武田綾乃のレビュー一覧
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ネタバレ5巻で完結編となった。急に完結に持ち込んだ印象が拭えない。
黒部舞奈、湧別恵理香、天神千帆、鶴見希衣、そして土器富歌。このカヌーキャリアが全く異なる5人が、仲間を大切にしながら自分たちの目標に向かって邁進する姿が、青春物語らしく爽やかだ。
第三章の「トラブルはいつも突然」でのアクシデント・ヒスタミン食中毒は、2016年度のインカレ・カヌースプリントの遠征先で起きたM大学のケースと酷似しているが、このアクシデント、魚類や加工品を避けるしか方法がないようだと知る。
この食中毒によって湧別恵理香は、「関東高等学校カヌー大会」でのWK-1(決勝)での出場を辞退することになったが、断腸の決断だったことは切実に伝わる。期待した希衣とのペアも3位に止まった。
一方、希衣はWK-1で2位だった。大学に行ってもカヌーを真剣に続けたい(p.132)希衣だから期待が持てる。
エピローグを読んで改めて気付いたが、湧別恵理香、鶴見希衣、そして利根蘭子は東京オリンピックを目指していたことが分かる。努力家・鶴見希衣がオリンピック出場を果たしたのは、少し意外だが嬉しい。
2020年の東京オリンピックの結果を見ていると、日本のカヌー界のレベルが上がっているのは分かるが、世界はもっと進化していたことが分かる。
この小説がひとつのきっかけとなって、日本のカヌースプリント界が量的にも質的にもさらに発展することを期待したい。 -
Posted by ブクログ
女子高校生視点の青春連作短編集
収録は5作+α
・白線と一歩
・赤点と二万
・側転と三夏
・作戦と四角
・漠然と五体
・そして奇跡は起こる
・青い鳥なんていらない
・白線と一歩
放送部で優しい先輩として後輩から慕われている知咲
部長の有紗から、部に馴染めていない有望な1年生のフォローを頼まれる
Nコンの出場を迷っている知咲の心境
同級生へのコンプレックスなー
私はその辺は他所は他所、内は内と割り切ってしまえる方なので気にしないんだけど
それを認められない人にとっては辛いのでしょうね
プライドの高さと実力の乖離
「山月記」が高校の国語で選ばれている理由がわかるなぁ
そう言えばこの関係って、立場はちょっと違うけど「響け!ユーフォニアム」のあすか先輩と部長に似ている
こんな悩みは青春共通なのでしょうねぇ
・赤点と二万
受験科目ではないという理由で、生物の赤点を恐れない菜奈
内申点で評価される推薦という仕組みに不公平感を感じている
優等生の長谷部君が何故か生物で赤点を取り、菜奈と補習を受けることで生じる二人の認識の交流
推薦という仕組みが既に盛り込まれているのであれば別に不公平ではない
レベルの低い学校の方が高い内申点は取りやすいけど、そんな学校は推薦枠を持っていない学校がある
自分の行きたい大学の推薦枠を持っている高校に入学するところから大学受験の戦略は始まっていると考えれば不公平ではないと思うけどね
そもそも、世の中に完全に公平なんてものがあるのだろうか?
不公平があり、それぞ是正する制度もあり、またその制度によって過剰な利益を得る存在がいる
そんな複雑なシーソーの組み合わせで出来上がっているのが社会ですからねぇ
作中の言葉でもあったけど、損得だけで判断していると選択を狭めることになるよ
ただ、そんな狭い視野で不公平を感じるところが若さだと思う
・側転と三夏
手作り料理をSNSに投稿していいねを貰うのがささやかな楽しみの真綾
しかし、不器用な姉が作った失敗作のカップケーキの投稿の方がバズった事に複雑な感情を覚える
人に愛されるとは?
姉の愛嬌と自分を比べるお話
・作戦と四角
スラックスにネクタイの制服を着ている泉
何故人は自分に女性性を求めるのか?
場にふさわしい服装や見た目とは?
人から見られたい姿こそが本当の自分というのはそうだと思える
あと、眼鏡好きとしては共感しかない
泉さんにはぜひ眼鏡教でも立ち上げて欲しいw
・漠然と五体
ルールから外れる事を極端に恐れる細谷
無断欠席三日目に電車で同級生の清水と出会う
二人で電車を乗り継ぎ、海へとたどり着く
正規ルートを踏み外す事を恐れる細谷と、自由な清水という対極な二人の会話
清水ーーーー!
結局、この小説は清水千明の物語なんじゃなかろうか?
