佐竹美保のレビュー一覧
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外国で産まれた物の身の上話を通して、その国をのぞいたような気持ちにさせてもらいました。
アフガニスタンは依然、混乱が続いています。古都ヘラートで作られるヘラートグラスの工房も次々閉まっていく中で、作中のグラスは外の世界へと送り出されました。グラス工房の娘さんが、グラスに語りかける言葉が印象的でした。その身を以って、まだヘラートグラスを作っている職人がいるのだと、世界中に伝えておいで、というのです。世界中で苦しむ人にとって、職人が力を尽くして作った美しいヘラートグラスの存在は、希望を届ける存在でもありました。
目の前にある物の向こうに、それを作った人たちの存在を感じ、作られた場所へ関心を持ったり、敬意を持つこと、自分がその産物と出合えた偶然を喜ぶこと。それらは、物質的に物を保持するだけより、より豊かなことだと感じました。
野良猫のミケが合理的な視点からシャイフに、物の話を聞いて願いを叶えることがシャイフにどんなメリットがあるか尋ねるのですが、それに対して「楽しかった」と答えているのが、スッキリしていて心地よかったです。長々とした大義名分などなく、知らない国について聞いて、行った気分を味わい、その国の人にあってみたくなる、そんな楽しさを、心から喜べる過ごし方をしたいです。 -
購入済み
渡辺綱、登場
渡辺綱だ!いつも屈託のない感じで描かれる人の気がするけど、同僚から見るとこんななのかな。これから打ち解けていくのだろうけど。狐の葉月が姫と再会できるといいな。鬼が邪悪というだけでないのが良いです。倫理姫も登場しましたね。平安時代の日常が伝わってくるお話です。
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「ゆりの木荘の子どもたち」
富安陽子.作 佐竹美保.絵
百年以上前に建てられたというゆりの木荘は、不思議な魔法がかけられていると言い伝えがありました。今は、お年寄りたちが一緒に生活する「有料老人ホーム.ゆりの木荘」になっています。ほとんどすべてのものが捨てられてしまったのに、玄関には大きな古時計だけが、置かれています。
春、ベンチに座ってお話ししている二人のおばあさんがいます。ゆりの木荘の住人のサクラさんとモリノさんです。サクラさんが、手毬唄が聞こえると言い出しました。サクラさんが思い出しながら、手毬唄を歌い終わると、玄関の古時計が逆回りして、風が吹いて、気がつきと、サクラさんもモリノさんも10歳くらいの子どもになっていました。季節も春から夏に変わっていました。
89歳のスギタさんやカワイ、大さん、省さんまで、子どもに戻っています。
ホールで3、4歳くらいの女の子が泣いていました。80歳前のヤマフジさんらしいのですが。
日めくりカレンダーと、古時計をみると、昭和16年8月3日の午後5時に時間な巻き戻ったようです。記憶はそのまま、ゆりの木荘のお年寄りたちは77年前のすがたになったのです。
サクラさんは、子どもの頃、ゆりの木荘で遊んだこと、77年前の8月3日に約束をしたのに、戦争が始まって果たせなかったことを思い出します。
読書感想文、中学年課題図書
さくさく楽しく読めた。 -
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ゆりの木そうの時間がもどっちゃったのは、古時計のせいだと思ったら、ざしき童がげんいんだったから、おどろいた。
サクラちゃんが、ざしき童とのやくそくを守って、自由にしてあげられたのがよかった。
サクラちゃんはやくそくの後ゆりの木そうに来なかった。戦争があったし、その後も来なかった。カズミちゃんは広島で、死んじゃったかもしれない。ざしき童は、この間ずっとゆりの木そうで待っていた。きっとさびしかっただろうな。サクラちゃんが老人ホームに来なかったら、ずっと一人ぼっちだった。ふしぎなぐうぜんだ。
ざしき童はいなくなっちゃったけど、ぶじにげんざいに帰ってこられて、全員幸運だったんじゃないかな。
大さんとしょうさんがにんじゃごっこをしていたのが、楽しそうだった。(小4) -
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久保田さんの作品は『駅鈴』『氷石』『もえぎ草子』と読んだけど、これが一番いいのでは?と思った。
