野沢尚のレビュー一覧

  • 破線のマリス

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    テレビ業界に身を置いていた野沢氏なればこそという多分(私は専門的なことを知らないけれど読んでいると感じる)専門的な内部告発小説。
    タイトルの「破線」はテレビ画面を構成する525本の走査線、「マリス」は報道する側の意図的な作為、悪意」

    報道側、特に映像を伴う報道がその気になれば無実の人物を殺人事件の犯人にしてしまう事も不可能ではないかもしれない恐ろしさが迫る。

    作品の主人公瑤子は番組内で任された事件報道コーナーで過去に自らの映像編集で殺人事件解決の糸口をつかんだ功績もあり、コーナー高視聴率の立役者であるので、ややもすれば独断専行とも言える編集の仕方に上司となる者も口を出せない。
    彼女は集めた

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    2022年08月02日
  • リミット

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    闇の社会とか闇に生きる人とか怖いし難しいし、実際こんな人いるのかな?
    いないだろーな。いや知らないだけかも。

    犯罪の内容が一昔前的な感じもしないこともないけれど、テンポがよくて読みやすく、さすが脚本家であるだけあって状況が映像となって頭に浮かぶ。

    かなり昔にドラマ化したようですが(自分は未視聴)、なかなかキツいシーンもあるので2時間ぐらいでテレビではなく映画がいいかも。

    あと、文字による暴力シーンの詳細な描写は自分には向かない。

    誰の作品でもそうですが、文字だと気分が悪くなる。映像で次から次へと流される方がいい。痛いの苦手なので。



    もう野沢氏の新作が発表されることがないのが残念で

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    2022年06月23日
  • 深紅

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    前半部分の筆力には圧倒されました。
    被害者と加害者の娘同士が繋がる部分を読んでいると憎しみとは様々に形を変えて住み着くんだなと感じた。
    やはり人は生きてく上で憎しみや嫉妬などの感情を捨てることは出来なく上手く付き合っていくしかないなと考えさせてくれました。

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    2021年07月12日
  • 呼人

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    少なくとも3回は読んでいる。
    文庫の出版が2002年なので、初読からほぼ20年が経っている。
    野沢尚さんは、「破線のマリス」以降、恐らく全ての文庫を読んでいるが、なぜ「呼人」のみを何度も読みたくなるのか、分からない。

    48年生きた12歳の呼人には、今のこの世界はどう見えるのだろうか。

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    2021年06月05日
  • 砦なき者

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    「破線のマリス」の続編。
    少し古い作品なんで、テレビの影響&怖さを語ってる。
    今は、ネット系に押されて、力はあるにしても劣勢に立たされてるけどね。
    テレビによってカリスマになり、テレビによって滅んでいく八尋。
    本人もそう自分の時代が続くとも思ってないやろうしね。
    結局、『ナイン・トゥ・テン』は一矢を報いたと言えるのか…?
    何かカルト宗教みたいで怖いけど、今でも起こりうる事、それがテレビから、ネットなどの別の手段に移るだけで。
    やな感じ Σ('◉⌓◉’)
    個人的には、「破線のマリス」より、こっちのが好き!

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    2021年04月05日
  • 破線のマリス

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    マリスとは、悪意という意味。
    この中では、テレビなんで、報道側の意図的な作為または、悪意を指してる。
    今でも、インタビューとかのある部分だけを切り取って、悪もん扱いするとか良くあるもんな。
    主人公は、一流の映像編集者。毎日のように編集室にこもって、報道番組で流す映像を編集してる。インパクトのあるように…
    結局、それがあかんかったやな。ちゃんと自分の目で見ることを忘れて…
    部分部分だけ見ずに、俯瞰的に見ないとダメって事やな。
    小説が少し古いので、テレビ機器とかも古いし、郵政省とか無くなった組織も出てくるけど、マリスなんて、今の方が、SNSとか色々あって、もっとヤバい!
    色々な情報に惑わされず、自

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    2021年03月17日
  • 龍時(リュウジ)03─04

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    おなじみ野沢尚の「龍時」シリーズ第三弾。

    スペインのベティスで主にスーパーサブとして活躍中の主人公・志野リュウジは
    オリンピック日本代表に招集される。
    五輪代表監督・平義は理論派で守備的、規律を重んじると言われている。
    なぜ自分が呼ばれたのか、果たしてこのチームで生きることが出来るのかを疑問に感じながらも
    五輪日本代表の一員として戦い始める。。。

    この本の中で五輪日本代表はギリシャ・スペイン・韓国・ブラジルと戦う。
    本当にこんな流れ(決勝進出)になったらさぞかし日本のサッカーファンは大喜びだろう。
    それにしても相変わらず試合中の描写が巧い。そのシーンを思い描けるし、文章で書いてあるのにスピ

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    2021年03月14日
  • 破線のマリス

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    ネタバレ

    以前途中まで読んだ時は、私立大学と郵政省の癒着問題が発覚したあたりで終わっていたので、お堅い社会派ミステリーなんだと思っていたらちょっと違った!驚いた。

    メディアの偏った報道の怖さもさることながら
    主人公や麻生がどんどん変わっていく様を見て、どんな人でも簡単に狂ってしまうのかなと思うと怖かった。(ジョーカーみたいだな)
    人間が結局1番怖い。

    そして日常を盗撮していたのがまさかあの人だったなんて…。なんて皮肉なんだろう。

    個人がネットで発信できる今と比べると、どうしても時代背景は古く感じてしまいますが、これからも普遍的なテーマだと思います。

    野沢さんって元々脚本家なのか。
    「眠れる森」「

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    2021年02月19日
  • 魔笛

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    うわっ!映画してる!エンターテイメントしてる!
    クライマックスを映画館で観てる自分がある!って感じ。
    クライマックスは、3ヶ所同時!巧妙に仕掛けられた罠に対峙しながら!
    さぁ、それぞれ、活路を開けるか!
    カルト宗教、警察、公安とが、絡まって…なかなか面白いストーリー!
    この作者は、脚本家やねんな。どうりで、映像が目に浮かぶ感じがすると思った。なかなかでした。

    PS:
    読みやすいし、面白いんやけど、なかなかページが進まないのは何故?

