宇野常寛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ経済的、社会的に日本は疲弊・衰退してしまったが、本当にすっかりだめになってしまったのか、という問い立てに対し、筆者が「オタク文化が育んだ想像力にこそ、現実を変革する力があり、現代の日本が武器とするべきはそこだ」というようなことを論じていく、というような内容。「昼の世界」(経済力など)が衰退した「失われた20年」の裏側では、「夜の世界」が着実な成長を遂げていたのだ、という感じ。
面白く読んだ箇所も決して少なくはないけれど、論じ方としてはやや荒っぽい印象を受けた。言葉の定義が雑(インターネットという言葉が、ネット上のコミュニティを指すのか、提供するサービスを示すのか、どのサービスまでを含むの -
Posted by ブクログ
前田敦子引退後はじめての総選挙がおこなわれ、その後に指原莉乃のスキャンダルおよびそれにともなう彼女のHKT48への移籍が発表された2012年におこなわれた、いずれもAKB48を愛する論客4人の座談会を収めた本です。
「まえがき」で小林よしのりが「我々は「あえて」嵌っているのではなく、「マジ」で嵌っている」と述べています。ただし、その「マジ」の中身にも論者によってちがいがあります。小林は、『ゴーマニズム宣言』でもくり返し語っていた彼自身の信じるプロフェッショナリズムにもとづいて、スター性のない少女たちが「ガチ」で芸能界という舞台で夢をめがける姿に声援を送っているように思えます。
これに対して -
Posted by ブクログ
東浩紀の「動物化するポストモダン」論を更新すべく著されたゼロ年代論。大きな物語が存在しない時代に、自己や物語のキャラ化、他者回避の到来を述べた東に対し、宇野は決断主義が到来してるぞと先を歩いてみせる。経済成長の終焉から規制改革が生まれたように、碇シンジは自身の根拠を持たない宙ぶらりんに耐えられず、夜神月に取って代わられたのだと。
しばしば批判されるように取り上げる作品の恣意性を感じなくもないが、サブカルという人の性癖の問題で世相を語ろうとする以上、それは甘んじて受けるべき批判だろう。
決断主義がはらむ暴力性なども問題にしている。規制緩和が生んだ暴力の問題に通じているが、大きな物語の時代だろうが -
Posted by ブクログ
ネタバレアラフォー世代の評論家とアナウンサーの対談による、若い人たち向けの人生案内だとか。
これからの時代の、知の見つけ方・働き方・暮らし方、生き方。
インターネットで見知らぬ遠くの誰かと出会うのではなく、空気を読んで同調して、特定の何かを叩くという風潮は確かにつまらないと思うが、それをしている人たちにそのことが伝わるのか。
世の事象にレッテルを貼り、パターン化させて語っているように感じられる点も多く、本書を鵜呑みにするのもつまらない感覚がする。
アラカンの自分には、たしかに読者として適当でなかったようで、繰り返される「ワナビー」という人々が著者にとっては敵属性を持っていることは伝わってきたが、意味は