私が読んだ中では唯一ファンタジー要素のある作品だが、それが久保田さんの中世をリアルに描く力、誠実な物語運びとうまい具合にミックスされてる感じ。
頼光四天王の一人平貞道が、頼光の郞等となるところから話は始まる。妖狐葉月を助けてやったことが縁で、貞道と葉月はピンチの時にお互い助け合う約束を交わす。
葉月は、賀茂神社の斎院である幼い尊子姫の女房をしており、斎院は葉月が狐であることを知った上で姉のように慕い、頼っている。幼くして母と別れ、実家に戻ることもままならない斎院を愛しく不憫に思う葉月は、何としても彼女を守ってやりたい、望みを叶えてやりたいと思っている。
葉月の口調は丁寧だがそっけなく、特に女っぽくもなく(私は「彼女」と書いたが、そもそも雌狐であるかも不明。ただ、化けるときは女になる)、ツンデレというよりツンツンという感じで、そうでありながら、言葉や態度の端々から、どんなに斎院のことを愛しているかが伝わってくる。
貞道は腕が立つとはいえ、まだ思慮深さには欠ける若者であり、何度も葉月に助けてもらううちに成長していくのも良い。
今昔物語に出てくる盗賊袴垂れや陰陽師賀茂保憲も出てくるし、頼光四天王のもう一人平季武も、ちょっと軽めだが、いざとなると類い希なる弓の使い手として貞道とともに活躍する。
幼い頃の藤原道長(五の君)もやんちゃな少年として生き生きと描かれている。
これだけキャラが立ってるんだから(二次創作のネタに使えるくらい、アニメ化、マンガ化してもいいくらい)、もっとベタベタに友情、冒険、恋愛を書けば、もっとたくさんの読者を獲得できるのに、それをしないところが久保田さんらしい。挿し絵の佐竹さんもそれを重んじて、わかりやすい美男美女を描いたりしない。誠に上品。
また葉月と貞道が活躍する物語を読みたいなあと思ったけど、久保田さんはそういうこともあんまりしなさそうな気がする。まあ、書いてくれたら嬉しいけど。 -
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「トリスタンとイズー」を読んで、サトクリフでアーサー王伝説シリーズ読もうかなと思ってはいるのですが、
ちょうど仕事でこの、金原瑞人先生訳に出会ってしまい、ぐいぐいお話が進んでいくんで、あっという間に読み終えました。
あの、有名なシーン、アーサー王が名剣エクスカバリーを岩から抜いて後、ブリテン全土の王となり、
その後サクソン人やアイルランド、ノルウェー、フランスと近隣の国をどんどん征服していく。
そこには、騎士たちのめくるめく戦いがあり、馬も騎士もざくざく殺される。
最初は恐ろしかったけど…
いやあ、騎士道って素晴らしい✨
女、子ども、丸腰の相手、倒れた相手を殺すようなことは絶対にしない!
また、王妃や王、友たちのために、忠誠をたてたら、いかなる時でもその人のために戦う。
そしてキリスト教徒としての、深い信仰心。
神の思し召しのままに戦い、死にゆく様も、美しく気高く、かっこいいんだよなぁ。。
アーサー王とその妃、グウィネビア王妃、そして王の円卓の騎士の中の最高峰、ラーンスロット卿、この人たちのもどかしい愛がたまらないですわー。
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私の人生を象ったのは小野不由美著の十ニ国記シリーズなのだと思うが、その布石として本の世界を開いてくれたのは間違いなく、上橋菜穂子著の守り人シリーズだと思う。守り人シリーズに小学校2年生に出会っていなければ、十二国記に中学1年生で出会えていなかっただろう。
この外伝は出ていることを知らず、ふと手に取った。瞬時に物語の中に入って、特に今回はジグロとバルサ、サリとエオナ、オリアとルミナの親子の関係が胸を打ちすぎて、ああ上橋さんの文章、関係性、そして行間にある余韻がとても好きだと改めて思った。子供の頃はそれが物足りなく感じることもあったのだけど、今読むとこれでいいな、十分雰囲気が語りきってると思いました...この20代後半になったからこそわかること、胸が痛いこと、心でしか会えない人の存在を感じることの温かさと悲しさが本当に胸にきました...これは守り人シリーズ改めて読み直したいと思います。もともと闇の守り人が好きだなと思っていたけど、さらにその想いが強くなりそう。