宇野常寛のレビュー一覧

  • 水曜日は働かない
    第2部は、これまで知っていた評論家としての宇野常寛の世界。それをはさむ第1・3部は、朝井リョウみたいな日常生活を説き直すようなPart。もちろん、第1・3部も、時代を深く捉え直している。
     タイトルに限らず、本当にそうなのかを問いかけてくる一冊。コロナ禍やカレンダーの休日にまどわされず、そんな風に生...続きを読む
  • 砂漠と異人たち
    プラットフォームから庭へ。
    『庭』の具体的なイメージが本書だけではし難い部分もあるが、文芸誌『群像』の連載をあわせて読むとその目指すところが見えてくる。
    個人的な視点で『庭』の概念を抽象的に表現するなら『偶有性』×『強い原理(物語)』×『手触り感』のようなイメージ。
    考え続けたくなる一冊。
    普段小説...続きを読む
  • 砂漠と異人たち
    面白かった。

    、、が、序章でワクワクしただけに、
    ロレンスの話がかなりの長尺で続く事に少し戸惑った。
    そもそも匿名性を求めて、SNSをする人間は今さほどいないのでは、、?


    そして行き着くべき先の真っ先に出てくる具体例が批評ということもあまりピンとこなかった。

    途中書き
  • 母性のディストピア I 接触篇
    宮崎駿、富野由悠季、押井守の3人を中心的に取り上げながら戦後から現代までの日本の思想を射程とした評論。
    アメリカの庇護の元経済大国となり、そしてそこから滑り落ちた日本の課題をアニメーションを通して示している。
    本書では戦後以降に限定しているが、アメリカ当たるものを変えれば、同じ状況(母性の肥大化と矮...続きを読む
  • 母性のディストピア II 発動篇
    下巻となる本書は最後のインタビューを読むことで全体の理解と新たな問題意識が明確となるように構成されている。
    兄弟的、BL的関係性による父になる以外の成熟の形やオールドなオタク的な成熟が希望として示されているが、本書が最初に刊行されてから5年が経過し、新型コロナを踏まえたこの国の状況は当時よりもさらに...続きを読む
  • 砂漠と異人たち
    砂漠より庭だと言うが、
    砂漠を知らないと庭のありがたさもわからない気もする。

    デタッチメントからコミットメントへ。
    その独りよがり(暴力性)に閉じずに開かれ続けることは大切。

    結局多様性、とか言ってしまうと結論としてはあまりにも凡庸ではある。

    歴史に見られる感覚。


    SNSと帝国主義の拡大。...続きを読む
  • 水曜日は働かない
    同著者の「ゼロ年代の想像力」を読んだ流れで新しいものを読みたく購入。
    SNS時代を踏まえて、コロナやオリンピックを踏まえて著者が感じたことがまとめられている。
    「議論は相手を打ち負かすゲームではない、重要なのは問題そのものの解決あるいは解体することであること、お互いの考えを聞くことで自分の思考の手が...続きを読む
  • ゼロ年代の想像力
    2022年に読むと当然ながら、本書の分析は過去の一時点を切り取った評論となる。
    しかしながら、2000年から東日本大震災の時期を青春として過ごしてきた人(私)にとっては自分を形作ってきた時代性が分かりやすく批評されており、自分自身の思想の根っこにあるものを見つめ直すことができた。
    良書であると思う。
  • 水曜日は働かない
    タイトルにすっかりやられてしまった。
    クスッとさせられるエピソードから考えさせられるエピソードまで。
    確固たる信念がありながらも排他的でない宇野さんのスタンスに魅力を感じた。
  • 新しい地図の見つけ方
    物事を知的に語る宇野さんと自信の経験に基づいて語る吉田さん
    やっぱ経験談の方が入って来やすい。

    宇野さんの行動は公平、傷つくかどうかは自分次第

    吉田さんの、みんな自分の属性の遊びをしようとしている。
    知識はマウンティングでなく面白がりが前提という言葉が刺さったな
  • ゼロ年代の想像力
    ジャンプ作品や仮面ライダー、モーレツ大人帝国の逆襲に野ブタをプロデュースなどゼロ年代の作品とか空気が結構好きなので読んでて楽しかったし、こういう作品たちの社会状況の鏡としての見方はできたことなくて勉強になった
  • 母性のディストピア I 接触篇
    大好きな宇野本。
    ほとんどのアニメを見ていないこともあるが、相変わらず思考が追いつかない。なので、(賛否はあると思うが)何度も同じことが繰り返し語られている部分は、刷り込みとして僕にはちょうど良かった。

    設定した目的に対して、一側面からの題材批評をつなぎ、
    複数の題材を一つの主張につなげるところは...続きを読む
  • 母性のディストピア II 発動篇
    押井守から特撮や2016年産アニメーションについて、下巻では論じられる。

    日本のアニメーションが極めてネオテニー的性質を持つこと、映像からネットワークへと時代が変遷する中で物語の構造が批評性を持ちえなくなったことが宇野常寛氏のディスコースにより暴かれてゆく。

    押井守の作品についてはあまり触れてこ...続きを読む
  • 母性のディストピア I 接触篇
    アニメーションの巨匠たちを分析し、そこから社会構造を垣間見る試みはこれまで見たことがなく、興味を強く惹かれる。

    この上巻では宮崎駿と富野由悠季について取り上げられている。
    母性、父性といった観点で作品と対峙し、作家性と時代性を見つめながら本質を紐解いていく過程は面白い。
  • 母性のディストピア
    かなりの量を割いて、3人のアニメ監督の作品がどのような背景か、何を伝えているのかを宇野さんの視点で分析して論じている。たしかに10時間くらい読んでたかも…
  • 日本文化の論点
    AKBの章の熱量が他と違いすぎる。文化論というより、AKBのシステム論が主題のようでしたが、非常によく分かった。
    握手券単体で売ればいいやん、と思っていた私が浅はかでした。
  • 母性のディストピア
    結論については納得。
    「大きな物語」ではなく「大きなゲーム」での再接続というのは,そうなのだけど,それが母性のディストピアに対抗するものなのか?というのが良くわからない。
    結局それも母性のディストピアに回収されてしまうものなのではないか。
  • AKB48白熱論争
    48のムーブメントは縮図であったりコードであったりとして機能できうるのではないかなぁと感じていたんだけどそれを使っていろいろな話をしている。それ自体に可能性がある事や、それを使って様々なことが語られていて面白かった。
  • 静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話
    落合陽一さんの「ミトコンドリアと人間の関係性(共生、ミトコンドリアが発電機となり人間にエネルギーをもたらす一方で、人間は細胞分裂することでミトコンドリアを増殖する。太古、人間がまだ単細胞生物であった時代にミトコンドリアと融合したと考えられている)は、人間とコンピュータにあてはまるのでは」の話が一番面...続きを読む
  • ゼロ年代の想像力
    文化から社会を読む。
    オタク文化への文芸的評論。
    こういう評論が苦手だった理由を考える。
    東に顕著に見られるが、主張を裏付けるための材料を極めて恣意的に選び出していること。
    そして本質的に後出しじゃんけんにしかなりえないこと。
    それはこの本も例外ではない。
    しかしどこかしら、嫌悪できない...続きを読む