宇野常寛のレビュー一覧

  • リトル・ピープルの時代

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    宇野氏をJ-Waveの"THE HANGOUT"で知り、興味を持ったので購入し、通読してみた。

    ポップカルチャーは時代を写す鏡であることを、本書を読んで改めて認識した。

    ただし「リトル・ピープル」というものがいったい何者であるかが、今ひとつクリアでなかった。私の理解力の無さに起因するものかもしれないが、氏自身がリトル・ピープルなるものをはっきりと掴んではいないのではないかとも感じた。

    あるいは仮面ライダーはともかくとして、村上春樹やジョージ・オーウェルを読まないと、本書の本質には迫れないのかもしれない。

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    2016年08月12日
  • 楽器と武器だけが人を殺すことができる

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    ゼロ年代以降のサブカルを知るにはこのヒトの本。
    テーマは多岐にわたっているが、通底するものはあり。
    昭和がもうかなり遠くなってきているのを実感する。
    昭和の時代には、乗り越えるべきもの破壊すべきもの前提になるものがあって
    それと対峙することで生まれてきたものだったけれど、
    今はそれはそれとして、無関係なところで、関係するとしてもネタとして、
    閉じた中で何かを生んだり、試行錯誤している、ということなのかなと思った。
    ネットで世界は広がったように思うけど、
    実際は自分の目の前、手の届くところしかリアルじゃないとか。
    元ネタを知らないものの方が多いけれど、
    ライダーシリーズちょっと見てみたくなった。

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    2016年06月23日
  • リトル・ピープルの時代

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    たとえば「映画」はとても能動的な観客を想定したメディアだ。対してテレビはとても受動的な視聴者を想定したメディアだと言える。これは先ほどの比喩に当てはめるなら、映画は市民、テレビは動物を対象にしたメディアだということになる。
    しかしインターネットは違う。インターネットはユーザーの使用法で映画よりも能動的にコミットする(自分で発信する)こともできれば、テレビよりも受動的にコミットする(通知だけを受け取る)ことも可能だ。もちろん、その中間のコミットも可能になる。こうして考えたときインターネットは、初めて人間そのもの、常に「市民」と「動物」の中間をさまよい続ける「人間」という存在そのものに適応したメデ

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    2015年12月17日
  • 日本文化の論点

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    昼の世界と夜らなの世界の分析から現代日本 文化を切る。(1)地理を規定している。オタク文化が秋葉原を塗り替えた。特定の都市文化が規模の文化を生んだ最後は裏原宿。
    (2)新宿、渋谷で乗り替えて、一時間かけて都心に通うライフスタイルが取れるのは、専業主婦の奥さんがいたから。戦後的サラリーマンのライフスタイルが東京を西側に延ばした。

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    2015年10月25日
  • 日本文化の論点

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    サブカルチャーの分析を通して、現代日本の置かれている状況と将来の展望をおこなった本です。

    とくにおもしろく読んだのは、東京という都市とメディア消費の関係を論じた第2章です。東京では、所有コストと道路事情のために自動車中心の生活が不便になっており、そのために鉄道依存のライフ・スタイルが当然になっていると著者は言います。押井守が「距離と時間が置き換わっている」と指摘したように、東京という都市は地理的な距離の関係によってではなく、鉄道でのアクセス時間によって捉えられるのが、当たり前になっています。さらに著者は、都市が文化を育むという時代はすでに過去のものとなり、オタクの聖地となった秋葉原に代表され

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    2015年10月16日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    宇野常寛と濱野知史の対談本です。

    ハーバーマス的な「公共性」がこの国に欠如していることを嘆くのではなく、現代日本のネット空間に広がっている「繋がりの社会性」を認めた上で、そこからどのような制度設計が可能なのかを検討することこそが「希望」につながるというメッセージが発信されています。

