宇野常寛のレビュー一覧

  • 日本文化の論点

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    批評や批判は数あれど、創造的な文章こそが今求められていると思う。そういう意味でこの本はすばらしいと思います。
    文化の発生が場所発ではなくコンテンツ発だとか、新美南吉の「おぢいさんのランプ」の話など。そして昼の世界、夜の世界の話も賛成です。
    予め設定された大きな物語もないし、二元論で語ることも先が見えない。そんな今、ヒントがちりばめられている本でした。

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    2013年03月23日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    ネタバレ

    「自己承認なんてものは、もはや断片的で確率的なものでしかあり得ない」

     失われた10年だったのがいつの間にか20年になって、僕たちが青春を過ごした時代が無意味だったかのようなことを言われちゃって、それを聞く僕たちも、何となくそんな気分になっていたけど、それに異を唱える人がいる。そのうちの二人が著者。何反省しちゃってるんだふざけるなと。
     おっちゃんたちが見ていた世界は確かに停滞の時代だったかもしれないけれど、オッチャン達が見ていなくて僕たちが見ていた世界では時代は確実に進んでいる。僕たちの青春時代は決して反省の対象にされるものではないのだと。著者は、着実に発達してきた自由の拡大を、最大元に享

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    2013年03月16日
  • ゼロ年代の想像力

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    今の世の中を的確に描写した一冊だったように思う。
    批評の題材としてマンガやドラマといったポップカルチャーを扱っていたので、今まで思想や批評に感じていた「そんなの、一部の人間だけじゃん」という思いを感じなかった。

    思想の内容としては、政治や経済成長といった誰もが持ち合わせる大きな指標がなくなった現在は、それぞれが思い思いの物語(生きる意味や承認欲求を満たすもの)を「敢えて」信じ、その領分を守るために戦い合っている世の中なのだ、というものだった。
    こういったことを端的に示してくれただけでも凄いのだけど、それだけでなく、問題点や解決策まで示してくれていたので、もう凄いとしか形容できない。

    問題点

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    2013年03月09日
  • AKB48白熱論争

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    気になった論点とかをノートにまとめていたら4ページにもなりました。本当は皆さんにも本書を読んでもらうのが一番なんですけど、宣伝も兼ねてその中のいくつかを紹介します。

    1.「ゆきりんに居場所がない」問題。優子→あっちゃんのいないAKBを守るという物語。まゆゆ→次世代センターの本命。ゆきりん→前田政権での有力閣僚だったけどナンバー2ではないので後継者にはなれない。

    2.大島優子には「嫌われる才能」がない。アンチがいるからスターが生まれる。あっちゃんと違い、優子にはアンチがほとんどいない。

    3.よしりん「AKBの選挙には同情票が膨大にある。単なる美少女コンテストで票を入れていない」

    4.総選

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    2012年12月24日
  • AKB48白熱論争

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    最近読んだ本の中で一番おもしろかった。
    教養のある大人がマジメにアイドルにハマり、政治まで絡めて議論するバカバカしさ。
    エヴァンゲリオンの謎解きをサイト上で議論するのに似た、二次的な楽しみ方という感じ。

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    2012年12月02日
  • AKB48白熱論争

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    ネタバレ

    (印象的な箇所)
    <ソーシャルメディア時代のアイドルAKB>
    ・AKBはマスメディアに頼らず、ソーシャルメディアを駆使して、ファンとアイドルの新しい関係を作った。
    ・AKBは、おにゃんこやモーニング娘。に似ていると言われるが、ガチの度合いが全然違う。
    ・おにゃんこもモー娘も、所詮フェイク・ドキュメンタリー。楽屋の生の様子を視聴者に見せているようでいて、製作者側が何を見せるか、繊細にコントロールしていた。
    ・AKBは、もうフェイクじゃない。ガチの人気競争をファンに見せている。毎日劇場で公演して、女子たちにGoogle+やブログを好き勝手に更新させることで、アイドルの日常をソーシャルメデ

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    2012年11月04日
  • AKB48白熱論争

