あらすじ
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世界中の民芸品が集まる店〈ひらけごま〉では、店主がねむりについた後、ペルーやイランなど遠い国からやってきた民芸品たちが身の上話をくり広げていた。店にあずけられたペルシャ猫のシャイフも話の輪に加わり、民芸品たちの物語をきき、彼らの願いをかなえたいと思うが……。 人と物との縁を結ぶ子猫シャイフが活躍する、心ふるえるファンタジー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
外国で産まれた物の身の上話を通して、その国をのぞいたような気持ちにさせてもらいました。
アフガニスタンは依然、混乱が続いています。古都ヘラートで作られるヘラートグラスの工房も次々閉まっていく中で、作中のグラスは外の世界へと送り出されました。グラス工房の娘さんが、グラスに語りかける言葉が印象的でした。その身を以って、まだヘラートグラスを作っている職人がいるのだと、世界中に伝えておいで、というのです。世界中で苦しむ人にとって、職人が力を尽くして作った美しいヘラートグラスの存在は、希望を届ける存在でもありました。
目の前にある物の向こうに、それを作った人たちの存在を感じ、作られた場所へ関心を持ったり、敬意を持つこと、自分がその産物と出合えた偶然を喜ぶこと。それらは、物質的に物を保持するだけより、より豊かなことだと感じました。
野良猫のミケが合理的な視点からシャイフに、物の話を聞いて願いを叶えることがシャイフにどんなメリットがあるか尋ねるのですが、それに対して「楽しかった」と答えているのが、スッキリしていて心地よかったです。長々とした大義名分などなく、知らない国について聞いて、行った気分を味わい、その国の人にあってみたくなる、そんな楽しさを、心から喜べる過ごし方をしたいです。
Posted by ブクログ
現代ニッポンが舞台ですが、アラビアンナイトのよう。
民芸品店のモノ達が、猫のシャイフに語る物語。その中から、難民の少女の想いなど、今の時代が垣間見える児童書ですね。
Posted by ブクログ
難民問題や言語・見た目の違いなどを盛り込みながらも、視線が優しいので穏やかに読める。ストーリーはもちろん面白いんだけど、異文化や他国の事情に興味を持つきっかけになる本だと思った。ゆっくり誰かの何かの物語に思いを馳せること、忘れないで生きていきたい。
Posted by ブクログ
東京で暮らすイランの言語学者アリババさんは、ふとした縁で生後4ヶ月のペルシャ猫シャリフを飼うことになりました。実はその猫はイランのバザールで「長老族」と呼ばれている猫の末裔で、人間の言葉を理解することができました。また、アリババさんは子どもの頃猫の言葉を理解していたことを思い出し、シャリフと話すことできるようになりました。さて、アリババさんが海外出張で留守にする間、シャリフは知り合いの民芸雑貨の店に預けられました。そこでシャリフは、人だけでなくモノの話も理解できることがわかり、店のモノたちが語る物語を聞くようになりました。それこそ「バザールの猫」の力だったのです。