宇野常寛のレビュー一覧

  • チーム・オルタナティブの冒険

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    今のところ今年ナンバーワンの一冊。
    宇野さんの著作は何作か読んだけど、主人公の語り口がいかにも宇野さんの青春時代ぽいひねくれた知的青年ぽい。大人になりきれない少年たちの淡い夏が描かれるのかと思いきや、急に不穏なミステリーじみた展開になり、ラストは怒涛の展開。
    久々にドはまりした小説でした。これが小説の魅力。
    井上には幸せになってほしい。

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    2024年02月06日
  • 水曜日は働かない

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    うん、これは面白かった!タイトルに惹かれて読んでみたのだが、いわゆる批評の集まりだった。
    以前読んだ武田砂鉄さんのものよりは、しっくりくる感じで、最後は久しぶりに読み終わるのがもったいない感じが得られた本だった。
    特に、京都の話かな、こういう考え方をする人は基本的に好きなので、もっとこの人の書いたものを読みたいと思ったし、この本もやっぱり買いたいなと考えている。

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    2022年08月11日
  • ゼロ年代の想像力

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    大きく分けて、
    70年代 「大きな物語」に支えられた時代
    80年代 「大きな物語」の喪失後も好景気でそれが見えなかった時代
    90年代 「物はあるが物語がない」価値観の宙ずりの時代
    00年代 究極的には無根拠なのだから決断主義的に「信じたいものを信じる」時代
    00年代後半 決断主義が孕む暴力性の克服を模索
    という流れになっている。

    主に90年代の引きこもりから00年代の決断主義(引きこもっていたら殺される)への変化を当時のアニメを通じて浮かび上がらせている。

    自分はおたく、もしくは引きこもりの体質のある人にとっては、それを社会に還元できるのではないかという希望を持たされるだろう。それと同時

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    2021年04月03日
  • 母性のディストピア II 発動篇

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    大部分が押井守論。映像の世紀とネットワークの世紀。ところどころ文章には引っかかるけど,イメージは共有できるものだった。

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    2020年09月22日
  • ゼロ年代の想像力

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    ザクザクとした語り口で攻撃的なスタイルも見られるが、それも本書の魅力となっている。
    野ブタや涼宮ハルヒなど現在の若者にとって実感を伴った理解がしやすい題材を用いており、批評にあまり親しみがない若者にとっても良い批評体験となるだろう。
    良い意味でも悪い意味でも小説のようだった。

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    2019年12月17日
  • ゼロ年代の想像力

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    【総当たりからの切り結び】「大きな物語」の終焉からの「セカイ系」を経て、バトル・ロワイヤル型の社会の向こうに位置する想像力を模索することを試みた批評作品。多彩なメディア作品を読み解きながら、2000年代とその次の時代はいかなるものかを検討していきます。著者は、『PLANETS』の編集長を務める宇野常寛。

    本当に久しぶりに批評と呼ばれるジャンルの作品を手にしたのですが、非常に刺激的な読書体験となりました。本書に寄せられる批判をも含む形で、頭を一度ぐにゃぐにゃにして物事を捉え直すことができる一冊だと思います。

    〜ゼロ年代も終わりに近づいた現在、「成熟」とはコミュニケーション、他者と手を取り合う

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    2019年01月14日
  • ゼロ年代の想像力

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    おー、なんとなくぼんやり感じてたことを言語化してくれた感覚!
    今さらながらに、長年第一線で活躍してるエンタメ界の人はすごいなあ〜。私の好きなバンドさんの傾向の変化も改めて必然やったんやなあ。
    ま、この論が世に出てから10年経って読んでるて相当遅れてるわけだけどw
    とりあえず私は90年代文化にどっぷりなので(…)、今後の社会も楽しんでけるように頑張らねば!!
    あと「日出処の天子」はすごい高い評価でそれは嬉しいよねー

