締まった外見らしく、いまだにモテる。
今回は、15歳になる娘のマディと同居、という新しい要素も加わっています。
DNAの判定が進歩したため、再調査であきらかになった証拠による容疑者は、当時8歳の少年という。
ありえない事実は、なぜ起きたのか?
一方、高級ホテルから市議の息子が転落死。
事故か、自殺か、他殺か?
この市議というのが元ロス市警にいたアーヴィン・アーヴィン -
Posted by ブクログ
ターニングポイントとなるハリー・ボッシュシリーズ第4弾。主人公はハリウッド署殺人課に所属する一刑事に過ぎないが、コナリーは群れること嫌う「一匹狼」的な存在として描いてきた。
本作は、第1作から伏線としてあったボッシュの母親の死の真相を追い求める物語で、これまで以上の私闘を繰り広げている。上司への暴力行為で休職処分となったことを機に、30年以上前の未解決事件を再捜査するのだが、埋もれた過去から浮かび上がってくる事実は、当然のこと痛みを伴う。娼婦であるがために引き離された息子と再び暮らすことを夢見ていた母親の思いを知るほどに、ボッシュは殺人者への憎しみを深める。
事件の性質上、全編がボッシュの単独