畠中恵のレビュー一覧
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今回は輪廻転生の縁が中心。
【昔会った人】付喪神となっている蒼玉はあまりうまく話せず「あいあい」と返事をするくらいしかできなかったが長崎屋の面々には「若長に会うの」と言った。金次はこの国のあちこちでまだ国盗りをしていた頃この蒼玉に会ったかもと語り始める。
【ひと月半】若だんなは仁吉・佐助に連れられ箱根で湯治中で妖たちはタイクツ(お菓子もないし)。そんなところに三人の死神、黒次郎、白三郎、紅四郎がやってきて若だんなは山崩れで死に自分がその生まれ変わりなのだとそれぞれに言う。
【むすびつき】金次の話を聞いて自分も若だんなとの縁が欲しくなった鈴彦姫は本体が吊るされている五坂神社で五十年前に亡くなった星ノ倉宮司が若だんなの前世に違いないと信じ込んだ。その神社は年中ピーピーで細工物などを作り生きながらえてきたもののとうとう危機的状況に陥り鈴彦姫も売られるかもしれない?
【くわれる】鬼女もみじが「覚えておいでですか?」とやってきて於りんは膨れる。そうこうするうちなぜか話は栄吉ともみじを守るためにやってきた悪鬼の青刃の勝負になってしまった。《行いがみっもとない男は、江戸っ子ではないのだ。》p.240。《青刃さんは、栄市のことが好きでも、食うことも出来る。今、一緒に笑っているのに、食えるんだ》p.244
【こわいものなし】たまたま妖がいることを知った夕助は輪廻転生もあるに違いないと思い、生まれ変われるならもう怖れるものはなにもない、オレはヒーローになる!! と決心するのだった。 -
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【長崎屋あれこれ】長崎屋の面々を若だんなが紹介。
【はじめての使い】虎の命で若い猫又とら次とくま蔵が長崎屋への使いをすることになったが途中雲助たちともめ事を起こし。
【またあおう】竜巻に襲われ傷んだ、付喪神となっている逸品たちを損ねぬよう長崎屋の妖たちが苦心の末に修繕すると、桃太郎の草双紙の中に引っ張り込まれてしまったが妙におかしい。
【一つ足りない】九州の河童のトップと言える九千坊は天敵の猿たちとの争いになりそうだったので一族を引き連れて禰々子を頼り関東に来てみるとこちらでも猿たちが暗躍しており休眠中の禰々子を拐うという無謀なことをやっていた。
【かたみわけ】若だんなが旦那になり、寿真、寛朝が亡くなった後のこと。於りんも長崎屋にいるようだ。寛朝が引き取っていた剣呑な付喪神たちが逃げ出した。秋英は困り長崎屋の妖たちに捜索の協力を依頼した。《一人でこなすと、物事は、ぐっと重みを増すんですよ》p.280 -
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ネタバレおまけのこ
日本ファンタジーノベル大賞を受賞した「しゃばけ」に続いて「ぬしさまへ」、「ねこのばば」、そして「おまけのこ」と四作目となった、病弱な若旦那と物の怪達の人情・推理・時代小説です。
今回も、病弱で寝付いてばかりだがすこぶる聡明な若旦那の推理が冴えます。このシリーズで最も好きな点は、人生の負の部分をほどよい加減でしみじみと物語る所でしょうか。
妖怪からも疎まれる妖怪こわいの話。どうしても人前に化粧なしでは出られないお雛さんの話。吉原の禿を足抜けさせる話。
でも、不思議なのは畠中さん(竹蔵とほとんど同じ年なので)の本で好きなのはこのシリーズだけで、現代ものや時代物でも「ゆめつげ」なんかは下手な作家だなーなんて思ってしまいます。
きっと、このシリーズは若旦那や犬神の佐助、白沢の仁吉、屏風のぞきや家鳴りなどのキャラクターがもう勝手に動き出して、物語を自然と作り上げてしまうのかも。なんせみんな物の怪ですから。
竹蔵 -
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《誰もが学びの時を迎えておるようだ。》p.42
[1]長崎屋主人藤兵衛が倒れた。この巻ではずっと不調のまま。
[2]藤兵衛を回復させるために色々考える一行。それに起因していつも通りいろいろ事件が起こり解決する。
[3]人は必ず死ぬ、妖だっていつの間にか消えてしまっていることがある。それでもまあ、若だんなはじめ人も妖も懸命に楽しく生きようとしています。
■この巻の簡単なメモ
【とるとだす】広徳寺の寛朝が集めた薬種屋の寄り合いで長崎屋主人の藤兵衛が何らかの薬を飲んで倒れたが何を飲まされたかわからずこのままでは命が危ない。若だんなと妖怪たちが捜査に乗り出す。
【しんのいみ】江戸の海上に蜃気楼が現れどうやら若だんなはそこに入り込んでしまったようでいろいろ忘れ始めている。枕返しの再登場はあるか?