自分が何を望み、どう生きたいのかという問い
総合した感想として
「うわぁ~、青春だぁ~」と思ってしまう
それも、とてもとても青臭いね
自分にもこんな視野が狭い考えをしていた時期があったなぁと身悶えするくらい羞恥を覚える -
Posted by ブクログ
ネタバレえ?もう最終巻?とビックリ。
ネタバレではないのだけど、読みたくない人もいるだろうから、「ネタバレの内容を含む」にチェック。
とてもいい素材なのに、それを生かし切れていない感じ。
武田綾乃さんの作品はほかに読んでいないので、これが作家のテイストなのか、作品のテイストなのかはわからない。わからないけど、とっても惜しいって思っちゃう。
足らないと思ってしまうのは、人間の描写と漕ぐ描写。
特に舞奈と恵梨香、希衣と恵梨香の関係性(ドラマ)は、肩透かしを食らった感がある。
高校の部活の中で、舞奈、恵梨香、希衣らがそれぞれ変わっていくというのがドラマの中軸になるのだろうが、そのあたりがほとんど語られない。つまり、もっと彼女たちの人間ドラマが読みたかったのだ。
そこが効いていないので、最後の終わらせ方も「え?」って思っちゃう。
結局、私には最後までなぜ『君と漕ぐ』だったのかわからなかった。
ただ、泣かされたので星は4つにしました。 -
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前作から、10年ぶりの復活となる本書は、創元推理文庫から2020年に発売された、「書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー」の第二弾で、全て1990年代生まれの作家が書かれているのが特徴ですが、どちらかというと、その若さはあまり気にならず、バラエティに富んだ多種多様な作風を、一冊で体感できた喜びが強かったです。
武田綾乃 「その爪先を彩る赤」
演劇部の失くなった靴を捜索する話で、犯人や動機は分かりやすいものの、その後の探偵に絡む、謎解きの細やかな伏線が見事だと思いましたし、そこに潜んでいたのは、探偵と「僕」との間における、稀少な価値観の共有で、こうした自分を認めてくれるような喜びは、学園生活では、やはり大切ですよね。
斜線堂有紀 「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」
武田さんの、明るい雰囲気の話の後だけに、余計に衝撃的に思われて、犯人探しや事件の謎以上に、後味の悪さが凄まじく、おそらく、大人の全く介入しない状況もそうさせたのかもと思うと、学生たちの持つ視野の狭さに、思考能力の限界や恐ろしさを感じさせられて、もはや狂気的ですらある。問題作。
辻堂ゆめ 「黒塗り楽譜と転校生」
ミステリの要素に、やや専門性を感じられたが、合唱コンクールを絡めた清々しい物語には、これぞ青春といった気持ちの高まりを覚え、最初まとまらなかったけど、やるときはやるといった、かつての私の中学のクラスの雰囲気を思い出しましたし、謎の答えについても、同様の青春が滲み出ていて、この時しか体験出来ないことの素晴らしさを、実感いたしました。
額賀澪 「願わくば海の底で」
まさか、こうしたアンソロジーで、東日本大震災を題材にしたことに驚き、その筆致も、当時の哀しみだけでは表せないような、複雑で繊細な哀しみを、こと細かく表現しており、『その《潮時》を無理矢理踏み越えてきた』等に感じ入るものもありましたが、ミステリ要素も、最後の最後にどんでん返し的に入っており、しかも、それが見事というのが適切なのかどうか分かりませんが、皮肉にも、震災と絡んでいるからこそ成立するような、叙情感や喪失感に、諦観めいた悲しみ、そして、人として、どうあるべきだったのか? そんな事を考えさせてくれました。
青崎有吾 「あるいは紙の」
最近フォローしている人達の間で盛り上がっているのを、私は素知らぬ振りをしつつ、秘かに気になっていた方で、まずは短編をと、お試し感覚で読んでみたら「裏染天馬」シリーズで、しまったと思ったが、どうやら番外編的な感じでもありそうで、主役は「クラーク・ケント」の彼だったが、「向坂香織」とのやり取りに青春のもどかしい切なさがあったり、天馬とのやり取りの素朴さ等、まず物語としての面白さがあっての、最後の謎解きは渋いながらも効果的だったし、それは、向坂自身の思いの詰まった、彼女自身の存在意義を証明したようでもあって、彼の為したことの大きさを実感させられた終わり方は、とても素敵で、このシリーズにより興味を持ちました。それにしても、青崎さんは時代もの好きなのかな。
以上、五つの短編を読みまして、いくつかの作品で印象的だったのが、この年代特有の、本音を素直に言えなかったり、自分の想定以上の意地を張ってしまうといった、そのもどかしい感情に苦しむ姿であり、これこそ青春に付きものなのかもしれませんが、おそらく実際にどうすれば良いのか、本人自身、分からないのでしょうね。
しかし、そこを試行錯誤して乗り越えていくことが、大人へと成長していく、一つの要素なのかもしれないと思うと、これらの物語には、そうした成長への願いが込められているようにも感じられて、私の中のどこかで、アンソロジーには単行本に掲載しないような実験的なものや、ちょっとした小品を書いているといった、そんなイメージを払拭してくれた、素敵な作品集でした。 -
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リア充で楽しく毎日を過ごしている人にオススメしたい。毎日楽しく生活を送っているが、そうでない人もいることも忘れないで欲しい。
