野沢尚のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数頁読んで「いやな予感」がする。
それは、怖いことが起きる的な、不安を招くような、いやな感じ。
私は主人公が追い詰められる系の小説が苦手なんだけど、この話はすごいイヤで怖いのだけれども、それでもページをめくる手が止められないくらい先が気になるという意味で、すごいなと。
読んでいる途中で「あれ、タイトル何でしたっけ?」となり、どきりとさせられる。いやなタイトルである(褒め言葉)。
久しぶりに読み終えるのが惜しくなった本でした。
面白かった! 分厚い本を読むのに抵抗がない方ならオススメ。
面白かったので、作家さんの第1作目から追って読むか……と思って調べたら、お亡くなりになって -
Posted by ブクログ
読み出しは興味を引くという部分は余りありませんでした。メディア業界というものは、こういう様子なんだということが無知な者にもわかりやすく描かれている部分が多いです。
しかし、後半に進むにつれ、主人公と事件に関与したと思われる人物のやり取り、誰かわからない主人公に対するストーカー行為、主人公の私生活盗撮。主人公をを追い「いつも見ている」人物は…。そこには、主人公との意外な関係があることが…。後半は思わぬ展開が続き、どんな結末を迎えるのか、誰が犯人なのかを知りたくなる気持ちでいっぱいになりました。
一方で、「働く女性」ということについて今も昔も変わらないということを実感しました。働く女性が結婚する -
Posted by ブクログ
ネタバレ映像編集を駆使して視聴者を煽る主人公。報道番組担当なのにどうなの、その行為?結果として真実があぶり出されたとしても…
と思っていたら案の定、社会的に“排除”されたターゲットから陰湿な復讐を受けるハメに。その描写にはじわじわとすり寄る恐ろしさがあって、なかなかにスリリング。
仕事に没頭しすぎて離婚してしまい、かつそのような状況下でストーキングにあう主人公の瑤子に、一瞬共感しそうになりました。辛い状況に追い打ちをかけられる様子がいたたまれなく思ってしまったのであります。
しかし、その要因を作ったのは瑤子本人であり、ストーキングしている麻生は瑤子に陥れられた被害者でもあります。かつ、昨今の傲慢 -
Posted by ブクログ
ネタバレ選手の心情、ボールを扱う足の使い方、シュートシーン一つ取ってもこと細かい描写を
細部まで研究に研究を尽くした表現は映像を見ていなくてもわかるくらいの描き方。
筆者の熱狂的とも言えるほどのサッカーファン熱が文章からも伝わってきた。
フィクションでありながら日本が強豪国と戦って勝って行っていく試合のエピソードの数々。
そしてあのリュウジのラストシーン。小生はキャプテン翼の翼くんのワンシーンをすぐさま想像した。
サッカー経験者の実体験をもとにした監修も含め、たぐい稀なる貴重なサッカー小説を
見つけることができた感動。ありがたいです。
03-04で続編はもうないのですが、今後の話としてはケガやリハビ -
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シリーズ3作目。
舞台はアテネ五輪。
スペインリーグでの活躍が認められたリュウジが五輪で躍動する。
相変わらず細部まで綿密に表現され、想像力を駆り立てられるライバル達との試合。
実在する日本代表選手達との違和感のない融合・会話。
五輪出場国が決まる前に描いたにも関わらず腑に落ちる展開。
これらはもちろん面白いが、
この作品の主たるテーマは監督論。
「不安定な心を安定に導く、便利な処方箋」である「組織」と、
その「組織」を壊す「個人」を活かす勇気を持つ事の必要性。
この2要素のバランスの取り方は難しく、
ケースバイケースでもあるため、答えはない。
しかし、答えはなくとも、どちらも残しつ -
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シリーズ2作目。
スペインリーグ2シーズン目に突入した17歳のリュウジ。
1作目ラストからの、この2作目冒頭。
いきなり鳥肌もの。
1作目ラストでは「結果」「試合後」を出さず、
2作目の冒頭でその2つを物語っていく。
それも、語り口の基本となっている主人公・リュウジ目線ではなく、
あえて実在するスポーツ新聞やサッカー雑誌から伝聞調で。
このシリーズの、伝え方が、物語方が、本当に好き。
内容も相変わらず1つ1つの表現にリアルな想像が膨らませられ、
まるでそこにいるかのようなこの上ない臨場感があって、のめり込む。
名門・ベティスに移籍し、ホアキン・デニウソン・アスンソン・・・スタープ -
Posted by ブクログ
リスペクトする好きな人からのオススメ。
最高のサッカー小説。
文字だけでここまでリアルにサッカーを描ける事にガタつく。
戦術の描写、繊細な技術の描写、実在する選手の特徴を如実に表す描写、全てに鳥肌が立つ。
当然、感情的な部分の描写も巧く、家族・恋人・チームメイト・監督・・・関わる全ての人々との間で生まれる会話や抱く感情の表現にも心震える。
無名の中学・高校からスペインへと単身乗り込む主人公・リュウジには常に感情移入ができる。
これら描写力だけではなく、過去と現在の場面の替え方もイイ。
基本的にはリュウジ目線での語り表現だが、手紙・記事での伝達表現が加わってくるあたりもイイ。
リュウ -
Posted by ブクログ
とにかく読んでいて思ったのは、野沢尚は、彼なりの愛国心を溢れんばかりに持っていたということだ。
日本人の良さと悪さをサッカーの中に表現している。
『組織とは不安定な心を安定に導く、便利な処方箋』
『どうしようもなく集団意識を持ってしまう日本人は、「自由」に憧れはするが「自由」を謳歌することができず、結局、慎重なプレーしかできなくなる。』
サッカー選手だけの話ではないと思う。日本人という民族全体に当て嵌まるんじゃないかな。
解放宣言が出て奴隷達が「何をしたらいいかわからない。奴隷でいさせてくれ」と泣いたという話を思い出した。
孤独に慣れない者にとって、自由の刑とは恐ろしいものだ。
オー -
Posted by ブクログ
一人の日本人高校生が、リーガ・エスパニョーラのユースチームへスカウトされた。
日本の主流サッカースタイルでは、自分に居場所はないと感じていたリュウジは単身、スペインへのサッカー留学を決心する。
「サッカーをしていない自分が考えられないから、あと20年くらいしか生きていられそうにない」
と言い切り、わずかばかりのサッカーという“人生”を輝かせるために、自分自身の孤独と懸命に戦うリュウジの物語。part1。
好みは人それぞれだから賛否は分かれて当然ですが、私はこの人の書く文章、好き。
スピード感があって、一歩先を読みたい、次の一文を読みたいという気持ちにさせられる。
美文は短文とはよく言っ