【ばけねこつき】神田の染物屋小東屋と娘はお糸と番頭は浩助(こうすけ)が家伝の毒消し薬明朗散を持参金代わりにお糸を若だんなの嫁にしてくれと申し込んできた。どうやら化け猫憑きとの噂が立ち縁談が失敗続きのようだ。
【長崎屋の主が死んだ】剣呑な狂骨がやってきて皆は大慌て。それになぜか女犯の罪を犯した僧の話がからんできたのは?
【ふろうふし】藤兵衛の具合が悪くなり大黒天にそそのかされて常世の国に行くことになった若だんな。お伴は屏風のぞき、金次、おしろ、数匹の鳴家だが…。《止められて止まるなら、恋しいという言葉には足りない。》p.325 -
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[1]その人にとっての「おおあたり」とはなんだろうか? なんかとってもすごいことにちがいない。でも「おおあたり」はまた「おおはずれ」にもなりうるんやなあ、なんでも二面性はあるもんなんやけど。
[2]栄吉の作った菓子が大ヒット(餡は入っていない)したんやけど。/長崎屋にやってきた当時の仁吉と佐助だがいきなり坊っちゃんが行方不明。
[3]解説代わりに日本橋の老舗榮太樓總本鋪(東京には馴染みがないので知らなかったけどお菓子屋さんのようです)の大だんな細田安兵衛相談役と著者の興味深い対談がありました。
■この巻の簡単なメモ
【おおあたり】栄吉が餡ははいってない「辛あられ」ではあるが美味しい菓子を作ることに成功、ヒットするのだがなぜかややこしい事態が勃発する。「大あたり」について書かれたよみうりが。
【長崎屋の怪談】場久が「大あたり」を枕に、男が後をつけられる怪談噺を語った後自分も誰かにつけられている感覚、それを捜査した日限の親分もまた誰かにつけられている感覚。あと鳴家に心臓があることが発覚。とりあえず動物なんや?
【はてはて】貧乏神の金次がたまたま手に入れた富くじが大あたりだったが偽物の疑いが出て金次も若だんなも早々に辞退したが事はそう簡単には終わらなかった。《使いに行くのは、変える場所があるからだな。》p.196
【あいしょう】仁吉と佐助が神の庭にいた頃から始まる。互いに不信感を抱いていたが。小僧の姿で長崎屋に入ったその日に坊っちゃんが行方不明に。どうやら同じくらいの年齢の子どもを助けようとしたらしい。
【暁を覚えず】猫又の薄墨が持ってきた妙薬は一日寝込めば一日元気に動けるというもの。働きたい若だんなはそれを飲み眠り始める。その間に若だんなについていく者を決めるための賭けに栄吉の饅頭を使い阿鼻叫喚の? 地獄絵図が… -
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[1]歓待の礼に願いを聞いてやると神様たちになりたい職業を聞かれた若だんなの返事は?
[2]何かに「なりたい」者たちの五つのお話。それぞれひねりはあまりないけどその分ゆるーくたのしめます。
[3]番外編の明治期の話にリンクする?