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    2018年11月16日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    宇野さん・濱野さんがこれまで主張してきたことの再録+α版。1章は原発の議論+『リトルピープルの時代』を基にした宇野さんパート。2章は濱野さんによる情報社会論の捉え直し。個人的にはここが胸熱。濱野さんがなんで『アーキテクチャの生態系』で日本社会論にこだわったのか。それは日本的な(ひろゆき的な)ネット空間を分析しなければ、日本独自の「フロンティア」が見えないから。このパート、普通に情報社会論の基礎的な流れの確認としても読めるし、そこに+αで濱野流の情報社会論の日本的な捉え直しもあって熱い。「梅田望夫的(アメリカ的)」と「ひろゆき的(日本的)」という括りは実感としてはすごく納得で、日本の土壌を受け入

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    2018年08月29日
  • 母性のディストピア

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    アニメーションの巨匠達が、何を描き、何に絶望したか。幼稚園年長の頃に再放送でZZ、小1にリアルタイムでVを観始め、ひたすらガンダムにはまっていった身としては、揺さぶられるものが多々あった。社会への批判力を持つ作品を描くというのは、99%の諦観と、1%の祈りの間で魂を絞り出す様なものなのかと思うと、切なく感じながらも、ますます魅入られてしまう。

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    2018年01月12日
  • ゼロ年代の想像力

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    目からうろこというか、ものを考えるってこういうことを言うのかーと思った。
    エヴァ、恋空、木更津、野ブタ、龍騎、セカチュー、ハルヒ、三丁目……これらワードにピンと来たらぜひご一読を。

    今は無数の「正しい」が現れては消える、正しさの戦国時代。
    そう考えると、水戸黄門が終わりを告げドラゲナイがヒットする理由も自ずと見えてくる(私見)。

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    2015年06月02日
  • 楽器と武器だけが人を殺すことができる

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    「ダ・ヴィンチ」に連載された17項目に及ぶテレビ、映画等の批評やエッセイ集。
    映画やテレビドラマについては自分とは違う感想もあるが、別な視点を気づかせてくれる。
    「今のテレビドラマはつまらない」という意見を持つ人は多いと思うが、ドラマを通してリアルな社会状況を見ている著者の視点は鋭く、常に前を向いている。
    後ろを見て世を憂いていても始まらないわけで、自分の見聞きしたものから少しでも希望を見出し構築していくエッセンスを分けてもらった気持ちだ。

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    2014年12月26日
  • 楽器と武器だけが人を殺すことができる

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    最初の三つの評論の流れだけでも評論家である宇野さんの問題意識や日本という国における問題点や困難だとか戦後消費社会の果てにいる僕らということがよくわかると思う。
    ただ、作品を受け手として楽しんでいる時には気付けなかった部分にも気付けるようになると世界の見方が変わるし視野も多角的になる。だから宇野さんの作品評はいつも面白く読めるし読みたい。

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    2014年12月24日
  • 静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話

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    具体的な行動として新しい世界のモデルを作りつつあるさまざまな分野の若き第一人者たちと、彼らと同年代の宇野常寛の対談集。いまだ世の中で幅をきかせている、自分のような昭和世代にはその発想の根本が違う彼らの社会のとらえ方が斬新で面白く、なんだまだやれることはたくさんあるじゃないか、という前向きな気持ちにさせてくれる(なにしろ空論ではなくすでに行動は起こされているのだから)。宇野常寛の旧世代に対するふつふつとたぎっている怒りが良い。もっと多くの10代、20代もその怒りを持って旧世代に対向して欲しいと思う。

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    2014年12月14日
  • 静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話

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    既存の価値観に囚われていない若手のオピニンリーダー達が、様々な分野で活動をしていることがよく分かる良書。

    彼らは対象として取り扱うものが、理想的にはどうあるべきかを深く考え、再定義している。非常に頼もしい。

    我々の世代も負けてはいられないし、著者達の活動を邪魔してもいけない。応援できるところは応援したい。

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    2014年11月29日
  • 静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話

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    本当におもしろいと思った本の感想が書きにくいのは何故だろうか。

