佐竹美保のレビュー一覧
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ネタバレシリーズ2作品目。こちらも異国情緒が溢れているが、2巻目はファンタジー性や民俗学性が色濃く出ていると思えば、近代を舞台にして現実と交差している内容だ。ラピスラズリを砕いて描かれた絵を製作者と貴族令嬢、妖精伝説を下敷きにした「琥珀」、神秘的な老人から与えられたトパーズで成功するものの自分を見失ってしまった「トパーズ」、一族の呪いを解いた「翡翠」、推理小説にそのままなりそうな内容の「黒真珠」、そして所有者達の憎しみと哀しみを閉じ込めた「ダイヤモンド」エピローグで魔石館の主人が「石は奥深い。愛しさも憎しみも掻き立てる。石をダメにするのも人間なら、本当の意味で輝かせられるのもまた人間」というのは、本当に真理だと思う。その言葉を借りるなら、アルフォンソもイシャンもシルヴィアも、輝かせられる人間なのだろう。イシャンも、心を入れ替えたと思う。最後の「ダイヤモンド」では、ヒトラーが出てきたのにはリアリティがあった。
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ネタバレ銭天堂シリーズの著者の作品。宝石をテーマにしたこのシリーズは異国情緒溢れて読み応えがある。国が特定されていない国もあれば、バグダッド、エジプト、ヴェネチア、インド、最後は日本と語り継がれた宝石達の物語。深く読み解いてみると、宝石を介して人と人との繋がりを考えさせられる。師匠の想いを汲み取れなかった弟子、婚約者に捨てられたエラ、誇りを捨てずに王族を救ったアッバ、双子の姉妹の絆を取り戻したアン、息子を深く思い、祈り続けた母親、両親の不仲を嘆き悩み続けるアーリヤー、同時に悪事を働きながらも相棒を顧みなかったサミール、最後は落ちぶれていく華族令嬢…。互いの想いがすれ違ってしまっていた話が多かったが、やり直せた話もあれば、取り返しのつかない結果になった話もあった。どんな時でも宝石達は人々を見守り続けている。タイトルの魔石館自体や主人は前面に出てこない。最後の珊瑚だけは、魔石館の所蔵となった。館や主人については、いずれ明かされるのだろうか。
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ネタバレあのヒュウゴの少年時代の物語。タルシュ国密偵アラユタン・ヒュウゴ。やたらと気になる存在だったあのヒュウゴ。
バルサやチャグムにとって、敵対する関係のはずなのに、完全な敵ではない。
ラウルを説き伏せた能力の持ち主。
なぜ、あんなにもヒュウゴという人物が心に残ったのか、本作の上橋さんのあとがきで納得。ヒュウゴのこの少年時代の物語は、ヒュウゴが登場した時点で出来上がっていたとのこと。だから、ヒュウゴがあんなにも、登場人物の中でも際立つ存在となっていたのだ。
本作は守り人シリーズのスピンオフみたいな位置づけなのだろうけど、もはやひとつの物語として完璧に出来上がっている気がする。
ヒュウゴが家族全員を奪われるという辛く厳しい体験から、どのようにしてタルシュの密偵になっていくのか。ヒュウゴの心の変化がありありと伝わってきて、その心情描写に舌を巻く。
リュアンとヨアルとの交流は本当に胸熱で、なんなら守り人シリーズで一番というほど涙が込み上げてくるし、ならず者として生活を送らざるを得ないヒュウゴの状況も痛いほどよくわかった。
上橋さんは人間の醜い面、守り人シリーズでいえば、暴力に酔って快感を得てしまう人間の残虐な一面も隠すことなく、フラットに描く。そこに特別な感情はなく、「人間ってこういうところがあるんだよ」と諭されているようで、どんなに「暴力はダメ」と言われるより、心に響くものがある気がする。
国が滅ぼされるって何なんだろう。生き残った者は侵略者に頭を垂れてはずかしくないのか。いや、見えていないのだ。なぜ、どこかに生き残っているはずの帝は侵略者により苦しめられている民を救わないのか。そう、自分には、見えていないのだ。色々なものが・・・・
と顔をあげ、前に進むヒュウゴがまぶしかった。
あと、バルサの15歳の頃のお話も収録されていたけれど、ヒュウゴの話の感想で力尽きたので、こっちの感想は割愛・・・(笑)