■この巻の簡単なメモ
若旦那、薬販売に乗り出す。《他の人と同じやり方じゃ、私は生きてゆける程、稼ぐ事は出来ないって分かった》p.28。その材料を提供してくれるであろう甚兵衛さんは引き換えに、空を飛びたい、ひいては妖になりたいとか言う。
「江戸甘々会」という菓子の集いで男が殺されたが死体がなくなった。
猫又のいる手拭いの染屋と猫又のボスの座争い。
長崎屋の女中、おようはとんでもなく厄介な子どもがいる男と世帯を持ちたがった。
一太郎同様病弱だった茶問屋の大店古川屋の息子万之助が死んだ。葬儀のバタバタの最中、万之助の妹お千幸(おちさ)が行方不明に。相思相愛の糸物問屋塩浜屋の弥曽吉さんのとこにいるのでは? 《一つの事が、ありがたかったり、困り事だったり。物事は不思議です》p.340 -
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ネタバレ畠中さんの作品は初めてでしたが、面白い!マジで。
どれくらい面白いかというと、早速続編を購入したほどです。
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舞台は江戸。お上に訴え出るほどでもなく、長屋の住民同士で解決できる範疇を超えている、そうした「中くらい」のいざこざ・もめごとは、町の名主が裁定していたという。家の玄関前で裁定していたので、そうした名主を「げんか」というとのこと。
主人公は神田界隈の名主の跡取り息子、麻之助。
これがまた、16歳の時まではしっかりした子だったが、突然「真面目さ」をどこかで失くしてきてしまったかのようにチャランポランになってしまった。
この麻之助と、女性に事欠かないイケメン色男清十郎、そして堅物の同心見習の吉五郎。彼ら三人が織りなす、エンタメアクション系+推理系人情系時代小説?
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さて、本作のどこがよいか、というとやはり主人公なのです。
決断が遅いとか、責任を持ちたくないとか(結婚とかいや)、実家住まいながら、我儘言い放題のちょっと面倒な若者笑 ただ、心の奥底ではとても素直で真面目、そして茶化しながらも筋の通った裁定を時に親の代わりに下したり。
何というか、ギャップ萌え的というのでしょうか。
そして、全編通じてじわじわと描かれる、敗れた恋への後悔。そう、きっと麻之助をチャラチャラへらへらに変えたのはその失恋!
そして、その対象がめっちゃ近くにいたりするのです。このあたりも見ものです。
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ちなみに内容は、連篇となっており、少しずつ前後に関係があります。
各話で事件が起こります。「この子はあなたの子よ」とか、堅物の半ボケ老人が昔の恋(架空)を語るうちに本当にその恋人の娘を騙る女性が出てくる、とある植木が誰のものか、親友清十郎の弟が誘拐される、とか。
こうしたトピックが、「まんまこと」「柿の実を半分」「万年、青いやつ」「吾が子か、他の子か、誰の子か」「こけ未練」「静心なく」の六篇構成に散らされ、ある意味テレビドラマのごときの印象でありました。
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ということで、私にとって初の畠中作品でした。
ハマる雰囲気たっぷりです。麻之助とお寿ずの偽装結婚が、本当の恋になるのではと期待しつつ、次の作品は少し時間をおいてから読もうかと思います。 -
Posted by ブクログ
しゃばけ20周年の年に刊行された記念すべき20作目の短編集、と解説に書いてありましたが、なるほど、それで「もういちど」かぁ〜と思い、私が「しゃばけ」に出会ってからはそんなに立たないけど、もう20周年なんだーと、感慨深いものがありました。
今回は、若旦那も生まれたての赤ちゃんに戻って、もういちど生き直す間に起こるお話を描いています。
なんと、今作では若旦那が普通に元気な子になって、今までできなかったお友達と走ったり、剣術を習ったり、楽しい日々を過ごします。
普通にこの歳まで元気な私には想像でしかないけど、ずっと病弱な若旦那が元気になる、それは何物にも代え難い貴重な嬉しい体験だったと思います。
結局元に戻ってしまうけど、10ヶ月の体験は若旦那にとっても、妖たちにとっても、とても良い思い出になったと思うし、
最後にいろんな想いが交錯して涙が止まらなくなるけど、そこからまた自分の人生を若旦那ならちゃんと生きていけるだろうと思います。
この先もまだまだ寝込みつつ(笑)いろんな体験を重ねていってくださいね。
また次作を楽しみにしています(^^)