佐竹美保のレビュー一覧
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勿論本編もなのだが、この巻の解説もまた興味深い。
それが本当に少数派なのかは知らないが
私も守り人シリーズも好きだが旅人シリーズの方がより好きである。
成ろうと足掻く人間に肩入れしたくなる。
確かにそれが正解なのだと思う。
幼少時は兎も角として、今はひとりで己の身を守り
仕事があり信用も得ていて、ひとりでも暮らしていけるバルサも恰好良いし大好きなのだが
まだ年齢も若く大人とは到底言えず
己ひとりで生きていく力が無いのに皇太子という位にあり
それを望んではいないチャグムが
それでも民を守り、己の信念を守ろうと傷付きながら立ち向かう姿はとても心惹かれるものがある。
物語はまだ続いているとは言え、この衝撃の終わり方。
これを**編上巻、などとせず、
旅人シリーズの一巻として出してしまう心意気とでも言おうか。
素直に感嘆する。
私が耐えがたい恐怖だと捉えているもののひとつに『孤独』がある。
初めにそんなことを考えたのは、オズの魔法使いを見た幼少時だった。
ただあれは、トトという相棒がいてくれるので本当の孤独ではない。
もし自分が、言葉も通じない異世界にたったひとりで落とされたら。
ふりかかる全ての困難を、自分だけの力で切りぬけていかなければならないとしたら、
それは、とても怖いことだ。
チャグムの場合は更に、皇太子であるという身分と、世界情勢がプラスされる。
それをたったひとりの少年が背負わなければならないのだ。
以降ネタばれ。
もしも自分が彼の立場だったとしたら。
考えただけで膝が震える。
シュガや多くの人のお蔭でなんとかあそこまで来られても
思わず父を詰ってしまうだろうし
結局行くだけで誰も助けられないかもしれない。
自分が行ったばかりに様々な人に迷惑をかけて
酷く落ち込むだろう。
舌を噛み切る勇気さえ持てないかもしれない。
もし新ヨゴ皇国のように、他国に攻め込まれ蹂躙されるとしたら。
これが個人の問題であれば、己の誇りをかけて戦うだろう。
たとえ賭けにもならぬほど無謀でも、降伏よりは戦うことを選ぶだろうと思う。
しかし、チャグムの場合はそんな簡単な話ではない。
彼の決定で、国民全ての命運が左右される。
多くの民がいればそれだけ意見も多く
立派に戦おうと思う者もいれば、征服されてでも生き延びたい者もいる。
それをまとめ、平和に導かねばならない。
なんという重荷なのだろうか。
もし私が、セナに「逃がしてやろうか」と言われて
「ありがとう
などと言えるだろうか。
言えると思いたいが、到底無理だと思う。
誰にも相談もせずに出来る限り良い方法を考え
捕虜の身で敵国の王子と渡り合い
海士たちを救い、選択の自由をやり、連れ帰り
ジンをもまた救い、託し
己は単身暗い海を着衣のまま泳いでいかねばならぬ。
無事ロタに辿り着いたとしても前途多難。
それでも、船を離れ海に飛び込むことが出来るだろうか。
若い。無謀な万に一つの賭けかもしれぬ。
しかし、とても尊い決断だ。
”奇跡というものがこの世にあるのなら、それをおこせるのは、ただ神にすがり、祈る者ではなく、こういう決断ができる者ではなかろうか。”
私も、ジンと同じ気持ちである。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
海にのぞむ隣国サンガルに招かれた新ヨゴ皇国、皇太子チャグム。
しかし、異界からの使いといわれる“ナユーグル・ライタの目”があらわれ、王宮は不安と、やがて恐怖につつまれる。
海へと消える運命の者を救うため、呪いと陰謀のなかをチャグムは奔走する。
『精霊の守り人』からさらに広がる世界、守り人シリーズ4作目。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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ホントにまぁ、このシリーズの著者、上橋さんとは何とすごい人なんでしょうか!! シリーズが進むにつれ小さな国の大きな世界(サグ & ナユグ)の物語から大きな世界の膨大な世界の物語にどんどん広げていくその手腕にまずは脱帽です。 これまでの作品はシリーズもの・・・・と言いつつも一話完結型の物語でしたが、今作は完結しきらずに To be continued..... という雰囲気たっぷりで著者は筆を置いています。 次への期待感を煽るだけ煽ってここで筆を置き、これに続く「天と地の守り人」が3巻編成。 そりゃあ、これだけ世界を広げちゃったら1冊ですべてをまとめることは不可能でしょう(笑)。
バルサが主人公の「守り人シリーズ」の外伝扱いで、チャグムが主人公の「旅人シリーズ」が描かれているわけですが、「精霊の守り人」ではひたすら守られるだけだったチャグムが着実に成長し、「旅人シリーズ」ではバルサ・タンダ・トロガイからのある種の「親離れ」をし、「守られるだけではない男」に変貌しようとしています。 まして今号では「皇太子という立場」からさえも逃れられるなら逃れたいと考えていたチャグムが「皇国を担う者」という自覚に否応なく目覚めさせられ行動を起こすのです。 父・帝との確執、超大国・タルシュ帝国の野望とこの賢いながらも清廉さを保ち続けている優しい青年がどんな活躍をしてくれるのか楽しみであるのと同時に、彼の置かれた過酷な環境にエールを送る気持ちよりも「もういい加減幸せになって欲しい・・・・」と思ってしまうのは女子供の感傷でしょうか?
