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Posted by ブクログ
外国で産まれた物の身の上話を通して、その国をのぞいたような気持ちにさせてもらいました。
アフガニスタンは依然、混乱が続いています。古都ヘラートで作られるヘラートグラスの工房も次々閉まっていく中で、作中のグラスは外の世界へと送り出されました。グラス工房の娘さんが、グラスに語りかける言葉が印象的でした。その身を以って、まだヘラートグラスを作っている職人がいるのだと、世界中に伝えておいで、というのです。世界中で苦しむ人にとって、職人が力を尽くして作った美しいヘラートグラスの存在は、希望を届ける存在でもありました。
目の前にある物の向こうに、それを作った人たちの存在を感じ、作られた場所へ関心を持ったり、敬意を持つこと、自分がその産物と出合えた偶然を喜ぶこと。それらは、物質的に物を保持するだけより、より豊かなことだと感じました。
野良猫のミケが合理的な視点からシャイフに、物の話を聞いて願いを叶えることがシャイフにどんなメリットがあるか尋ねるのですが、それに対して「楽しかった」と答えているのが、スッキリしていて心地よかったです。長々とした大義名分などなく、知らない国について聞いて、行った気分を味わい、その国の人にあってみたくなる、そんな楽しさを、心から喜べる過ごし方をしたいです。
Posted by ブクログ
新藤さんの本で初めて現代の日本が舞台の作品を読んだ。直接イスラム世界を描くのではないが、日本で暮らす外国にルーツがある人たちが増えている今、こういう設定の物語は当然ありうる。イスラム世界を良く知り、その文化をとても愛している新藤さんだからこそ、読んでいて面白いし気持ちよいのと同時に、たくさんのこと(現実)を考えることができる味わいの物語に仕立てられるのだろうなと思った。
新藤さんは歴史物を書いていても、たぶん興味は波乱万丈の冒険の部分ではなくて、モノづくりの方にあるのだろうなとずっと思っていた。本作ではそのものずばり、物がめちゃめちゃフィーチャーされてる(笑い)。何と言っても自ら語りだしちゃうんだから。でも物に語らせるからこそ、実際には日本にくることができないような状況でも、その持ち主や作り手の人たちのことがわかり、思いが伝わってくる。何というすばらしいアイデアだろうと思った。結婚式の場面では目頭が熱くなってしまった。挿絵ではめちゃめちゃパッとしない普通の人、石塚さんが仕入れの旅に出るとスナフキンみたいな雰囲気になるのも良いです。
Posted by ブクログ
東京で暮らすイランの言語学者アリババさんは、ふとした縁で生後4ヶ月のペルシャ猫シャリフを飼うことになりました。実はその猫はイランのバザールで「長老族」と呼ばれている猫の末裔で、人間の言葉を理解することができました。また、アリババさんは子どもの頃猫の言葉を理解していたことを思い出し、シャリフと話すことできるようになりました。さて、アリババさんが海外出張で留守にする間、シャリフは知り合いの民芸雑貨の店に預けられました。そこでシャリフは、人だけでなくモノの話も理解できることがわかり、店のモノたちが語る物語を聞くようになりました。それこそ「バザールの猫」の力だったのです。
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