【感想・ネタバレ】御坊日々のレビュー

あらすじ

明治20年。僧冬伯のもとへは困り事の相談に日々客人が訪れる。本日は店の経営不振に悩む料理屋の女将で……。僧侶兼相場師の型破りな僧侶と弟子の名コンビが、檀家たちの悩みを解決しながら、師僧の死の真相を追う。連作短編エンターテイメント!

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主人公は寺の住職兼相場師。一見、相容れない職業だが、一度は廃寺になった寺を、相場で得た金で立て直し、弟子もいる。明治の頃なら、こういうこともあったかもしれないと思わせてしまうところが面白い。檀家もいないので、人々の相談に乗るなどしていると、いつのまにか大事件に巻き込まれていく。相場師としての知識と大胆さが、人助けに役に立つのが楽しい。

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2024年06月13日

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NHKの時代ドラマの枠で『明治開化 新十郎探偵帖』が放送されると知った時、なかなかな衝撃を受けました。えっ? 明治って時代劇枠なの…⁈ 『御坊日々』も明治に入って二十年余り過ぎた頃を描いています。
自分が不在の時に亡くなった師僧の死因をめぐり、兄弟子の僧を許せない冬伯(とうはく)は、相場師として身を立て、寺を再興する。檀家は既に去り、自分と弟子の二人だけで寺を守る中、事情を抱えた者がひとりふたりと、寺に助けを求めにやってくる。その困り事を共に解決していく道の先に、冬伯が見つけたものとは…。
物語は私の想像の範囲を超えて広がっていきました。立場によって、同じ景色を見ても見え方が違うことは分かります。物語の当時は、今よりもっとはっきりと違っていたのでしょう。でも、現代にも通じる“弁え”のようなものが感じられます。どの立場の人にもそれぞれに弁えるべき物事があると思います。改めて、私自身の姿勢も見直したいです。

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2022年10月15日

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ネタバレ

江戸から明治に変わった頃は大変だったのだろう。徳川慶喜が大政奉還を決断したことは英断だったとつくづく思う。支配しても大きな利益にならないから植民地にならなかったこともあるが、国を動かすものが躍起になってやれることは全部やって頑張って近代化を進め国を強くしようと努力したことがよかったのだろう。「何とかなる」時には相場師で稼ぐ貧乏なお寺のお坊さん冬伯の温かさ。これはシリーズになるだろうか?

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2022年06月25日

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ネタバレ

感想をうっかり消してしまった。

本筋が、途中からメインになったら置いてきぼり感でてきたけど
色々解決してすっきりしたのはよかった。

最初の二篇がまとまってて好きだけど、
明治はこれからも変化していって、これからの若者も大変だ、という
〆は、現代のことも表しているようで感慨深かった。

長らく生きてきて、積み重ねた雑学に助けられることもあれば、
今までできなかったことができるようになったり、
当たり前だったことが禁じられたり、とか、
自分自身のアップデートもしていかないと、生きづらい世の中だなぁ、と。

文句があるなら政治家になれ、はなかなかエグい台詞。
不平不満があれば声をあげよ行動せよ、と言いかえれば、納得の一言ではある。

そうして御坊は動いたのだった。

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2022年05月03日

購入済み

作家さんで選んで買いました。お坊さんで、相場師。賢くて、いつも冷静なのに、弟子には叱られる。いつもながらキャラクターが素敵でとても面白かったです。

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2022年02月21日

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江戸時代が終わり、明治が始まり、どんどん社会が変化していく時代が舞台。

廃仏毀釈や檀家さんがいなくなったお寺の困難さなども描かれていて、興味深かった。

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2022年01月23日

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ネタバレ

 明治20年、東京浅草の東春寺は相場師も兼ねるユニークな僧侶・冬伯と弟子の玄泉が切り盛りしている。そんな中、檀家から舞い込むよろず相談に応えていてた。

 お気に入りは「維新と息子」。
 老舗の北新屋の跡取りの昌太郎は、産まれた時に同じ時に男の子を産んだ小間物屋・井十屋の奥さんが出産で亡くなり、昌太郎の母が母乳をあげていた。それを姑に見られて我が子だと主張しているのと逆の子を跡取りだと言われて、姑と大揉めになり関係が悪化。悪がった井十屋は産まれた子供を引き取りにきたが、その事が後々事件に発展し…

 結局、どちらが本当の昌太郎なのかは解らないけれど、井十屋の息子の文吉が借金を抱えている事実が発覚。それでも嫁と子供を守るためにその借金を肩代わりしてでも実家と縁を切った昌太郎が格好いい。冬伯げそのお金を貸してくれて、尚且つ書面でしっかり残すアドバイスをくれたのも良かったです。

 ひょうひょうとしててもきっちり物事を見極める冬伯の裁きは見事でした。

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2021年12月31日

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明治になって時が経ち。儲からない寺を維持するため住職が相場師として金を作っている、という設定が面白い。大きな事件が起きるわけではないけれど、人の温かさを感じる話が多く読後感は良かった。変化していく時代に置いていかれないよう支え合いながら生きていた庶民のリアルが描かれている。

