野沢尚のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレずっと気になっていたので読んでみた。
なんだか凄い作品に出会えました。
那須高原修学旅行の夜、6年生の少女の奏子は、「家族が事故にあい病院に運ばれた」とだけ、言われ、急遽4時間かけてタクシーで東京へ戻ります。
その道中での担任のぎこちない態度から、家族はすでにこの世を去っていて、その原因が交通事故ではないことを奏子は感じとります。
監察医務院という場所で叔母に迎えられ、慰安室で目にした家族は皆亡くなっていて、白い布をよけて顔を見ることすら許されませんでした。
父の不義理が理由で恨みを買い、奏子だけがいない夜に、一家惨殺事件が起きてしまったのです。
奏子にはその後、家族が殺された日に東京に帰るま -
Posted by ブクログ
ネタバレ読中は熱くなりっぱなしでした。
なぜなら本書のテーマが自分の人生最大の関心事の1つだったから。
タイトルのマリスとは報道に関わる記者や編集者の悪意を意味している。
主人公の遠藤瑤子はテレビ局の編集者として映像を自分の主観に沿うように編集して刺激的な映像を作り出す。
小説にテーマを伴った小説があると思ってますが本書はそれです。
さらにいえばその中でも特にメッセージ性が強い部類だと思う。
なぜなら本書は読後感を大きく左右するラストにおいてまでも猛烈に主張しているから。
私は読後にメッセージごと顔面に張り手を受けたような印象を抱いたほど(まぁテーマが関心事ゆえってことが多分にあるかと -
Posted by ブクログ
ー 「おれたちが作りあげた物語だ。こういうふうに夏休みが終わってほしいって考えた物語なんだ。物語には感動的な結末もあるけど、さっぱり盛りあがらないまま終わる出来の悪い結末もあるだろ。でも、どんな物語にも終わりはある。終わって、幕が下りて 、あたりが明るくなって、映画館を出て、ぼくらは家に帰るんだ」 ー
1973年に生まれて、1985年に成長が止まり永遠に12歳のまま生きることになった少年の物語。
日本航空123便墜落事故の飛行機に乗る予定だったが、乗り遅れた設定となっており、その後も彼とその友人たちは時代の波に呑まれながら生きてゆく。
呼人は肉体的には12歳のままで、友人たちは当然歳を取 -
Posted by ブクログ
ネタバレ10ページをすぎたところで爆弾テロのシーン。
それから10ページにわたって、ここの死の様子を延々と読む羽目になり、これはつらいと思ったのだが。
案に相違して、読む手が止まらなかった。
信徒を使って爆弾テロを行った新興宗教。
死刑を言い渡された教祖と、逮捕された幹部信者の他に、報道されてはいないが潜伏を続ける信者がいる。
照屋礼子、彼女は公安のスパイだった。
公安のスパイではあるが、潜伏するためには信者に成りすまさなければならない。
一番つらい修行を積極的に受けることで、彼女は教団の疑いをはらしたものの、徐々に彼女の中で二つの顔が均衡を崩し始める。
いや、過剰に均衡を取りはじめるといった方が