佐竹美保のレビュー一覧
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クリストファーは幼いころから不思議な夢を見ていた。岩場を抜けてさまざまな谷におりていくと、谷ごとにちがう世界がある、という夢。クリストファーが別世界へ旅することのできる強い魔力を持っている、と気づいた伯父の魔術師ラルフは、クリストファーをだまして、利用しはじめる。でも、目覚めているときのクリストファーは、いっこうに魔法が使えなかった。心配したお父さんに、探知能力者ポーソン博士のところへつれていかれたクリストファーは、意外なことを聞かされる。おまえは命が九つある特別な大魔法使いで、次代のクレストマンシーになる身なのだ、と…。だが、老クレストマンシー・ゲイブリエルの城に引き取られたクリストファーは、孤独だった。唯一心を許せるのは、別世界で出会った、やはり強い魔力を持つ少女「女神」と、ラルフ伯父の使いだという謎の青年タクロイだけ。やがてラルフの悪事が露見し、城は悪の軍勢の攻撃を受けることに…?「魔法のファンタジーを描かせたら第一人者」「ファンタジーの女王」と評価の高い、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの代表連作「大魔法使いクレストマンシー」の一作。クレストマンシーの少年時代を、生き生きと描く。
※ 米が今まで読んだ本の中で1番面白いと思った本です! -
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新藤さんの本で初めて現代の日本が舞台の作品を読んだ。直接イスラム世界を描くのではないが、日本で暮らす外国にルーツがある人たちが増えている今、こういう設定の物語は当然ありうる。イスラム世界を良く知り、その文化をとても愛している新藤さんだからこそ、読んでいて面白いし気持ちよいのと同時に、たくさんのこと(現実)を考えることができる味わいの物語に仕立てられるのだろうなと思った。
新藤さんは歴史物を書いていても、たぶん興味は波乱万丈の冒険の部分ではなくて、モノづくりの方にあるのだろうなとずっと思っていた。本作ではそのものずばり、物がめちゃめちゃフィーチャーされてる(笑い)。何と言っても自ら語りだしちゃうんだから。でも物に語らせるからこそ、実際には日本にくることができないような状況でも、その持ち主や作り手の人たちのことがわかり、思いが伝わってくる。何というすばらしいアイデアだろうと思った。結婚式の場面では目頭が熱くなってしまった。挿絵ではめちゃめちゃパッとしない普通の人、石塚さんが仕入れの旅に出るとスナフキンみたいな雰囲気になるのも良いです。 -
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短編集だけど、充実している。
懐かしい人たちが出てきてニヤリとする。
物語が全然すましてなくて、
何度もクスリと笑わされる。
それにしても、
短編で、
毎回主人公が変わり
それほど特別な展開があるわけでもないのに、
飽きさせず楽しませるすごさ。
魅力のひとつは、
ウソがない人物の描き方なんだと思う。
どの人物の心情もリアルで、
たとえ主人公であろうと、
カッコ悪い情けないイヤなところまで
ちゃんと描いているから楽しい。
個人的にはキャロルの話が
いちばん好き。
特にラスト。
それまでクレストマンシーにすら
大人ぶって面と向かっていた彼女が
一気に子供に戻った描写は、
とっても心が動かされてジーンときた。 -
無料版購入済み
どんな作品でしょうか?
主人公が夜中に見たのは幽霊っぽい女の子なんですが、通っている小学校にそっくりな女の子がいるようです。導入部としては良いのではないでしょうか?
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なんでジブリはこれを映画化しなかったんだろう、
と思わされる傑作。
読んでいて脳内で次々にアニメになって
シーンが流れ出すほどおもしろい。
次々に起きたり起こしたりする騒動が、
とにかく楽しくて、ワクワクしながら読み進められる。
そして考えつかない展開になっていくから、
子どものように夢中になって読んでいける。
そして極めつけが、
悪が徹底的に悪であること。
この容赦のなさが、
ファンタジーという一見甘そうな物語を、
ピリッと引き締めて大人の味にしている。
かつて心理学者の河合隼雄氏が、
児童文学とは子どもの本ではなく、
子どもの目を通して描かれた文学だと
おっしゃっていたとおりの本だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私の頭の中で、
ジブリの映像が映し出されるほど、
わくわくがあふれている作品。
どうしても館が舞台のため、
展開が限定された話になるのだけれど、
途中で意外な世界の広がりを見せるし、
ラストで館から飛び出すことで、
それまでちょっと停滞していたお話が
一気に動き出して心が動かされる結末へと
むかっていくところが好き。
子どもが自立していく姿を
見事に描いているなと思う。
自立していくためには、
家族から離れ、別の場所で
試練を乗り越えていかなければならない。
もう一つ大事なことは、
象徴的に親殺しをしなければならない。
なぜならば、
子どもはそれまで親の定めた運命に
乗っかって生きてきたから。
自分の人生を生きるためには、
それらを壊さなければならない。
そんなことをちゃんと描いている。
ところで特に心に残ったのはラストの
母親とゲイブリエルの会話。
「私のもとに誰もいなくなってしまう」
「人のことをかまわない人間は
おうおうにしてそうなるものです」
まさにその通り。 -
Posted by ブクログ
NHKラジオの飛ぶ教室で、子どもの日を前に、親子で読む児童文学として推薦された一冊です。
イギリスでファンタジーの女王と言われた作者の代表連作、大魔法使いクレストマンシーの少年時代を描いたもの。悪ガキのクリストファーが世界の危機を救う物語で、最後のドレイトとの駆け引きや、城のリーダーとして防御体制を組織的に作り上げていく成長ぶりに、読み手としても盛り上がりました。
偉大な人は親との縁が薄いことが多いものですが、このファンタジーの主人公クリストファーもその1人です。父親も母親も生きているのですが、父親は顔を覚えていないほど影が薄いし、母親は冷めた人で息子を応援しつつも利用しようとする人です。それでも父親はクリストファーにとって正しい選択をするところが、さすが父親です。
一方で、その影ともいうべき存在が母方の伯父で、彼の企みで、クリストファーは知らず知らず悪に加担していき、世界の危機を作っていきます。けれど、面白いことに、それがクリストファーを目覚めさせるのですね。
このような父ー伯父の対に対して、母ー家庭教師という対もあるのですが、こちらは2人とも伯父とつながっていて、父ー伯父ほど、分化していません。このようなバランスの悪さも、世界の危機を招く背景にあるのかもしれません。
文庫でも出版されています。読み応えのある物語ですので、大人も楽しめるでしょう。