(全文はブログにて) -
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ネタバレ(「BOOK」データベースより)
次代クレストマンシーとして城で教育を受けているキャット少年は、あるとき、近くの村に住むマリアンという少女と知りあった。マリアンの一族は代々続く魔女の家系で、一族の長であるマリアンの祖母は最近、近隣の別の一族と対立しているらしい。祖母の屋根裏に長年置かれていた卵をマリアンから譲ってもらったキャットが、苦労して孵したところ、現れたのは思いがけない生き物だった。一方マリアンは、祖母の引き起こした魔女同士の魔法を駆使した争いに巻きこまれてしまい…?「魔法のファンタジーを書かせたら第一人者」「ファンタジーの女王」と評価の高い、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの代表連作「大魔法使いクレストマンシー」の一作。クレストマンシー城と近隣の村に、魔法の生き物や不思議な機械も登場!『魔女と暮らせば』で活躍したキャット少年のその後を知りたい、という読者の声に応えて書かれた、にぎやかに展開する楽しい物語。 -
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ネタバレ(「BOOK」データベースより)
両親をなくしたグウェンドリンとキャットの姉弟は、近所の魔術師たちの世話になって暮らしていた。グウェンドリンは将来有望な魔女で、自分でもそのことに自信を持っていたし、キャットはそんな姉に頼りきっていた。やがて二人は、大魔法使いクレストマンシーの城にひきとられたが、「子どもは魔法を使ってはいけない」と言われ、きちんとした暮らしをさせられることにがまんができなくなったグウェンドリンは、魔法でさまざまないやがらせをしたあげく、ある日姿を消してしまう。代わりに現われた、姉にそっくりだが「別の世界から来た別人だ」と主張するジャネットという少女の面倒をみなければならなくなったキャットは、頭をかかえる。やがて、グウェンドリンの野望の大きさと、キャットにしてきたひどい仕打ちが明らかになる事件が…?一九七八年ガーディアン賞受賞作。 -
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チャグムは新ヨゴ皇国の皇太子という立場にありながら、父に疎まれ、宮廷では孤立しがち。
頼りのシュガは星読み博士で教育係ですが、国のために働くには、チャグムだけに荷担するようなそぶりを見せるわけにはいかなくなっていきます。
南方の大国・タルシュ帝国の脅威が迫り、サンガル王国から救援の依頼が。
罠と知りつつも、かって訪問した縁もあって、救援に行きたいと望んだチャグム。
捕虜になり、タルシュ帝国の圧倒的な力を見せつけられます。
チャグムを護送するタルシュの密偵・ヒュウゴはタルシュに征服されて衰退したヨゴ皇国の出身。チャグムには見所があると感じるヒュウゴ。
舟の上で、次第に心通わせる二人ですが…
バルサに鍛えられてきびきびと働くことが出来て、ぞうきんを絞るのが上手だったりするチャグム。
生き抜く道はあるのか?
絶望的な状況の中でも、まわりの人を惹きつける素直な若さが光ります。
背はだいぶ伸びてきたけどまだほっそりした体格という。清新な10代の少年が成長していく様子が、いきいきとみずみずしく描かれています。
ええ?という所で終わりますが…
さあ、次はバルサも出てくるのかな…?!