宇野常寛のレビュー一覧

  • 庭の話

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    非常に心地よく読み進められた。宇野常寛氏の著書は初めてだったが、私の課題感=研究テーマに近いことを考えていた。しかし、アーレントの「人間の三条件」をアップデートし「制作」に至るとは。思っても見なかった。いや、しかし自分の中では実は分かっていたのか彼の最後の決断は心にスンと落ちてきた。
    本書は、プラットフォーム資本主義に対抗するための共同体主義に対して警鐘を鳴らし、共同体になり得ない別のオルタナティブを求める。「庭」は評価や承認を目的とせず、事物と人間との自律的なコミュニケーションが行われる場でないといけない、、、と順に条件を発見していくが、最後に、「戦争」が「庭」的であることを考察し、そして、

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    2025年06月09日
  • 庭の話

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    読めているか分からないけれど、考えることのなかった視点で貴重な読書体験でした。
    現在はプラットフォーム上で展開される情報環境。
    発信による相互評価の連鎖と世論形成への懸念。
    著書は「庭」というメタファーでの在り方で「孤独」を提案、そして「制作」することの必要性を説いています。
    「共同体」の中にいることで起こる不都合なことを知ると、「孤独」を強調される意味が理解できます。
    ここで言う孤独とは、心落ち着いて自分と向き合う、というふうに私は解釈しました。

    多くの文献を紹介しながら意見を述べられてる中で、
    國分功一郎さん著の『暇と退屈の倫理学』がありました。

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    2025年05月23日
  • 庭の話

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    ネタバレ

    本書は、画一的で高速な社会構造(プラットフォーム)から、多様で個別性を尊重する柔軟な社会構造(庭)への転換を提唱する。社会や環境との関係性を再定義し、「庭」を媒介として、持続可能で創造的なコミュニティ形成を目指す。

    「庭」とは単なる空間を超えて、人間と環境、人間と非人間の新たな関係を築く概念であり、消費から制作へ、強い自立から弱い自立へ、プラットフォームから多元的共生へと社会全体を変革する思想的枠組みである。

    著者は、これを通じて人間の条件そのものをアップデートし、21世紀の持続可能で豊かな社会を実現するための哲学を提示している。

    本書の限界:

    「庭」の概念は抽象的であり、具体的な社会

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    2025年05月10日
  • 庭の話

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    プラットフォーム相互承認の快楽に溺れててええんかい、という宇野さんがよく言っている問題設定から、庭のメタファーを用いてどういった場、機会が社会に必要か考える。と言いつつ、場があるだけではダメで、人間が何かを作ることで世界と関わる「制作」的な営みによって、新しい視点を得ていくことが前提として大事なのだ、ということを述べる。
    いくつか事例は紹介されるが、どれも論の途中での参照という感じなので、なかなか具体的、実践的なイメージまでいきつかない部分もある。
    超絶に雑に解釈してみれば、宇野さんがサブカル批評からキャリアをスタートしたように、自分の好きなものに没頭して価値観が変わる(消費者からその先にいく

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    2025年04月29日
  • 庭の話

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    庭とは
    人物外の事実とコミュニケーションを取る場所
    たまたま、偶然に多様な事物に出会うための場所
    関与できるが支配できない場所

    昭和が舞台のサザエさんなどのアニメでは庭ごしにお隣さんと話したり、何かが出てきたりとして物語が始まる
    今の街並みをみると、物語が始まらずいつまでも停滞するように感じる

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    2025年04月27日
  • 別冊NHK100分de名著 果てしなき 石ノ森章太郎

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    暫く積ん読になっていた。NHKの放送後に纏められたテキストらしい。

    子供の頃、サイボーグ009は映画やテレビアニメで観ていた。最初のモノクロ版。サラサラっと描いたような描線が好きだった。

    小学生の時に読んだ「漫画の描き方」の竜神沼の解説で、暗い森の中のカブトムシの背光で少年の孤独感、白い百合で不思議な少女の気高さを現わしているとあり、マンガの表現手法にビックリしたことを覚えている。

    さるとびエっちゃんの編で、主人公の内面が見えない、善悪を等価に俯瞰しているの記述に納得。サイボーグ009の編でも善悪を混然一体としているとの記述もある。
    サイボーグ009が神との戦いの前で長い休載となり、その

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    2025年02月23日
  • 庭の話

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    自分が抱いていた共同体への違和感をハッキリ明文化してくれて救われた

    社会的ポジ、距離感いろいろ考えさせられる
    問いを与えられ、自分で考えるキッカケをくれた

    良書と思う、数年後また読み返したい

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    2025年02月08日
  • 庭の話

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    ネタバレ

    SNS上で潮目を読んでそれっぽいことをつぶやくことで安易に承認欲求が満たせることで、承認欲求中毒となってプラットフォーム上で踊らされてることへの警鐘。他者世界との関係性の中で無意識下にもある自己承認欲求を拗らせずにどうあるべきか。庭を例えに場と個人という観点で深掘りされてる。随所に著者のアナキズムというか偏屈さを感じるけどだからこそ生まれてくる問い、見方が新鮮。

    地域のつながりがーコミュニティがーと言ってるうちは、共同体に参加しない自由がないというか、排除的な要素が含まれてしまってるなとハッとさせられた。

    デモでも選挙でもなく、日々の自分の選択が社会を作るっていう実感を持つ上で、デジタルプ

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    2025年01月11日
  • 庭の話

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    知見、教養豊富な知識人が深い思索と広範な知識を用いてプラットフォーム資本主義社会の構造や見方を言語化してくれたものを本として享受させてもらえるのはありがたいなーと思いながら読みました。
    頭フル回転で読まないと全然入ってこないので毎晩新生児の寝かしつけしながら1章ずつ読むのが限界だった。
    前半10章くらいまでは面白く読めて理解も捗ったのですが11章の文学批評みたいなところで一気に振り落とされました笑
    これはもうしょうがないのですが、問題提起や進むべき方向性の抽象概念まではなんとなく見えるんだけど、その先の具体的な解やアイディアが無いところは自分のような一般的ビジネスピーポー視点では物足りないなと

