林望のレビュー一覧
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実に読みやすい本である。
文体がしゃべり言葉になっていて、まとめたはなしたものを、
エッセイにしたものであろう。
この人は、1949年生まれ、慶応出身。
わたしと同世代の人で、いっている視点が、結構おもしろい。
今までいわれていることに対して、「そうではない。」と強調し、
違う視点を提示する。おもしろいことである。
する事に対して、知性があるということは、
「主体」がかかわっているかにあるという。
素人の書いた旅行記が、主観的で通俗な「おしゃべり」に終始しているのは、「客観的認識」を基底とする「発見」がないからだ。
それを、知性の欠如という。
知性とは、「方法を身につける」ことである。
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Posted by ブクログ
書斎は北側の部屋に設けるなど、実用的なことも書かれているが、話題は知的生産術や生き方にまで及び、全体的にエッセイ風の文章。しかし、考えさせられ、刺激になることもあった。
永井荷風や漱石、梶井基次郎のように、日記を書くことによって自分自身の一日を反省したり、日々思いついたいろいろなことを書き留めたりということができる。
これから向こう十年間、何かのことを努力したいから、そのために書斎が必要だというふうに考えていく。
「荘子」には、「偉くなるということは、それだけ心を苦しめることだ。人の上に立てば、立っただけ苦しみも多くなる。人の上に立たない、出世しないということは、苦しみが少ないということ -
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ネタバレ[ 内容 ]
何やら重々しい響きと敷居の高さを感じさせる「芸術」という言葉。
けれど、真の芸術とは雲上の特別な世界ではなく、人生を豊かにする最高の遊びであり、万人の「生きる力」なのである。
とはいえ、鑑賞しても作品の良さがわからない、表現したくても最初の一歩が踏み出せない、そんな憧れと諦めに戸惑っている人は多いはず。
絵画、音楽、写真、文筆と芸術全般を楽しむ著者が、上達への具体的ノウハウを示しながら、誰もが内に秘める「芸術欲」を満たす基本的心得を説く。
日常が変わる芸術的生活への招待状。
[ 目次 ]
1 芸術生活をいかに過ごすか(すばらしき「芸術欲」の萌芽;なっていない日本の芸術教育;芸術 -
Posted by ブクログ
本当の知性とは主体的に外の世界と関わっていけること、そしてそのための正しい方法を身につけていること、と説き、学問、読書、遊びという三つの側面から著者の考えを述べた本。
印象に残ったのは以下の二点。
*大学の先生は親切に教える先生はダメで、弟子が方向を誤らないように見ていればいい。良い研究者はそのまま良い教育者である。職人の世界で弟子には一切教えないというのも同じことで、教えるとそこで範囲を形成してしまってそこから伸びない。教えられないとどこまででも行くことができる。
*余暇には遊ばなければいけない、という強迫観念で行動しない。
現象的に遊びに見えても必ずしも遊びになっていないことがある。逆