佐竹美保のレビュー一覧
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ネタバレ守り人シリーズ、4作品目。
これまで、新ヨゴ皇国、カンバル王国が舞台だったのが、一気に世界が広がっていく。と同時に、侵略、戦争といったきな臭いものが漂ってくる。
2つの序章の、読む側を惹きつける強さが素晴らしい。哀しい運命のエーシャナと、これまた悲しい運命になってしまったスリナァ。ここから、バルサやチャグムとどう繋がっていくのか、先を急ぎたくなる見事な書きっぷり。
チャグムの新ヨゴ皇国と、隣国で多くの島を有して海を抱くサンガル王国の王家のあり方の違いなどが見事に描かれている。上橋さんの知識の深さに圧倒される。フィールドワークが源泉になっているようにも感じた。
終盤になって、あれ、これ、 -
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クレストマンシーシリーズの中でも特にお気に入りの一冊。
急に体が欲したのでしばらくぶりに読んだ。良き!
子どもの頃に読んだから思い出補正ありありだけど、やっぱり大好きだなー。
主人公キャットとジャネットがとても可愛い。健気だけど視野が狭くていじらしい。
そんな二人が一生懸命にどん詰まりに突き進んでいく様は、読んでてじれったいというかもどかしいというか。
だからこそ、終盤のキャットの成長がジンっとする。悲しかったよね。。
読書に限らずだけど、子どもの時の感動したっていう体験が種になって、今また懐かしさと共に感動を収穫できるのって幸せだー。 -
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主人公の「カズ」は、何度、情けないと思い、泣きそうになったのだろう。
ただ、勘違いしないでほしいのは、彼が決して弱虫とか、意気地無しではないということ。
それは、小学五年生の彼一人の戦いであり、いじらしい彼女の、かけがえのない新たな人生を守るための戦い。
亡くなった人の命が還ってきて、新たな人生を歩むことが本当にいいのかどうかを、様々な物語で考えさせられる、ファンタジーならではの題材は、却って、現実の人の命の尊さを如実に表してくれるように感じられる。それぞれの立場に上手く重ね合わせられる構成の素晴らしさも。
何度も泣きそうになるカズは、少しでも彼女にやりたいことをやらせてあげたい、生き -
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渡辺綱が出てきて、これで頼光四天王の三人が揃った。坂田金時が出てくる三作目があるかな?
綱が郎等となり、貞道と季武はライバル心を煽られる。弓に自信のあった季武は綱に的当てで負けて以来、嫉妬にかられる。そんな心につけ入られ、行き場を失くした鬼を宿してしまう。
綱は鬼を退治しようと、貞道は追い出そうと躍起になる。
そこに前作同様、妖狐葉月、盗賊袴垂、五の君(幼い頃の藤原道長)が絡む。
鬼が悪の存在ではなく、よりしろを失くした悲しい存在として描いたところが良い。歌舞伎などで有名な「鬼の腕」とはずいぶんと雰囲気が違う。
五の君が好きになった、胆の据わった姫の名前が最後に明かされ、やっぱりな、ふふふ、と