野沢尚のレビュー一覧
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第22回吉川英治文学新人賞 江戸川乱歩賞の「破線のマリス」は面白かった。この「深紅」は衝撃的な出だしで事件の残虐性が際立った作品だ。目次は第一章から第五章まである。
第一章
事件が起きたとき修学旅行で信州の高原にいた小学校六年生の秋葉奏子(かなこ)の話。
旧友たちとふざけながら寝る用意をしていた時、緊張した気配で担任が部屋に入ってきて、すぐ自宅に帰れと言った。よくない予感がしたが、付き添われて高速道路を使って帰ってきた。行き先が監察医務院だと言う。不安は的中して、霊安室で両親と二人の弟に対面した。頭があるところがへこみ白布の上からでもいびつな形をしていた。家族思いで仕事も順調に成長し、新 -
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ネタバレずっと気になっていたので読んでみた。
なんだか凄い作品に出会えました。
那須高原修学旅行の夜、6年生の少女の奏子は、「家族が事故にあい病院に運ばれた」とだけ、言われ、急遽4時間かけてタクシーで東京へ戻ります。
その道中での担任のぎこちない態度から、家族はすでにこの世を去っていて、その原因が交通事故ではないことを奏子は感じとります。
監察医務院という場所で叔母に迎えられ、慰安室で目にした家族は皆亡くなっていて、白い布をよけて顔を見ることすら許されませんでした。
父の不義理が理由で恨みを買い、奏子だけがいない夜に、一家惨殺事件が起きてしまったのです。
奏子にはその後、家族が殺された日に東京に帰るま -
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ネタバレ読中は熱くなりっぱなしでした。
なぜなら本書のテーマが自分の人生最大の関心事の1つだったから。
タイトルのマリスとは報道に関わる記者や編集者の悪意を意味している。
主人公の遠藤瑤子はテレビ局の編集者として映像を自分の主観に沿うように編集して刺激的な映像を作り出す。
小説にテーマを伴った小説があると思ってますが本書はそれです。
さらにいえばその中でも特にメッセージ性が強い部類だと思う。
なぜなら本書は読後感を大きく左右するラストにおいてまでも猛烈に主張しているから。
私は読後にメッセージごと顔面に張り手を受けたような印象を抱いたほど(まぁテーマが関心事ゆえってことが多分にあるかと -
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ー 「おれたちが作りあげた物語だ。こういうふうに夏休みが終わってほしいって考えた物語なんだ。物語には感動的な結末もあるけど、さっぱり盛りあがらないまま終わる出来の悪い結末もあるだろ。でも、どんな物語にも終わりはある。終わって、幕が下りて 、あたりが明るくなって、映画館を出て、ぼくらは家に帰るんだ」 ー
1973年に生まれて、1985年に成長が止まり永遠に12歳のまま生きることになった少年の物語。
日本航空123便墜落事故の飛行機に乗る予定だったが、乗り遅れた設定となっており、その後も彼とその友人たちは時代の波に呑まれながら生きてゆく。
呼人は肉体的には12歳のままで、友人たちは当然歳を取 -
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ネタバレ10ページをすぎたところで爆弾テロのシーン。
それから10ページにわたって、ここの死の様子を延々と読む羽目になり、これはつらいと思ったのだが。
案に相違して、読む手が止まらなかった。
信徒を使って爆弾テロを行った新興宗教。
死刑を言い渡された教祖と、逮捕された幹部信者の他に、報道されてはいないが潜伏を続ける信者がいる。
照屋礼子、彼女は公安のスパイだった。
公安のスパイではあるが、潜伏するためには信者に成りすまさなければならない。
一番つらい修行を積極的に受けることで、彼女は教団の疑いをはらしたものの、徐々に彼女の中で二つの顔が均衡を崩し始める。
いや、過剰に均衡を取りはじめるといった方が -
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12歳で成長が止まった男の子「呼人」は、何のために生まれて来たのだろうと思っている。 周りは彼を置いて年を重ねて行くだろう。
MITで薬学研究をしていた日本人が 遺伝子操作で密かに作り出した成長を止める薬を、試験的に、たまたま出合った妊婦に注射をした。
女はテロの首謀者として世界を転々としていた。生まれた「呼人」を妹に預けてまた世界に出て行った。
今の母は育ての母だと知っても、彼は12歳まで普通に成長し、友達と山に基地を作って遊んでいた。
この話はまるで「スタンド・バイ・ミー」のように始まるが、12年後呼人の成長が止まった。外見は子供のまま育たない呼人は、友達と進路がわかれた。
14年後、