毎度お馴染み、しゃばけシリーズ第19弾である。今回は、長崎屋の主人・藤兵衛と妻のおたえが、一年間に及ぶ湯治に出かけることになった。主人が留守の間、仁吉や佐助たちが店を守るのだが、一太郎も店の力になりたいと切に願う。
「いちねんかん」。一太郎が口を滑らせ、張り切る古株の大番頭。ところが…。悪気はなかったとは思うが、一太郎は長崎屋の主代理としてどんな裁定を下したか? 一太郎だから皆が受け入れた。藤兵衛も同じ裁定をした気がする。
「ほうこうにん」。次から次へと悪い奴は現れる。高価な品を奪われた長崎屋。この男も腹立たしいが、何より船着き場のルールに納得がいかない。どうせ取り戻せないのなら…。一太郎の意外な一面が垣間見える。仁吉と佐助はカンカンだが。
「おにきたる」。疫病が江戸を襲う。何となくコロナ禍を彷彿とさせる。我こそが疫病を流行らせたと主張する鬼たち。このシリーズは時々こういうパターンがある。妖たちが集う長崎屋とはいえ、毎回巻き込まれるのも困りものである。
「ともをえる」。大坂の大店が、一太郎に後継者選びをしてくれという。これまた時々あるパターンだが、毎回責任重大なのに、お人好しというか何というか。「いちねんかん」と同様、一太郎の裁定が光る。資質は十分なんだよねえ。
「帰宅」。藤兵衛とおたえが帰るという便りが届くが、盗賊どもが長崎屋を狙っていた。万全の備えのはずが、敵は裏をかいてきた。どうする一太郎? まあ、正義が勝つことはわかっているけども。おいおい、最後の最後にそんなオチが…。
藤兵衛不在の一年間、一太郎は立派に長崎屋を守ったと言ってよいだろう。周りが動いてくれるのは人徳だ。本作は、外伝『またあおう』のラストで描かれたように、一太郎が本格的に長崎屋を継ぐ布石なのか。次作で区切りの20作目だが。
偉大なるマンネリと言うべきしゃばけシリーズ。畠中恵さんの頭の中には、シリーズの結末が見えているのだろうか。完結(するのか?)まで付き合おう。