    リアルな未来の青写真と、価値観を揺さぶる思考の対流。

    それらが余すところなく言語化されているからもうそれ以上言うことナッシングです。

    頭キレッキレの若手論客たちの対談集。
    宇野常寛の分析眼、補助線の引き方は相変わらず神がかっているし、最後のメディアアーティストの子もそれに劣らずイッちゃっててハイレベルすぎるじゃないか。

    ふと気づいたら彼らの描いた未来像が至るところに。何年か後にそうなるような予感。
    静かなる革命はすでに始まっているのだった。

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    2014年07月12日
  • ゼロ年代の想像力

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    おもしろかった!いろいろなことに輪郭が浮かび、名前が付いていくような快感。なんで「オタク」系ゲームは心地よく、同時に薄ら寒く感じるのか。メタ視点はなぜ採用されるのか。
    あとおもしろいおもちゃ貰っちゃったなーって感じも強い。この本であまり言及されない初音ミクやフェイスブック、最近の半沢直樹の爆発的ヒット、あとはここではある程度所与とされてる「承認」てのはつまりなんなのか。考えたいことがたくさんできたなぁ。
    個人的な話になるけど、大学時代に教わったあの先生とか、会社の先輩のあの人とか、この本に影響されてそうな人が何人か思い浮かぶのが面白い。たぶん僕も相当に影響をうけるんだろうな笑。

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    2013年11月23日
  • 原子爆弾とジョーカーなき世界

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    ネタバレ

    エヴァンゲリオンについての評論がいちばん興味深かった。これまでのエヴァについて“「つながり」の手段が変化する一瞬、それが見えなくなった瞬間の不安を敏感にとらえた“という指摘には目から鱗が落ちた。

    また、賛否両論を引き起こした「Q」については“積極的かつ的確に「現代」を切り取ろうとしている”と位置づけ、旧エヴァを引き合いに出しながら「Q」の物語の本質に迫ろうとしている。

    人類補完計画と、昨今のソーシャルメディアの発達を重ね合わせることはおそらく妥当であろう。そしてネルフとヴィレの対立を、近代とポストモダン、古い男性社会と新しい女性社会に読みかえたのもしっくりきた。(恥ずかしながら、自分は「Q

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    2013年06月24日
  • ゼロ年代の想像力

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    ネタバレ

    タイトルの通りゼロ年代の想像力を中心に90年代くらいからの想像力の変遷を、アニメや漫画、ドラマ、映画、文学などから幅広く析出している。
    セカイ系、引きこもり/心理主義、行為ではなく設定でのアイデンティティ承認、サヴァイブ系、ゆるやかな共同体、終わりある日常、母性のディストピア、環境整備を担う大人。
    自分に身近なテクストが分析の俎上にあげられており、読みやすく興味深く読み進められた。各章のテーマが明確であったこと、何度も主張が繰り返されることも読みやすさの要因でもあった。
    想起したのは東浩紀氏、大澤真幸氏(本書にも言及あり)
    次はLPの時代を読もう。

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    2013年05月14日
  • 日本文化の論点

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    批評や批判は数あれど、創造的な文章こそが今求められていると思う。そういう意味でこの本はすばらしいと思います。
    文化の発生が場所発ではなくコンテンツ発だとか、新美南吉の「おぢいさんのランプ」の話など。そして昼の世界、夜の世界の話も賛成です。
    予め設定された大きな物語もないし、二元論で語ることも先が見えない。そんな今、ヒントがちりばめられている本でした。

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    2013年03月23日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    ネタバレ

    「自己承認なんてものは、もはや断片的で確率的なものでしかあり得ない」

     失われた10年だったのがいつの間にか20年になって、僕たちが青春を過ごした時代が無意味だったかのようなことを言われちゃって、それを聞く僕たちも、何となくそんな気分になっていたけど、それに異を唱える人がいる。そのうちの二人が著者。何反省しちゃってるんだふざけるなと。
     おっちゃんたちが見ていた世界は確かに停滞の時代だったかもしれないけれど、オッチャン達が見ていなくて僕たちが見ていた世界では時代は確実に進んでいる。僕たちの青春時代は決して反省の対象にされるものではないのだと。著者は、着実に発達してきた自由の拡大を、最大元に享

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    2013年03月16日