野沢尚のレビュー一覧

  • 魔笛

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    これは、死刑囚「照屋礼子」による手記である。

    警察・公安・宗教団体、三つの組織が織り成す関係。
    どの人物が誰に対して、どのような精神が彼・彼女に魔笛を吹いてしまったのか。

    様々な精神異常者達の持つドロドロとした心理が
    面白い。

    メシア神道は何かを敵にすることで存続してきた。
    そのような宗教に入っている人達も、何かを敵にするように生きている。それでしか生きていけない。
    そのように生きることで、奇跡が起こると信じている。しかし、人々の人生には様々な地点に奇跡は落ちている。そういった物に気づけるように生きたい。
    そういった物に気づくことが出来れば…。

    これは死刑囚「照屋礼子」による手記である

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    2025年10月27日
  • 深紅

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    ネタバレ

    圧倒された。厚めの小説だけど、ページをめくる手が止まらず、一気に読んでしまった。一家惨殺なんてどんな猟奇的殺人者かと思いきや、被害者には恨まれる理由があって、殺人者に同情的な視点がどうしてもできてしまう。加害者と被害者の娘が出会い、内心憎しみ合いながらも最後は想い合い…なんて、フィクションじゃなきゃありえない。けれど、救いようのない話を救える話にできる。これがフィクションのいいところだと思う。

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    2025年08月26日
  • 深紅

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    冒頭からの出だしでは殺害された一家4人が不憫でならず、死刑判決を受けた犯人には同情の余地も無かったのに、死刑判決を受けた犯人が書いた上申書を読むと心情が一変してしまいました。
    どんな理由があろうとも、人の命を殺めることは許されないはずなのに、なぜか犯人に同情してしまう自分が居ました。
    殺害された一家でただ1人だけ死を免れた女の子と一家4人を殺害した犯人の1人娘の人生が交錯して。。。
    正義って何?残された者たちの心情を様々慮ってしまう秀作だと思いました。

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    2025年08月23日
  • リミット

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    ネタバレ

    多くのシリアスな小説には、途中で休憩とも入れるエピソードが挟まれることが多い。
    しかしこの話にはそれがない「ポケモンのカード」とかの単語がかろうじて心を癒してくれるくらいで、それが終わったら「はーい、追加だよー」と次のシリアスが追加されていく

    この作品を一気に読めるか、分けないと読めないかで読者の性格とか性質がいくらか分析できそうだ。
    俺は分けないと無理だった。

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    2025年07月12日
  • 深紅

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    小学校の修学旅行の夜、先生に起こされて向かった監察医務院。そこには惨殺された父と母、そして幼い二人の弟の遺体があった。たった一人残された奏子は「私は生きていていいのか」と問い続けながら大学生に成長する。
    奏子の父への恨みからハンマーを振るった加害者は死刑囚となるが、彼にも同じ年の娘がいることを知った奏子は正体を隠して加害者の娘・未歩に近づいていく…。

    昔読んだ「破線のマリス」が面白かった記憶のある脚本家・野沢尚さんの手による小説。第22回吉川英治文学新人賞受賞作。
    小学生の奏子目線の第1章、死刑囚都築則夫目線の第2章、圧倒的な緊張感にぐいぐいと引きつけられる。

    被害者家族も加害者家族も形は

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    2025年06月22日
  • 破線のマリス

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    ニュース番組の女性編集者が、己の欺瞞と歪んだ正義感で身を滅ぼしていく。
    引き返すタイミングは何度もあったが、最後の一線を踏み越えてしまう。

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    2025年05月24日
  • 深紅

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    究極の経験をした者はこういう思考をすることもあるかと想像力を広げられた。登場人物に感情移入してしまうとどんどん辛くなってきたので、途中からは冷静に一歩引いた感覚で読むようにしていた。

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    2025年03月19日
  • 深紅

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    ネタバレ

    一家惨殺の生き残りの少女と、その犯人の娘を描く作品で、宮部みゆきを思い起こすような筆致の読み応えのある作品。ラストまで、どうなるんだろうと引き込まれる作品だったが、終わり方がちょっと物足りなかったかな。未歩は、生き残りの奏子だと気づいていたのかなとか思わなくもないような、でも匂わせもないし、とかそんなことを思った。

