野沢尚のレビュー一覧
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とにかく読んでいて思ったのは、野沢尚は、彼なりの愛国心を溢れんばかりに持っていたということだ。
日本人の良さと悪さをサッカーの中に表現している。
『組織とは不安定な心を安定に導く、便利な処方箋』
『どうしようもなく集団意識を持ってしまう日本人は、「自由」に憧れはするが「自由」を謳歌することができず、結局、慎重なプレーしかできなくなる。』
サッカー選手だけの話ではないと思う。日本人という民族全体に当て嵌まるんじゃないかな。
解放宣言が出て奴隷達が「何をしたらいいかわからない。奴隷でいさせてくれ」と泣いたという話を思い出した。
孤独に慣れない者にとって、自由の刑とは恐ろしいものだ。
オードリー・若林がある番組で「上手い、と言うと上から見ていて余裕がある感じがするけど、怖い、と言うと余裕がない感じがする」と言っていた。龍時の目指す、「殺される」と実感するようなサッカーとは、そんな感じだったのかな。
龍時、第三巻。にして、ラスト。続く予定だったそうだけれども、無念。 -
Posted by ブクログ
一人の日本人高校生が、リーガ・エスパニョーラのユースチームへスカウトされた。
日本の主流サッカースタイルでは、自分に居場所はないと感じていたリュウジは単身、スペインへのサッカー留学を決心する。
「サッカーをしていない自分が考えられないから、あと20年くらいしか生きていられそうにない」
と言い切り、わずかばかりのサッカーという“人生”を輝かせるために、自分自身の孤独と懸命に戦うリュウジの物語。part1。
好みは人それぞれだから賛否は分かれて当然ですが、私はこの人の書く文章、好き。
スピード感があって、一歩先を読みたい、次の一文を読みたいという気持ちにさせられる。
美文は短文とはよく言ったものだ、うん。
私もこんな文章が書けるようになりたい。
第五章は泣いた。号泣した。
サッカーは好きだけど、システムや戦術には私は詳しくない。
そういった部分の知識がある人は、もっと面白いんだろうな。わかる人にはわかる、ってやつだと思う。
毎日、牛乳2リットル飲めば、私も身長伸びるかな?今からでも。 -
Posted by ブクログ
連続幼児誘拐事件を担当する主人公の捜査一課の有働公子は、誘拐された少女の母親役を演じ、犯人と電話で交渉をしていた。しかし母親でないことがばれ、犯人に身代金の運び役を命じられた。そして驚愕の事実を知らされた。
「お前の息子を誘拐した。殺されたくなかったら捜査陣を撒いて一人で来い」
どうして息子がいることを犯人が知っているのか。考えられる可能性はひとつ。警察内部に犯人と通じる裏切り者がいる。
公子はひとりで犯人を追いつめることを決意した。
有名な脚本家の小説だけあって、映像化されたらさぞかし面白くなりそうな(もうされてるのかもしれません)作品です。飽きることないストーリー展開です。15年くらい前の作品ですが、当時のアジアを含んだ社会情勢を反映していて、とてもリアリティがありました。
偶然ですが、自分の実家や現住所の近くでばかり事件がおきるので、情景が鮮明にイメージできて、ご当地小説を読んでいるように夢中になれました。
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Posted by ブクログ
マスコミの暗部。マスコミの特性を利用したモンスター。
P185 マスコミとは本来、何らかの事件を伝達するものだと考えられているがマスメディアの発達によって、伝達するための内容をメディア自体が創りだすようになった。「擬似イベント」イベントがあるからではなく、報道するためにイベントが作られる。現代ではこうした逆転現象が政治、経済など様々な領域で見られる。メディアの中では人は英雄的な好意によって有名になるのではなく、メディアでの露出度が高く、有名であるために崇められる。
P247 マスコミとは。風向きを読んで、退路と進路を選ぶ、狡猾で保身本能しかない森の生き物だ。