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    その昔、カルトQという一般人には絶対分からないマニア向けの難問ばかりのクイズ番組がありました。わからないけど、なんかもう回答者の無駄知識がすごすぎて面白いという番組。この本の面白さはあの間隔に似ている。マニアの熱さは伝わるよ。しかも社会的にも論陣はったりする人たちだから説得力もすごい。こういう大人は楽しいだろうなぁ。

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    2012年10月11日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    東日本大震災によって既存の枠組みに対する絶望感が生まれる中、日本人はどこに「希望」を見出したらいいのか?
    戦後日本の社会構造、日本におけるインターネットの発達史などを紐解きながら、2010年代の「希望」へとつながる萌芽を探っていく本。

    実世界とコンピュータがより密接につながりリアル空間を広げてくれる「拡張現実」という概念は、世界中で着実なムーブメントを起こしている。
    (例:Facebookを通じた実名による社会交流の拡大、ネット選挙による政治活動の多様化)

    もちろん、日本でもこういうムーブメントは起きている。
    しかし、この本ではそれ以上に、日本からスタートした、特有の動きにも注目している。

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    2012年09月03日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    今までの社会構造の矛盾や限界に対して、大変共感できる整理と今後の方向性を打ち出している事に感銘を受けた。この考え方に立った何らかの試みを実現したいと思う。

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    2012年04月01日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    いやー、面白かった。特に第Ⅲ章「希望」を考えるはすごくなるほどと。目指すべき方向性は全く同感。私ももっと勉強せねば。

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    2012年01月31日
  • 庭の話

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    庭とは人間と自然──あるいは事物──のあいだに開かれた〈公共の余白〉のことである。それは〈プラットフォーム〉や〈共同体〉のように評価や所属を前提しない場。そこでは人間は完全に支配せず、ただ部分的に関与することで自然や事物の自律に耳を澄ます。それは「制作」や「観察」といった、評価に頼らない営みによって豊かさを取り戻す試みだ。この庭は「評価経済」に縛られず、ひとりでも成立する“弱い自立”の可能性を示す。誰かのためでも、誰かに認められるためでもなくただそこにあることの価値を庭は静かに教えてくれる。

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    2025年12月08日
  • 庭の話

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    お庭の話、、なんて思ったらとんでもない!庭はあくまで比喩、メタファーで、
    ネットに影響される現代人の存在するプラットフォーム、共同体、孤独、
    といったところを鋭くえぐっている。
    #3 「庭」の条件に入るまでは、実際の「庭」が人々に与える感覚などを
    書いていたが、庭の条件を示したこの一文が、著者の思考の深さを表現している。

    本書が「庭」の比喩で考えていくプラットフォームを内包するために必要な環境とは何か。
    これまでの議論から浮上するのは、以下の三つの「庭」の条件だ。

    第一にまず、「庭」とは人間が人間以外の事物とコミュニケーションを取るための場であり、
    第二に「庭」はその人間外の事物同士がコミ

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    2025年12月03日
  • 別冊NHK100分de名著 果てしなき 石ノ森章太郎

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    仮面ライダー、サイボーグ009など今も影響が残る漫画の大家、石ノ森章太郎。
    009は原作も読み、未完が故の不完全燃焼感があった。
    本人も作品を完成させられないことに悩んでいたことをこの本で知った。
    ただ、仮面ライダー、ゴレンジャー、といった今でも続くアイディアの原石を作り上げた功績は極めて大きい。
    また、主人公たちも完全な善ではなく、自分の意志通りには人生を歩めない屈折や悩みを持ち続ける複雑さがいい。
    自分の特徴をもっと肯定できたらもっと楽に生きられただろうにと少し残念に思うし、そこから学びたい。

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    2025年11月08日
  • ゼロ年代の想像力

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    小さな物語の時代は決断主義のバトルロワイヤルの時代でもある。その時代を勝ち抜く前提がメタ決断主義とでも言うべき、自分たちを成り立たせているシステムへの自覚的関与だ。

    その上で、そこからの解決を、宮藤官九郎は郊外を舞台に「死」を自覚させることで表現した。また、木皿泉は大きな物語は日常に潜む小さな物語を覆い隠していたことを暴露し、物語は与えられるのではなく、見出し、作りゆくことを表した。

