野沢尚のレビュー一覧
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テレビ業界に身を置いていた野沢氏なればこそという多分(私は専門的なことを知らないけれど読んでいると感じる)専門的な内部告発小説。
タイトルの「破線」はテレビ画面を構成する525本の走査線、「マリス」は報道する側の意図的な作為、悪意」
報道側、特に映像を伴う報道がその気になれば無実の人物を殺人事件の犯人にしてしまう事も不可能ではないかもしれない恐ろしさが迫る。
作品の主人公瑤子は番組内で任された事件報道コーナーで過去に自らの映像編集で殺人事件解決の糸口をつかんだ功績もあり、コーナー高視聴率の立役者であるので、ややもすれば独断専行とも言える編集の仕方に上司となる者も口を出せない。
彼女は集めた -
Posted by ブクログ
闇の社会とか闇に生きる人とか怖いし難しいし、実際こんな人いるのかな?
いないだろーな。いや知らないだけかも。
犯罪の内容が一昔前的な感じもしないこともないけれど、テンポがよくて読みやすく、さすが脚本家であるだけあって状況が映像となって頭に浮かぶ。
かなり昔にドラマ化したようですが(自分は未視聴)、なかなかキツいシーンもあるので2時間ぐらいでテレビではなく映画がいいかも。
あと、文字による暴力シーンの詳細な描写は自分には向かない。
誰の作品でもそうですが、文字だと気分が悪くなる。映像で次から次へと流される方がいい。痛いの苦手なので。
もう野沢氏の新作が発表されることがないのが残念で -
Posted by ブクログ
マリスとは、悪意という意味。
この中では、テレビなんで、報道側の意図的な作為または、悪意を指してる。
今でも、インタビューとかのある部分だけを切り取って、悪もん扱いするとか良くあるもんな。
主人公は、一流の映像編集者。毎日のように編集室にこもって、報道番組で流す映像を編集してる。インパクトのあるように…
結局、それがあかんかったやな。ちゃんと自分の目で見ることを忘れて…
部分部分だけ見ずに、俯瞰的に見ないとダメって事やな。
小説が少し古いので、テレビ機器とかも古いし、郵政省とか無くなった組織も出てくるけど、マリスなんて、今の方が、SNSとか色々あって、もっとヤバい!
色々な情報に惑わされず、自 -
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おなじみ野沢尚の「龍時」シリーズ第三弾。
スペインのベティスで主にスーパーサブとして活躍中の主人公・志野リュウジは
オリンピック日本代表に招集される。
五輪代表監督・平義は理論派で守備的、規律を重んじると言われている。
なぜ自分が呼ばれたのか、果たしてこのチームで生きることが出来るのかを疑問に感じながらも
五輪日本代表の一員として戦い始める。。。
この本の中で五輪日本代表はギリシャ・スペイン・韓国・ブラジルと戦う。
本当にこんな流れ(決勝進出)になったらさぞかし日本のサッカーファンは大喜びだろう。
それにしても相変わらず試合中の描写が巧い。そのシーンを思い描けるし、文章で書いてあるのにスピ -
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ネタバレ以前途中まで読んだ時は、私立大学と郵政省の癒着問題が発覚したあたりで終わっていたので、お堅い社会派ミステリーなんだと思っていたらちょっと違った!驚いた。
メディアの偏った報道の怖さもさることながら
主人公や麻生がどんどん変わっていく様を見て、どんな人でも簡単に狂ってしまうのかなと思うと怖かった。(ジョーカーみたいだな)
人間が結局1番怖い。
そして日常を盗撮していたのがまさかあの人だったなんて…。なんて皮肉なんだろう。
個人がネットで発信できる今と比べると、どうしても時代背景は古く感じてしまいますが、これからも普遍的なテーマだと思います。
野沢さんって元々脚本家なのか。
「眠れる森」「 -
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12歳で成長が止まった男の子・呼人の心の歴史。
時々、何のために生まれて来たのだろうと呼人は思う。確かに周りは彼を置いて年を重ね、いつかは消えて行く。
私は何のためにと考えたこともないし、無理に考えても何の答えもない。何のためにというのは、他人に何かする役目なり生きる目標なりがあってのことかもしれない。人としてするべきことは、大差なくて、社会人、家庭人になりその役目を果たしながら生きていくほかはない。という流れのまにまに苦楽を越えて生きることだと思っている。
呼人はMITで薬学研究をしていた日本人が 遺伝子操作で密かに作り出した成長を止める薬を、たまたま出合った妊婦に注射をした。女はテロ -
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連続幼児誘拐事件の謎を追う警視庁捜査一課・特殊犯捜査係勤務の有働公子。婦人警官でなく、一人の母親として事件の当事者となってしまった彼女は、わが子を取り戻すため、犯人のみならず警視庁4万人を敵にまわすことに...。驚愕の展開、そして誰も予想だにしなかった戦慄の結末。ミステリーの到達点。
-書籍より引用
正直、展開が読める小説かもしれない。
しかし、物語の展開についてはドキドキ・ハラハラさせるものがある。
かつてドラマ化されたこともあり、今なお人気の小説。
母性とは何か。家族とは何か。
その想いが込められた一作。
表現の生々しさは、脳内で映像化しやすく、さすが野沢尚さんといったところ。