朱音が学校で飛び降り自殺する。
この学校は県内有数の進学校で勝ち組で自分本位の生徒が多いのかも知れない。
そんな進学校で起きた、6名の生徒の独白形式で朱音の自殺の原因の死の検証をする。
朱音がかまってちゃんでウザいと思う方も多いと思うが、
信じられる親友を求めた朱音の贈る言葉を噛み締めて欲しい。
咲き乱れた勿忘草で朱音と佳純が永遠に仲良く遊んで欲しい。真っ青な勿忘草を。
そんな朱音の純粋な心も汲み取って頂きたい。
一人でタイムカプセルを掘り起こしに行く様に涙した。
好きの反対は無関心だ。
信じてもらえる友達は大切だ。
優等生夏川が怖すぎて人を信じるのを辞めたくなる。イヤミスなラスト。
親友の顔を思い浮かべ、勿忘草の花言葉を噛み締めて欲しい。 -
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「リズと青い鳥」⇒TV1期⇒TY2期⇒誓いのフィナーレ
と見てきました。
そして原点たる小説版へ。
前提として、この作品がとても好きです。
好きなのでアニメも何度も見てます。
何度も見てるうちに、かすかなひっかかりがあることに気づき、それはなんだろうと自問自答し、言葉にしてみようと思います。
日本のアニメは話がわかりにくい。なんでそうするのかわからないが、わざわざ肝心なとこをとばして、あとから想像で補うようにする表現をちょいちょい入れてくる。なんでだ? ガルパンもリコリコもどっぷりハマるほど好きだけど、やはり同じようなところがある。
なお、まどマギにはそういったところはない。リズと青い鳥も、そういうところはない。
(なお、肝心なところを飛ばして(見せずに)あとから周囲の表現で想像させるという手法はそれがいいときもあれば、よくないときもある。常に悪いわけではない)
で、響けユーフォニアムであるが、アニメ見てたときのわかりにくい部分は、わりと小説もそのままだった。小説をそのまま忠実にアニメにしていた。なので、響けに関しては、アニメのわかりにくさは小説に由来していた。
これは単に、どんなシーンを入れるか入れないか、どんな順番で並べるかという構成の問題である。
日本のアニメは構成が良くないのが多い、という印象。
そして響けの原作も構成が惜しい、という印象。
これはなんでなんだろうな~。
なお、構成の良さ(わかりやすさ)のお手本は、今年公開になった「トップガン」。アクションものなのに老若男女、みんな面白いと言ってるのは、構成が良いから。わかりやすいので、作品世界に没入できる。
という以上の説明はたぶんわかりにくいと思う。
なぜならそこをしっかり書こうとすると時間と気力が必要なんだけど、もう面倒なので、思いついたこと書くだけで精一杯。
そしてもう一度改めて言うが、響けは大好きです。 -
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アニメからハマった「響け」シリーズ。久美子が1年のときから始まって、本作で最終学年ということで、読後の高揚感がすごかった。一気に駆け上がったな、と。
ニコニコミステリアスな真由。前編からの布石をいよいよ回収!かと思ったが、本作品はあくまで青春ものでミステリではないので。。
ともあれ、その真由や麗奈やらいろんな人や事柄に振り回されまくり(というか自分から首突っ込んでいった?w)、一人で抱えこんでいた久美子をずっと心配して、ハラハラして読み進めていって、最終的着地に、親のような目線で涙したのでありました。
これが2年後アニメになるとか、楽しみすぎます。 -
Posted by ブクログ
令和時代の居場所の奪い合い! 高校生のカーストを辛辣に描く学園ミステリー #石黒くんに春は来ない
■レビュー
登場人物の描写があまりに生き生きとしていて強烈。
まるで自分がそのクラスの一人になったかのように、息をするのもしんどくなってくる作品です。
なにより、冷酷な人間を書くのが超絶に上手い。
なんでこんなに性格悪い人物を描けるのか。思わず学生時代の大嫌いだった奴を思い出してしまいました。
そして若い世代のつらい現実世界がまたキツイですね。
多様性が謳われる現代にも関わず、露骨な人種差別がはびこっている。どんどん生きづらくなっている若者世代の実態を感じ取ることができました。
また本作はプロットが凝っており、エンタメ小説としても楽しめます。
LINEグループですら社会、優劣、差別がはびこり、弱者の居場所は何処にもないリアルが痛感できます。
スクールカーストの下剋上よろしく、令和世代の居場所の奪い合いがミステリーとしての読みどころでした。
■推しポイント
偉そうな年寄りのじじいが、さもわかったように言います。
若者のコミュニケーションが希薄になっている。メールや携帯電話でリアルな交流ができない。
現代における若年層のコミュニケーションは、かつてに比べるとよりセンシティブになっているそうです。それは交流をとる手法、場面、機会が増えているから。
大人であれば自身の責任さえ担保できれば一人で生きることもできますが、子供たちはどんな時でも、一人になることができず現実から逃げ出すことができません。
今の大人たちが考えているよりも、コミュニケーションは取っており、最優先は横の繋がりなんですよね。そりゃ大人、年上、上司を敬えないし、理不尽なことを嫌うし、合理的な生き方にもなるわ。
経験で凝り固まってしまった、自らの年寄りの脳みそをほぐしてくれました。年齢を重ねた人ほど、読んでも欲しい一冊でした。
全然レビューと関係ありませんが、先日武田先生がご結婚されたそうです。
おめでとうございます! 素敵なご家庭を築いてください。末永くお幸せに!