宇野常寛のレビュー一覧
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ゼロ年代以降のサブカルを知るにはこのヒトの本。
テーマは多岐にわたっているが、通底するものはあり。
昭和がもうかなり遠くなってきているのを実感する。
昭和の時代には、乗り越えるべきもの破壊すべきもの前提になるものがあって
それと対峙することで生まれてきたものだったけれど、
今はそれはそれとして、無関係なところで、関係するとしてもネタとして、
閉じた中で何かを生んだり、試行錯誤している、ということなのかなと思った。
ネットで世界は広がったように思うけど、
実際は自分の目の前、手の届くところしかリアルじゃないとか。
元ネタを知らないものの方が多いけれど、
ライダーシリーズちょっと見てみたくなった。 -
Posted by ブクログ
たとえば「映画」はとても能動的な観客を想定したメディアだ。対してテレビはとても受動的な視聴者を想定したメディアだと言える。これは先ほどの比喩に当てはめるなら、映画は市民、テレビは動物を対象にしたメディアだということになる。
しかしインターネットは違う。インターネットはユーザーの使用法で映画よりも能動的にコミットする(自分で発信する)こともできれば、テレビよりも受動的にコミットする(通知だけを受け取る)ことも可能だ。もちろん、その中間のコミットも可能になる。こうして考えたときインターネットは、初めて人間そのもの、常に「市民」と「動物」の中間をさまよい続ける「人間」という存在そのものに適応したメデ -
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サブカルチャーの分析を通して、現代日本の置かれている状況と将来の展望をおこなった本です。
とくにおもしろく読んだのは、東京という都市とメディア消費の関係を論じた第2章です。東京では、所有コストと道路事情のために自動車中心の生活が不便になっており、そのために鉄道依存のライフ・スタイルが当然になっていると著者は言います。押井守が「距離と時間が置き換わっている」と指摘したように、東京という都市は地理的な距離の関係によってではなく、鉄道でのアクセス時間によって捉えられるのが、当たり前になっています。さらに著者は、都市が文化を育むという時代はすでに過去のものとなり、オタクの聖地となった秋葉原に代表され -
Posted by ブクログ
宇野常寛と濱野知史の対談本です。
ハーバーマス的な「公共性」がこの国に欠如していることを嘆くのではなく、現代日本のネット空間に広がっている「繋がりの社会性」を認めた上で、そこからどのような制度設計が可能なのかを検討することこそが「希望」につながるというメッセージが発信されています。
情報社会論を専門とする濱野は、アメリカにおけるネット文化が「国家対市民」という対立構図の中で育まれてきたのに対して、村井純に始まる日本のネット文化は、コミュニケーションの内容よりもコミュニケーションそれ自体を目的とする、北田暁大のいう「繋がりの社会性」を実現するために発展してきたことを解説しています。そうした「 -
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メディアでもよく出ている批評家宇野さんの本です。
クールジャパンやAKB48など日本の現代文化を取り上げる内容になっています。
自身の体験談を踏まえ、説明しており、平易で読みやすく、著者の主張も明確な気がします。
今後のコンテンツの考え方には共感することも多く、読めました。ただ、結構焦点が独特な気もして、大衆向けというものではなさそうな気がします。挑発的な内容にもなっているので、著者に対するアンチも多数いる気もしてしまいます。
最後の帰結が、AKB48になっているのが、どうも疑問で仕方ありませんでした。ここに力を入れすぎていて、「うーん」という感じが否めません。
個人的に横山由依推しは、同 -
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面白かった。
普通の人にしたら4人のおっさんが若いアイドルに熱を上げて口角泡を飛ばして議論するのなんてキモいだけだろうけど、これは女について語ってるのではなく、AKBと言うシステムについて語ってる。
アキバ系アイドルと思われていたAKBが今日の日本社会とどの様にコミットしているのか、4人の論客が喧々囂々。それぞれが別々の専門分野を持ってるからいろいろな見方があって、ヒートアップし過ぎて所々で論理が飛躍してしまってる(笑)のにも、その場の熱さとか思いの深さによるものだろう。
文中にある“「俺はこいつを推せる」そう思えた時、人間は初めて本気を出す”。AKBに限らず、みんな自分の大事なものには本気を -
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ネタバレ漫画家の小林よしのり氏やサブカル評論家の人達 計4名が、AKB48について熱く論争した本。議論は、AKB48の魅力・アイドル論から、政治・メディア・宗教論へと展開していく。
最も印象に残ったことは、中森明夫氏の「アイドルは価値の創造(ねつ造)」であるという主張。私も同じようなことを考えていた。
小説などの「近代文学」にはもともと価値は無いと考えられていた。最初は大衆だけに受けて知識人にバカにされていたジャンルが、数百年かけて高尚な文化としての地位を勝ち取った。他の芸術のいろいろなジャンルもそうだと思う。
マンガ・アニメ・ゲームと同じく、アイドルというジャンルも、今その過渡期で摸作中な