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    2021年01月23日
  • 深紅

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    修学旅行中に家族を惨殺され、一人残された少女の心情の描写や、犯人が犯行に至る動機を述懐する描写が巧みで、双方の気持ちがわかる分、序盤から胸が苦しくなります。

    12年後、少女は犯人に自分と同い年の娘がいることを知り、自身の正体を隠して、犯人の娘に近づき・・・

    憎悪と血の連鎖は断ち切れるのか?という重たいテーマを扱った読み応えのある作品でした。

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    2020年10月14日
  • ひたひたと

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    未完の作品と知りながらも、それでも面白いと思わせてくれる作家さんだった。
    タイトルのひたひたとが一番好きな話。

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    2020年05月12日
  • リミット

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    前半の感じが少し苦手で、このまま本を閉じてしまおうかなぁ…と思いつつ中盤まで読み進み、あまりの苦しさに本を閉じ、でもやっぱり先が気になるからページをめくり最後まで止まらない!
    珍しく後半で犯人わかったぞ!なんて思ってたら…
    まさかのラスト。まぁ自分の考察力なんてこんなもんだな笑
    読んでよかった!面白かったです。

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    2020年04月30日
  • 魔笛

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    野沢尚 著「魔笛」、2002.9刊行、2004.9文庫。大作です。読み応えがあると同時に、読むのにとても時間がかかりました(10日間)。新興宗教とテロがひとつの軸(オウムの事件がベースか)。獄中の教祖坂水輪水に心服し爆弾テロを次々に仕掛ける照屋礼子38歳。獄中の女性安住籐子と結婚した刑事鳴尾良輔、これがもうひとつの軸。この二つの軸が交差するとき、それがこの物語のクライマックス。

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    2020年03月31日
  • 深紅

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    秋葉奏子(あきばかなこ)と都築未歩(つづきみほ)、被害者と加害者、それぞれが残した子供が、今、20歳で、似たような袋小路でうずくまっている。奏子は、私と彼女はどう違うのかを確かめたく、未歩に会いたいと思った。家族5人の生活からたった一人残された長女の奏子と、死刑囚の娘である未歩の出会いはどんな未来を映し出していくのか。野沢尚 著「深紅」、2003年2月発行(文庫)。

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    2020年03月10日
  • 魔笛

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    普通に生きていたら沸かないであろう感情や判断が次から次へと表れる。無慈悲と言うべきか、恐ろしい事が起きているはずなのに、現実離れしていてどこか他人事のようにあっという間に読めてしまった。犯人が語り部な作品を読み慣れていないためか、初めは違和感こそあったがすんなり読めてしまうあたり、物語としての完成度は高い。タイトルの意味もまた恐ろしさを引き立てていて良い。

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    2020年01月22日
  • 呼人

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    12歳で成長が止まった男の子・呼人の心の歴史。
    時々、何のために生まれて来たのだろうと呼人は思う。確かに周りは彼を置いて年を重ね、いつかは消えて行く。

    私は何のためにと考えたこともないし、無理に考えても何の答えもない。何のためにというのは、他人に何かする役目なり生きる目標なりがあってのことかもしれない。人としてするべきことは、大差なくて、社会人、家庭人になりその役目を果たしながら生きていくほかはない。という流れのまにまに苦楽を越えて生きることだと思っている。


    呼人はMITで薬学研究をしていた日本人が 遺伝子操作で密かに作り出した成長を止める薬を、たまたま出合った妊婦に注射をした。女はテロ

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    2020年01月13日
  • 呼人

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    内容(「BOOK」データベースより)
    少年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!?僕はなぜ大人にならないのだろう。心も躰も成長を止め、純粋な子供のまま生きていくことは果たして幸せなのだろうか。出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。感動のラスト、権力者の理想が引き起こす現代の恐怖をリアルに描いた傑作長編。

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    2019年11月05日
  • ひたひたと

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    群生 プロットと言っても完成に近い
    脚本家としての野沢尚の熱量が伝わる
    映像が浮かぶ。
    「十三番目の傷」「ひたひたと」も残りの三人の話しを知りたくなる
    ホスト役の畠山の真意も知りたい
    本当に残念でならない。
    もっと読みたかった、視たかった。

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    2019年03月28日
  • 魔笛

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    流石脚本家出身だけあって、構成が映画を見ているように感じた。プロットも完璧に近く面白かったが、照屋礼子の小学校時代の凶行の必然性があまり無いように思い、その点だけが残念。

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    2019年03月02日
  • リミット

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    連続幼児誘拐事件の謎を追う警視庁捜査一課・特殊犯捜査係勤務の有働公子。婦人警官でなく、一人の母親として事件の当事者となってしまった彼女は、わが子を取り戻すため、犯人のみならず警視庁4万人を敵にまわすことに...。驚愕の展開、そして誰も予想だにしなかった戦慄の結末。ミステリーの到達点。
    -書籍より引用



    正直、展開が読める小説かもしれない。
    しかし、物語の展開についてはドキドキ・ハラハラさせるものがある。
    かつてドラマ化されたこともあり、今なお人気の小説。

    母性とは何か。家族とは何か。
    その想いが込められた一作。

    表現の生々しさは、脳内で映像化しやすく、さすが野沢尚さんといったところ。

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    2019年01月19日