野沢尚のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
数頁読んで「いやな予感」がする。
それは、怖いことが起きる的な、不安を招くような、いやな感じ。
私は主人公が追い詰められる系の小説が苦手なんだけど、この話はすごいイヤで怖いのだけれども、それでもページをめくる手が止められないくらい先が気になるという意味で、すごいなと。
読んでいる途中で「あれ、タイトル何でしたっけ?」となり、どきりとさせられる。いやなタイトルである(褒め言葉)。
久しぶりに読み終えるのが惜しくなった本でした。
面白かった! 分厚い本を読むのに抵抗がない方ならオススメ。
面白かったので、作家さんの第1作目から追って読むか……と思って調べたら、お亡くなりになっているようで、新作が読めないことを残念に思いつつ、ご冥福をお祈りいたします。
出ている本は読みたいなぁと思ったしだいです。 -
Posted by ブクログ
読み出しは興味を引くという部分は余りありませんでした。メディア業界というものは、こういう様子なんだということが無知な者にもわかりやすく描かれている部分が多いです。
しかし、後半に進むにつれ、主人公と事件に関与したと思われる人物のやり取り、誰かわからない主人公に対するストーカー行為、主人公の私生活盗撮。主人公をを追い「いつも見ている」人物は…。そこには、主人公との意外な関係があることが…。後半は思わぬ展開が続き、どんな結末を迎えるのか、誰が犯人なのかを知りたくなる気持ちでいっぱいになりました。
一方で、「働く女性」ということについて今も昔も変わらないということを実感しました。働く女性が結婚するということは、家族を支えるということは、そして子供を産み育てるということは。自分のキャリアや仕事に対する情熱と母性との関係。女性が感じる複雑な思いを作品の裏に感じました。そして、もし自分だったら…働きながら子供を育てるのは無理だと感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映像編集を駆使して視聴者を煽る主人公。報道番組担当なのにどうなの、その行為?結果として真実があぶり出されたとしても…
と思っていたら案の定、社会的に“排除”されたターゲットから陰湿な復讐を受けるハメに。その描写にはじわじわとすり寄る恐ろしさがあって、なかなかにスリリング。
仕事に没頭しすぎて離婚してしまい、かつそのような状況下でストーキングにあう主人公の瑤子に、一瞬共感しそうになりました。辛い状況に追い打ちをかけられる様子がいたたまれなく思ってしまったのであります。
しかし、その要因を作ったのは瑤子本人であり、ストーキングしている麻生は瑤子に陥れられた被害者でもあります。かつ、昨今の傲慢で図に乗りすぎたマスゴミの姿が瑤子の行為とオーバーラップすると「自業自得じゃねーか」ってことで、非常に冷めた感覚を覚えながら活字を追っていました。
最終的に、映像編集を駆使して社会を動かそうとしていた瑤子を追いつめたのが、全く無垢で無作為に撮られた映像だった、という対比も良いと思いました。小細工なしに、説得力ある映像は世の中を動かす力がある、ということなのでしょうか。
結局、灰色の男が誰だったのかは分からず(読み落としてるかな?)、何ともスッキリしない読後感がなきにしもあらず。
けれど本作の主軸は謎を解き明かすミステリではなく、テレビ映像は必ずしも事実をありのまま映しているわけじゃないよ〜 垂れ流される情報を鵜呑みにしないで冷静に真偽の判断しましょうね、っていう問題定義にあるんじゃないかな、と思いました。エンタメとしてだけでなく、社会派ミステリとしても個人的にかなり楽しめました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ選手の心情、ボールを扱う足の使い方、シュートシーン一つ取ってもこと細かい描写を
細部まで研究に研究を尽くした表現は映像を見ていなくてもわかるくらいの描き方。
筆者の熱狂的とも言えるほどのサッカーファン熱が文章からも伝わってきた。
フィクションでありながら日本が強豪国と戦って勝って行っていく試合のエピソードの数々。
そしてあのリュウジのラストシーン。小生はキャプテン翼の翼くんのワンシーンをすぐさま想像した。
サッカー経験者の実体験をもとにした監修も含め、たぐい稀なる貴重なサッカー小説を
見つけることができた感動。ありがたいです。