    情報社会論を専門とする濱野は、アメリカにおけるネット文化が「国家対市民」という対立構図の中で育まれてきたのに対して、村井純に始まる日本のネット文化は、コミュニケーションの内容よりもコミュニケーションそれ自体を目的とする、北田暁大のいう「繋がりの社会性」を実現するために発展してきたことを解説しています。そうした「

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    2015年02月22日
  • 日本文化の論点

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    たしかに、筆者のいうように、ネットが社会や文化の在り方を変えていくのだろう。
    そして、その変化は楽しみな部分もある。
    サブカルというたちばから、社会を変えようという姿勢も、悪くないとは思う。

    ただ、東京中心の、ある特定の階層の人の感覚だなあ、と思う部分が多々ある。
    確かにいつの時代も、ある一部の人が覇権を握ってしまい、それが普遍的なものだと言い張ることはある。
    この人は、どこまでそれを自覚しているのだろう。
    そのあたりがわかりかねて、どうも読みながら落ち着かなかった。

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    2014年12月09日
  • AKB48白熱論争

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    AKBについて、語った。時代は古いけど、さしこのHKT移籍などおもしろい動きがあった年だったのでおもしろく読んだ。
    ニコ生の文字起こしみたいな感じ。

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    2014年11月30日
  • 静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話

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    「彼らはすでに世界を変えている」

    人間に期待していない東浩紀との対比で読むととても面白い。市場細分化とかちんけな戦略じゃなくて、既存の価値観とかを刷新するような取り組みをしている人との対談集で、たとえ世界は変わらなくても、自分の周りの世界は変えているっていうたまらなくカッコいい人たちです。東浩紀が心地よい諦観をくれるのに対して、宇野さんは希望と元気をくれます。

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    2014年11月04日
  • 静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話

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    この本にブループリントが書いてあるというよりは、私たちがこれからブループリントを描いていくためのヒントとなる新しい考え方や価値観、そして現状の分析を提示している。ラスト二つが特に面白かった。ウィンガーディアムレヴィオーサ!しかし、それぞれあっさりしすぎていてそんなに読み応えはなかった。

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    2014年11月04日
  • 日本文化の論点

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    メディアでもよく出ている批評家宇野さんの本です。
    クールジャパンやAKB48など日本の現代文化を取り上げる内容になっています。

    自身の体験談を踏まえ、説明しており、平易で読みやすく、著者の主張も明確な気がします。
    今後のコンテンツの考え方には共感することも多く、読めました。ただ、結構焦点が独特な気もして、大衆向けというものではなさそうな気がします。挑発的な内容にもなっているので、著者に対するアンチも多数いる気もしてしまいます。

    最後の帰結が、AKB48になっているのが、どうも疑問で仕方ありませんでした。ここに力を入れすぎていて、「うーん」という感じが否めません。
    個人的に横山由依推しは、同

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    2014年06月05日
  • 原子爆弾とジョーカーなき世界

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    ここで紹介されてる作品すべて知らなかった
    さすがにアンテナが弱すぎるのでもうちょっと広い目を持ちたい

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    2014年06月03日
  • AKB48白熱論争

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    面白かった。
    普通の人にしたら4人のおっさんが若いアイドルに熱を上げて口角泡を飛ばして議論するのなんてキモいだけだろうけど、これは女について語ってるのではなく、AKBと言うシステムについて語ってる。
    アキバ系アイドルと思われていたAKBが今日の日本社会とどの様にコミットしているのか、4人の論客が喧々囂々。それぞれが別々の専門分野を持ってるからいろいろな見方があって、ヒートアップし過ぎて所々で論理が飛躍してしまってる(笑)のにも、その場の熱さとか思いの深さによるものだろう。
    文中にある“「俺はこいつを推せる」そう思えた時、人間は初めて本気を出す”。AKBに限らず、みんな自分の大事なものには本気を

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    2014年04月29日
  • ゼロ年代の想像力

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    ラジオ「オールナイトニッポンゼロ」で宇野常寛を知った。

