佐竹美保のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
子どもの頃、大好きだった柏葉幸子さん。久しぶりに読んだけれど、やはり大好きです。
夏、お盆のころに読めばよかった~とちょっと残念なのは自分の都合。お話にはとても満足。
主人公のカズは、ある夜中、家の仏間から出てくる女の子を目撃する。
ゆ、幽霊?!驚くカズにさらに驚くできごとが。次の日、学校にその女の子がいて、しかも周りの友だちは以前から彼女を知っていて「同じクラスのあかり」だという。
同じ日、古い地図で自分の家の辺りがかつて「帰命寺横丁」と呼ばれていたことを知るカズ。調べていくと、死者が生き返るという帰命寺さまの怖くて不思議な言い伝えにたどり着く。
がっつり和風のお話なのに、表紙には遠くお城と魔女・裏表紙には騎士の絵に「?」と思いながら読んでいたら、なんと贅沢に作中作!
この作中作が本編に劣らずとてもわくわくするファンタジーで、これだけでも一冊読みたいくらい。
謎の「作者」ミア・リーの正体と、この夏に書かれた続きの物語と新しい結末が、また素敵。
――人生は平等に一度きり。だから生き返ってやり直すのはずるい。不公平じゃない?
帰命寺さまの存在を否定する派の人たちの言い分は、もっともすぎるほどもっともなのだけれど。
帰命寺さまの力で甦ったあかり、彼女を守ろうとするカズ、帰命寺さまがあってはならないと思いながら揺れる水上さん。
それぞれの気持ちは、言葉にすれば否定・肯定と正反対のようだけど、どちらか「だけ」が正しいというものでもない。むしろ、どちら「も」正しいといえるもので、着地点をどうするのか、最後までどきどきしたけれど、そんな心配は柔らかく吹き飛ばされる。
道理も不思議もすべて包み込む、懐の深い優しい結末だった。 -
Posted by ブクログ
ハウルの動く城の原作者とは知らず、ファンタジーの食指が動いて手を取ったもの。逃げ出すクッキーを捕まえて食べるゲームや、魔法世界ならではの、人物の署名(サイン)に値打ちがつくあたり、ワクワクが止まらない。私はキャットが魔法の力を持つことを信じて疑わなかった。それにしてもキャットの頼りないこと、私は我慢強い方だと思うのに、待てども待てどもキャットはグウェンドリンの金魚のフンをやめないし、お姉ちゃんを止めることなんでできないと最初から匙を投げている。だからグウェンドリンはますます調子に乗って魔法を垂れ流す。それに、グウェンドリンの性悪にはビックリした。私がもしキャットなら本当の自分の正体に気づいた後は息の根を止めてやったのに!!とりあえず、ジャネットが一番気の毒だが、キャットの本当のお姉さんになってくれたらいいな、いつかジャネットも魔法を使えるようになったらいいなと思う。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大魔法使いクレストマンシーシリーズの一応5作目。
ここまで何冊かこのシリーズを読んであるからこそ楽しめる部分が沢山ありました。物語の設定的にここまでの5作品の中では一番好きかも。
またしても、ちょっと頼りない男の子が主人公ではありますが、頼りないけれど心はまっすぐで優しいのが良いです。そして、身近な人に酷い人がいて、勧善懲悪なのもパターンですが安心して読めます。
ネタバレの内容ですが、変化が起こるたびに、世界の様子が変わるので、想像するのが大変ではあるけれど、だからこそファンタジーの醍醐味があるように思います。また人物描写が面白くて、それも想像する楽しみがありました。
クレストマンシー城に来る前のクリストファーと、大人になったクリストファーしか知らないので、成長過程のクリストファーに会えたのは良かったです。ちょっと気障ったらしくて高慢なのが玉に瑕ですが、本質的にはミリーを助けようと頑張っている一生懸命な男の子だし、あの頼りなくて他力本願だった彼を思えば、成長したと思います。きっと悪い部分もこれから直して成長していくのだろうと思って、物語になっていない裏側に思いを馳せました。
シリーズの他の作品も、物語前半のペースが遅く、後半に向けてスピードアップする感じがありましたし、ラストの展開の面白さがあると思いましたが、この作品も、ラストの大団円に向けての展開にスピード感もあり、華やかさもあり、大掛かりなお芝居を観ているような感覚がありました。うん、アニメとかじゃなく、映画とかの実写で観たら面白いかも。他の作品より、前半の面白さが私にとっては大きかったです。
それにしても「風の脚」」とか「業の主」とかがイマイチ掴みきれませんでした。あれって、どういう生き物(生き物だかもわからないけれど)でどういう設定のものなのだろうか。もしかして、この作者の他の作品を読むとわかるのだろうか。
あと、本のタイトルの邦訳、巧いですね。これ「コンラッドの運命」とかだったら、ピンとこないし惹きこまれない気がします。訳者の作品への愛を感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大魔法使いクレストマンシーシリーズの一応4作目。
おぉ、こう来たか、という感じで、結構前半から楽しく読めました。時系列的には「魔女と暮らせば」より前の話なのですが、「魔女と暮らせば」を読んでいるおかげで、別の楽しみ方がありました。
どうして、この作品の男の子はちょっとこう頼りないのだろうかとも思いつつ、いろいろなことを考えて成長していく姿を楽しんでいたら、特に、問題勃発の後の成長ぶりが素晴らしく…。
個人的にはタクロイも魅力的なキャラクターだと思います。
女神もとても素敵な女の子で、でも、彼女って「魔女と暮らせば」でも登場した彼女ですよね。
そんな風に、いろいろな伏線が、シリーズ全体にわたって引かれ、回収され、という感じで、シリーズを早く読破したくなりました。
それにしても、「魔女と暮らせば」のグウェンドリンもそうだったけれど、親切そうな顔をして他人を利用して嵌める人がまた登場。反面教師なのかもしれませんが(多分、クリストファーはラルフ伯父からいろいろ学んだと思うし)、物語の中の毒だと感じます。勧善懲悪で終わって良かったです。