P276 テレビは定期的に大衆の中から犠牲者を選ぶ。それを糾弾された時だけ、テレビは襟を正す。ところが喉元をすぎれば熱さを忘れて、またぞろぞろと被害者を生み出す。大衆は被疑者だけではなく加害者にもなれる。
P307 「化け物」とは「大衆の総意」という、森に立ち込める靄のように捉えどころのないものを指す。それを操作しようとした時から、逆に操作される運命を覚悟しなければならない。一人のカリスマが脅威なのではなく、カリスマによっていびつな形にされた「大衆の総意」が、あるきっかけによって凶器の形になることが何より恐ろしいのだ。
P352 砦なき者は、敵のまっただ中に飛び込み、味方に流れる血を恐れず、あがき苦しんで戦うしかないのです。それは激烈な恐怖と痛みを伴うことを覚悟しなければなりません。
朝まで生テレビの某市長と学者のやりとりには似たものを感じる。 -
Posted by ブクログ
1作目からずーっと読んでいくと、
様々な面でパワーアップしたリュウジを見ることができる作品。
もはや、1人の人間として彼がカッコいい、とさえ思えます。
この作品では、
リュウジが日本代表としてのシーズンが描かれているのですが
1つ1つの試合の臨場感と、リュウジの心持ちにドキドキします。
「日本を捨てる」覚悟でスペインへ渡った彼にとって、
異国の地で生活し、改めて自分が日本人と感じた彼にとって、
日本代表になるということは、どういうターニングポイントだったんだろう。
思い返しただけで、何故だか感極まるものがあります。
"わが魂よ、不死を求むることなかれ。ただ可能の限界を汲み尽くせ。"
残念ながら、
これ以上のリュウジを野沢さんの作品としてみることは出来ませんが、
リュウジは可能性の限界をみることが出来たこと、やっぱり羨ましい。
左手に持つ厚みが薄くなるのを惜しみながら、心で読めた作品。 -
Posted by ブクログ
やっていることは全く違うけれど、
日本の外に身を置いて生活した経験がある為か、
"自分の選択は正しかったのか"
"日本へ帰る、という選択肢は逃げではないか"
…と言うスペインでのリュウジに共感するところ、ちょっとありました。
また、サッカープレーヤーとしての期間が自分自身の寿命だと言い切る彼。
カッコいいな~と思える反面、
サッカーに対するストイックさがちょっと羨ましいとさえ思える。
例え、自分の思い通りに行かなくても、素直になれなくても、
正面から壁に向かっていかなければ前には進めない、
という事を改めて思わされます。
理屈では分かっていても、言われて分かる、じゃなく
やっぱり自分で体験して分かっていかなきゃ。
それを、綺麗ごとじゃなくて、
人間臭く表現されているから、感情移入しちゃうんだろうな。
とある場面で、私も思わず涙してしまいました。
サッカー小説なんだけど、
それ以外にも、心にぐっと響く1冊。 -
Posted by ブクログ
正直なところ、
ここまでのスポ根な小説を読んだのは初めてだったので
色々な意味で衝撃でした。
話が進むにつれ、どんどん世界に入り込んでいく感覚が分かる。
心境描写が巧みだからか、
"自分自身がサッカーをしている"とまではいかないけれども
個々の心境と、プレー面の繋がりが分かって、ゲームの展開にどきどきする。
手に汗握る、とはこんな感覚なんだろうな。
実際のプレーヤーを見たことがなくても理解できるほど、
特徴がよく表現されているんだと思います。
古本屋から入手したため、
3部作の2作目から読み始めましたが、十分楽しめました。
スペインにとっての「サッカー」の存在の大きさ。
存在の大きさゆえの衝突や苦悩、悲しみ。
スポーツなのに、それだけじゃ収まらないエネルギーの大きさに驚きました。
リュウジの年齢(17歳)で、ここまで覚悟を決めている人って
実際どれくらい居るんだろう。。
リュウジの覚悟や心の強さもカッコいいと思うし、尊敬できるけど、
彼を支える家族や周りの人たちの強さや温かさも大きい。
スペインのサッカーが観てみたい。
…というか、サッカーが観たい!
通勤時間だけでは我慢できずに、
お昼休みにも手放せなくなった1冊です。