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    2025年01月25日
  • チーム・オルタナティブの冒険

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    くやしいけど、めっちゃ面白かった。
    前半部分、主人公が鼻につく嫌な感じの人で、ストーリーも進みそうで全く進まない。ミステリーなのか私小説なのか、一人語りでなんなんだ、と思ってたが、後半怒涛の展開!まさかのSF、理論武装したB級オルタナSFやったー。変身(へんっしんっ)なんて、振り切っててかっこいいわぁ!
    続編希望。アニメ化希望。

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    2024年12月07日
  • 水曜日は働かない

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    著者のエッセイ集。
    宇野さんは正直で賢くて、人間味に溢れた面白い人だなと思った。
    そうそう!って思う部分もたくさんあって
    庶民なら飲み会の愚痴になりそうな話題を実に建設的に、代替案まで提示して言語化する能力や文章力は圧巻。

    そして、くすりと笑えるエピソードも忘れないところも素敵。
    中々の良書だった。

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    2024年07月13日
  • 水曜日は働かない

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    宇野さんの洞察力の深さに感嘆させられる。ただ、読み手側がその作品を見たり読んだりしていないと、イマイチ理解出来ない。作品を見れば良いんだろうけど。
    読み終わって頭に浮かんだのは、宇野さんが「で、これからどうする?」って、言ってるイメージ。物事の本質を考え、今後それをどう発展・変革していくのか、そこから未来が始まるような気がする。さて、どうしていこうか?

    チームラボにも、行ってみたい!

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    2024年05月26日
  • 水曜日は働かない

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    この方の本は初めて読んだ。
    確かに、水曜日と土日休みだとどの平日も休日と隣り合わせになるんだ。私たちはあまりにも休まないことに慣れてしまってるんだなぁ。
    張りつめた糸は切れやすいって話や、内面と向き合わないとどんなに外に向かっても何も掴めない話は納得。

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    2024年04月25日
  • 2020年代の想像力 文化時評アーカイブス2021-2023

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    __しかし、もはや読者/観客の多くは、作品そのもの(虚構)ではなく、作品についてのコミニュケーション(現実)に関心の重心がある。作品の表現よりも、作家の人生に関心があるし、他のみんなが褒めている/貶しているものに、自分がのるかそるか、どちらにすればポイントが稼げるかという現実に興味がある。


    __私たちは、虚構だからこそ描き出せるものに触れることで、はじめて現実に対して適切に対抗(対応)し得る。その確信がなければ、虚構とはただのサプリメントに過ぎない。しかしそうではない、と信じる力が虚構の側に立ち、ものを書くことを可能にしているのだ。





    虚構をサプリメントで終わらせないために、虚

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    2024年01月08日
  • チーム・オルタナティブの冒険

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    ネタバレ

    序章がながい笑
    軸となる事件?が起きるまでが長い(笑)
    葉山先生が亡くなった時点で事件は始まってるはいるんだけど。
    森本の独りよがりが、ちょっときつかったなぁ。残り3分の1くらいになって、ようやくエンジンがガーッとかかってきた感じでキタキタぁ!ってなり、真相は異星人的な話じゃないの?と思ってたら、え、3人が葉山先生たちを殺したの?となり、おーどうなるんだ?と思ったら、おーやっぱりとなり、由紀子もなるほどねと。
    結果面白かった(笑)

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    2023年12月21日
  • 2020年代の想像力 文化時評アーカイブス2021-2023

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    ブーム。何故それがブームになっているのか。人々が求めているから。なぜ人々はそれを求めるのか。
    この作品が描いていることは何か。表現のされ方、方法は適切か。過去や他の作品の比べて、どうか。
    ただ受け取るだけでなく、さまざまな角度から検証してみる必要がある。

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    2023年10月27日
  • ひとりあそびの教科書

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    日々に忙殺されていたり、自身に価値が無いと感じる人に刺さる内容だと感じた。
    ひとり遊びの代表格であるテレビゲームがなぜ面白くなくなっていくのか、それを踏まえた上でどう面白くしていくか、そしてそれを生活にどう転用していくかのパートが特に面白い。

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    2023年10月19日
  • 2020年代の想像力 文化時評アーカイブス2021-2023

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    久しぶりにこの手の文化批評を読んだが、理解に時間がかかった。

    最近の文化作品の批評集であり、各作品の抱える問題点や作品から見える現代の想像力について数ページで解説される

    個人的には『SPY×FAMILY』、『カムカムエヴリバディ』あたりはおもしろく、気付きのある形で読めた

    感情的に作品を楽しむだけでなく批評的な目線を持つことで自分の世界がひろがると再認識

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    2023年09月18日
  • ひとりあそびの教科書

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    目的なんかあるとすべて義務感や使命感になる。無目的でただ走る、ただ見つけて観察して愉しむ、ただ集めて触れていつくしむ。正解。

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    2023年09月03日
  • 遅いインターネット

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    他の方も書かれているように文体が難しく、一度では理解できない部分が多かったです。

    自分自身がSNSをほぼほぼやらないので、あまりピンと来る話ではありませんでしたが、遅いインターネットが必要というのは理解できました。

    フェイクニュースや陰謀論を信じてしまわないために、速いインターネットからはできるだけ距離を置き、しっかりと時間をかけて一つ一つの情報と対峙していきたいです。

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    2023年08月22日