03-04で続編はもうないのですが、今後の話としてはケガやリハビリについて描く予定だったそうで、
もしそうだったとしたら楽しみだったのですが
それが読めなく遺作となってしまったことが残念で仕方がありません。 -
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
舞台はアテネ五輪。
スペインリーグでの活躍が認められたリュウジが五輪で躍動する。
相変わらず細部まで綿密に表現され、想像力を駆り立てられるライバル達との試合。
実在する日本代表選手達との違和感のない融合・会話。
五輪出場国が決まる前に描いたにも関わらず腑に落ちる展開。
これらはもちろん面白いが、
この作品の主たるテーマは監督論。
「不安定な心を安定に導く、便利な処方箋」である「組織」と、
その「組織」を壊す「個人」を活かす勇気を持つ事の必要性。
この2要素のバランスの取り方は難しく、
ケースバイケースでもあるため、答えはない。
しかし、答えはなくとも、どちらも残しつつ共存させなければならない。
人生の絶望を経験しドイツで監督論を学んだ平義監督に置き換え、
野沢さんのそんな思いが強く伝わってくる。
・・・とにかく続きが読めない事が残念でならない。
もっと描きたかったはず。
多くのサッカー選手・サッカー関係者・サッカー好きに影響を与えたこの龍時シリーズを遺した野沢さん。
個人的にもこのシリーズを読んで、さらに、確実に、サッカーが好きになれた。
心から感謝。
『我が魂よ、不死を求むることなかれ、ただ可能の限界を汲みつくせ ・・・』ピンダロス(古代ギリシャの詩人) -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。
スペインリーグ2シーズン目に突入した17歳のリュウジ。
1作目ラストからの、この2作目冒頭。
いきなり鳥肌もの。
1作目ラストでは「結果」「試合後」を出さず、
2作目の冒頭でその2つを物語っていく。
それも、語り口の基本となっている主人公・リュウジ目線ではなく、
あえて実在するスポーツ新聞やサッカー雑誌から伝聞調で。
このシリーズの、伝え方が、物語方が、本当に好き。
内容も相変わらず1つ1つの表現にリアルな想像が膨らませられ、
まるでそこにいるかのようなこの上ない臨場感があって、のめり込む。
名門・ベティスに移籍し、ホアキン・デニウソン・アスンソン・・・スタープレーヤー達に揉まれながら、スーパーサブとして自分のポジションを確立していくリュウジ。
実在する選手がいる実在するチームに、当然架空の人物であるリュウジがいる。
実在する日本代表選手と共に日の丸を背負う。
これに違和感を感じず読める、というのが信じられない程に面白い。
チームメイトやライバル、監督、会長、代理人、酒場、恋人、異国で色んな人々と関わる事でリュウジが心身ともに成長しているのも暗に伝わってくる。
そして、遠く離れた家族とのやり取り、異国で出あった恋人とのやり取りには、この2作目でも泣きそうになる。ずるい。
サッカー小説として、ではなく、
小説として、間違いなく最高傑作の1つだと思う。
次作も楽しみ。
大げさじゃなく、この本に出会えた事に心から感謝。
ハイホー。 -
Posted by ブクログ
リスペクトする好きな人からのオススメ。
最高のサッカー小説。
文字だけでここまでリアルにサッカーを描ける事にガタつく。
戦術の描写、繊細な技術の描写、実在する選手の特徴を如実に表す描写、全てに鳥肌が立つ。
当然、感情的な部分の描写も巧く、家族・恋人・チームメイト・監督・・・関わる全ての人々との間で生まれる会話や抱く感情の表現にも心震える。
無名の中学・高校からスペインへと単身乗り込む主人公・リュウジには常に感情移入ができる。
これら描写力だけではなく、過去と現在の場面の替え方もイイ。
基本的にはリュウジ目線での語り表現だが、手紙・記事での伝達表現が加わってくるあたりもイイ。
リュウジという名前に隠された意味もイイ。
架空と実在の選手やチームが違和感なく、むしろ気持ち良く共存しているのもイイ。
フィーゴ、クライファート、サビオラ、リバウド、コクー、オーフェルマウス・・・ちょっと懐かしい実在する選手が出てくるのもイイ。
全ての表現が好きだし、イイところを挙げるとキリがない。
作者の急死により完結しない作品である事が非常に残念。
けど、想像を膨らませながら、16歳のリュウジがどれだけ世界を相手に奔走していくのか、続きを楽しんで読んでいきたい。