    「がんばっても,豊かになれない」ゼロ年代をどう考えればいいのか,マンガ,アニメ,映画やテレビドラマ,仮面ライダーなどを題材に解説する。

    紹介する作品を知らない人にも分かるように比較的丁寧に解説されているのでわかりやすい。そのせいで分厚いのかもしれない。

    この本にかぎらず,注を入れる位置はどうにかならないものか。この本は各章末にあるが,全16章もある中で章が変わるたびに注のあるページを探すのはめんどう。個人的には,本文と同じ見開き内に注があったほうがいいと思うが,どうなんだろう。

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    2014年01月28日
  • ゼロ年代の想像力

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    非常に興味深い評論。やや筆者の筆が走りすぎている感がありますか。決断主義/安全に痛い/サヴァイブ系といった「言葉」にはある種の共感を覚えつつも、象徴として抽出していることになるすべての各作品について、読者体験/視聴者体験を持った人間がどれくらいいるだろうか。世相の鏡としては、一定程度の正確性を持ち得るだろうが、個別の読者像/視聴者像が重ならないように思えます。作品群が、もはや拡散してしまった現代にあって、同一のラインで論じることへの違和感はどうしても生じてしまうのかもしれないという印象を持ちました。

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    2013年12月15日
  • 原子爆弾とジョーカーなき世界

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    もっと映画系のレビューが多いと期待していたが、ドラマや本、AKBの曲などを題材にしたエッセイだった。
    著者のリトルピープルの時代なんかを読んでいると、正直そこまで目新しくはなかった。

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    2013年08月31日
  • 日本文化の論点

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    読みやすくておもしろかった。どこか入試で出さないかな。現代文の教材に使いたい。文化論の入門として生徒の入りやすい話題を取り上げられる。

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    2013年08月13日
  • AKB48白熱論争

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    ネタバレ

     漫画家の小林よしのり氏やサブカル評論家の人達 計4名が、AKB48について熱く論争した本。議論は、AKB48の魅力・アイドル論から、政治・メディア・宗教論へと展開していく。

     最も印象に残ったことは、中森明夫氏の「アイドルは価値の創造(ねつ造)」であるという主張。私も同じようなことを考えていた。
     小説などの「近代文学」にはもともと価値は無いと考えられていた。最初は大衆だけに受けて知識人にバカにされていたジャンルが、数百年かけて高尚な文化としての地位を勝ち取った。他の芸術のいろいろなジャンルもそうだと思う。
     マンガ・アニメ・ゲームと同じく、アイドルというジャンルも、今その過渡期で摸作中な

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    2014年03月18日
  • 日本文化の論点

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    今後日本を牽引するのは〈夜の世界〉の文化、つまりマンガ、ゲーム、アイドルといったバカにされがちだったサブカルチャーであり、しかもコンテンツではなくそれらを構築している仕組み(ニコニコ動画やコミケやAKB48のシステム)であるという考えには大変興味深い。それによってアジアの若者が文化的につながっていければ楽しいと思った。

    AKB48がソーシャルメディアと現場とファンのコミットメントによっていかに成功し得たかを熱く論じている。というか、途中からいちファンによるAKB48賛歌になっていくあたりは確信犯的(笑)。

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    2013年07月13日
  • AKB48白熱論争

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    「あえて」ではなく「マジで」ハマった四人の男性論客が、AKB48の魅力を語り合い、現象を分析する。
    アイドル評論家・中森明夫と、保守を自認する小林よしのりは、立場を弁えたAKB論を展開しているが、宇野常寛と浜野智史は、それ立場関係ないよね的な発言も飛び出し「それは保守であるワシが言うならわかるけどさ」など戒められる場面も。
    そこが「あえて」ではなく「マジで」な部分なのかな。主観にどっぷり埋没しつつも、客観的に観察し分析することの難しさよ。小林よしのりはこの秋でAKBに関する一切の言論活動をやめるらしい。61点。

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    2013年06月21日