    また、過剰流動性社会において、大人が出来る事は子どもに特定の価値観を押しつけるのではなく、彼らが生きる環境を整えること、という主張は頷ける(六番目の小夜子、よつばと!)。

    ドラマ「ラスト・フレンズ」を高く評

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    2025年10月24日
  • 庭の話

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    ネタバレ

    SNSの“承認ゲーム”に少し疲れ、でもネットから離れたいわけじゃない——そんな自分に、この本は「庭」という視点をくれました。ここで言う庭は、手放しのユートピアでも“全部コントロールできる私的空間”でもありません。風や虫や雑草のような人間の外部が入り込み、思い通りにならないことを含んだ場です。著者はそこで、能動でも受動でもない中動態の姿勢を勧めます。世界を押し切るのでも流されるのでもなく、「ともに動く」。その構えが、承認の波に即応し続けるSNSのリズムから私たちを救い出す、と。

    とりわけ納得したのは、ジル・クレマンの“動いている庭”という比喩です。自然は固定化できない。だから設計は“完成図”で

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    2025年10月12日
  • ラーメンと瞑想

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    思っていた内容とは違ったけれど,ラーメンに限らず個食の醍醐味とT氏との瞑想,そして広がる創造の世界,興味深かったです.獣の世界には物語はなくに始まる瞑想,特に最後のロレンスについての考察,なるほど.

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    2025年09月21日
  • 庭の話

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    大衆が共同体内での承認を得るためにイジメをするという構造はまさにと思った。
    そしてエリートしか評価をされず、経済的にも格差が広がるという構造も、まさにと思う。

    でも、大衆が弱い自立をするイメージが持てなかったなあ。チョンキンマンションでもやはりコミュニケーション能力が必要とされると思うし、大衆は承認を必要とするとおもった。相対的な強さがないと、つまりエリートでないと自立は難しいと思った。

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    2025年09月15日
  • 庭の話

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    庭の比喩・アナロジーが微妙に難しい。読み手によっていかようにも解釈できるようにも感じる。古今東西さまざまなエピソードや書物を引用して、「庭」へ向かう概念が語られるのは小気味良かったが、最後の主張がやや尻切れトンボっぽい感触だった。材料は提供したので、自分自身で考えろということなのかも知れない。
    しかし、宇野氏のプラットフォーム論、共同体、公共と私、特に孤独についての考え方には基本的に賛成できる。10年後にもまた本書を再読してみたい。果たしてその時にも同じ感想を述べられるのだろうか。

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    2025年08月30日
  • ラーメンと瞑想

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    宇野さんとT氏が毎週水曜日にランニングし、瞑想をして暴食に近い外食をする中で問答が行なわれる内容をまとめたエッセイ。ここで紹介される飲食店は、どちらかといえば高カロリーで個人的な趣向とは合わない笑 「神との対話」としての瞑想と、「獣の欲望」として一心不乱に貪る食事という、一見すると相容れない行為を連続させることで精神と本能という二面から人間性を充足させていく。

    個人的には宇野さんと同年代であり、高カロリーなものを暴食するには躊躇がある。免罪符のように運動する、飯を抜くといった行為を通じてチートデーを設けるというのは、自分自身もよく実行している。宇野さんは直接の知人であり、著作も何冊か読んでい

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    2025年08月28日
  • 庭の話

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    共同体を作らない、コレク'ティフ'の概念、制作など、それらを繋ぐプラットフォームではなく、庭の概念。

    論証という観点では少し荒さも目立つが、現代において非常に重要な問題提起だと思った。

    特に個人的には社会の人々を取りこぼさないためには、共同体より、お金を払えば誰でもサービスを受けられることが重要という考え。
    生活する上で必要となる静脈的な活動の延長に、都市への庭を園芸すること、それも不完全ながらそれを増やしていくこと。
    なんとも心許ないように思える結論だが、むしろいまはそれで十分に思える。
    今後の社会を考えていく上で、本書は無視できないだろう。

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    2025年08月07日