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2024年11月09日

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初出2020〜21年「週刊朝日」

廃仏毀釈、徳川埋蔵金、欧化政策、の三題噺的なストーリー展開だが、4分の3くらいまではかなり退屈。

浅草の東春寺は、廃仏毀釈で弱体化させられたうえに、寺町を潰して3番目の公園をつくる騒動に巻き込まれ、住職が死んで廃寺となったが、弟子の冬伯が相場師になって寺を再興していた。

舞台は明治20年、経営が悪化した料理屋からの相談を受けたり、貧民窟の頭たちが徳川埋蔵金を目当てに乗り込んでくる、という事態は伏線。外務大臣(きっと井上馨)がまた埋蔵金を使って東京の都市改造を計画していると聞いて、かつての師の死の経緯を知るため、料理屋での怪談芝居を使って大臣に迫り、真相を聞かされ、仕返しをしかける。

ちなみに、明治政府が使った徳川埋蔵金とは、備荒用の囲い米と、江戸の町方の七分金積立だというのは、確かにそうだろうと思う。今までそういう話はあまり聞かなかったが、それだけだと、小説としての面白さが足りない。

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2022年11月17日

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ネタバレ

 明治期のお坊さん(訳あり)とお寺にやってくる人たちがこうも繋がってくるとは。。。師の件は大臣にボカされた感じが否めず、ホントに??って顔してしまったけど、大穴を開けることが出来てちょっとスッキリ。特に辰馬の気持ちはそうだよなって納得してしまった。
 今だったら2話目の件はすぐ解決してしまうけど、それでもあのお母様は納得しないだろうなあ〜。知らぬが仏かも。
 あと、最後の世がどんどん変わっていくって話はまさに今と同じだと思った。そんな目まぐるしい中を(変わっていくものは違えど)自分も生きている。

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2022年11月02日

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明治20年、東京浅草の東春寺は、相場師も兼ねる
僧侶・冬伯と弟子の玄泉が切り盛りしている。
経営不振に悩む料理屋の女将・お咲が寺を訪れ、
店に”幽霊”が現れたというか…。全5話を収録。

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2022年07月21日

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僧侶と相場師の顔をもつ冬伯が主人公。

廃寺となった東春寺を立て直し、困りごとを解決しながら縁が繋がっていきます。
とても穏やかな冬泊の人柄が、とても好ましいです。

今の時代も本当に目まぐるしく感じますが、江戸から明治は本当に大変な世の中だったのだろうと思います。

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2022年05月04日

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明治20年代を舞台にした連作集だが、これまでの畠中さんの作品の主人公ほどの魅力が内容に感じてしまった。特に後半、うだうだ感。冬伯も物足りないが、周りを固めるメンバーもイマイチ。埋蔵金の話はなんやねん!って感じでした

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2022年04月27日

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御一新で潰れた寺を相場師になった小僧が再建し、という設定もかなり変わっているし、そこに相談に訪れる人々の悩みの解決法も現実離れしてはいるのだが、なんとなくいい人情話を聞いた気になるのは作者の持ち味だったり筆力だったりするのだろう。

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2022年04月05日

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明治という激動の時代を洒脱に強かに生きる僧侶と、彼らを取り巻く人達から持ち込まれる問題を解決していくお話。

帯に「ミステリー感」を匂わせていますが、ミステリーではないです。
謎を解くというより、知恵を絞って問題を解決していく人情物で、テーマは「縁」。

本筋に「師僧の死の謎」がありますが、本筋よりも各話で舞い込んでくる問題解決の方が良かったです。
私的には2話目が1番良かった。

1話ごとに繋がっていく人の縁に優しさを感じせるストーリーで、私にとっての「縁」というものを考えるきっかけになりました。

主人公の冬伯さんが、人間味があり、御坊さんだけどとても身近に感じさせるフランクさもあり魅力的です。
そして、冬伯さんを支えるしっかり者のお弟子さん。
彼らの日々のやり取りがほのぼのしてて好きです。

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2021年12月18日

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は一時廃寺となったものを冬伯が相場で稼ぎ買い戻した東春寺に住む冬伯と弟子の玄泉。

廃仏毀釈や江戸から明治への移り変わりや、東春寺に持ち込まれる相談毎など楽しく読めるので、師僧の死にそこまで話の展開でこだわる必要性はない気がする。

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2021年12月12日

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明治20年の東京浅草の寺町、東春寺が舞台
渋沢栄一が「徳川バンザーイ!」と叫び
上野の不忍池の周りで競馬に歓声が、あがっていた時代の話しです。

短編5偏
家族がいても孤独な人。
家族も無く、残飯を食べ、生き抜いて、貧民窟から這い出る為にあがき、もがき、苦しんでいた人達が、東春寺で縁がつながり、話が進んで行きます。
重い話が、何故か?軽やかに進みます。
畠中恵さんの力です。


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2021年12月11日

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