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    2024年12月31日
  • 深紅

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    この本の描写は正直苦手ではある、生々しい凄惨な情景、触れるとあてられそうな心の描写。どれも読んでいてとても重くしんどい。苦手だ。
    さらにストーリーが想像したくないぐらい濃密。
    しばらくは惚けてしまう。
    それぐらいの力を持ったこのお話、ということ

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    2024年11月24日
  • 深紅

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    ネタバレ

    一家惨殺のただ一人の生き残りの奏子と加害者の娘の未歩。奏子は未歩の抱える傷をえぐり出そうと同い年の加害者の娘に接近する。なのに近づいたことで、だんだん気持ちが変化していく。
    未歩の、暴力を受けたくて受けているのかも、父親から引き継がなければいけない罰のひとつ、という言葉が悲しい。まだ若いふたりが今後の困難を思うとため息が出るが、少しでも楽に生きていけるようにと思う。
    前半はスピード感がありページがどんどん進んだが後半は失速気味だったかも。

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    2024年11月16日
  • リミット

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    ネタバレ

    俺の好きなクライムサスペンス?もん。警察もん。

    身の毛のよだつような興奮。

    体の中心が熱くなる感覚。

    久しぶりやったけど、何度味わってもいいもんだ。

    女の狂気、女性の強さみたいなものが印象に残った。


    野沢尚いいなぁ〜。

    まだ若くして亡くなられていることが残念でならない。

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    2024年09月30日
  • 深紅

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    設定がとても興味深く一読に値する。
    タイトルの意味合いがやや弱いか。
    感情移入しやすい柔軟な表現にまわりくどくて抽象的フレーズが交じり合う。
    読むにつれ引き込まれ「この先がどうなる?」と飛ばし読み誘惑が発動するがもったいなさからちゃんと読むっていう。
    「落としどころはどうするのか」も気になって気づいたら読み終えてた。
    残念ながら著者の新刊はもう二度と夜に出ないが、別の作品を読んでみたくなった。

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    2024年07月16日
  • リミット

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    連続幼児誘拐事件の謎を追う警視庁捜査一課・特殊犯捜査係勤務の有働公子。婦人警官でなく、1人の母親として事件の当事者となってしまった彼女は、わが子を取り戻すため、犯人のみならず警視庁4万人を敵にまわしながら子供を救う母親の物語。

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    2024年01月05日
  • 破線のマリス

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    第43回江戸川乱歩賞受賞作品。作中たびたび登場する「主観的真実」という言葉が光る。前半は昭和感漂うチープなサスペンスドラマが続くが、後半から異様な雰囲気をまとった展開となる。525本の破線の「むこう」側と「こちら」側とに混濁し往来する遠藤瑶子の狂気していく様の描写が見事。

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    2023年12月31日
  • 破線のマリス

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    これは是非と言うことでお勧めされての一読。昭和の時代のビデオテープを使った映像編集が鍵となるミステリー。時代が変わり、機器も最新となっていっても、同じようなことは起きているのかなと。現代のフェイク動画などにも通ずる闇と狂気を感じる。

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    2023年09月17日
  • 深紅

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    惨殺事件の被害者の家族として一人残された奏子の苦しみ、痛み、悲しみ、憎しみが、本当に辛かった。加害者の一人残された未歩と出会ってしまった奏子の負の感情がどこまで落ちていってしまうのか、胸が苦しくなりながら先を急いで読んだ

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    2023年05月02日
  • 深紅

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    両親と弟2人を殺害されて生き残った長女は心の中に暗い闇を持ちながら生きていかざるを得ない。その彼女が加害者の娘を探し出した時に沸き起こる気持ちは復讐の気持ちなのか。ただ憎悪にまみれるだけでない、迷いや戸惑いはあるだろうという感じが見えながらのストーリー展開はスリリングで面白かった。ちょっと加害者側には甘いかなという感じも小説としてはよかったかもしれない。

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    2022年11月23日
  • ひたひたと

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    急逝の為、未完となった短編集のうち2作と“群生”という小説のプロットが収められた一冊。

    短編の2作は性的犯罪が絡んでいるので眉間に皺を寄せながら何とか読み進めた、といったところ。
    それでも、野沢氏がそういった犯罪をとても重く受け止めていることが感じられました。

    群生はプロットとは思えない完成度。
    罪を償うとは?という明確な定義が困難なテーマに迫っています。
    罪を償う、とりわけ人を殺めた罪を償うこととは?
    深く考えさせられる作品。

    これまで破線のマリス、真紅、砦なき者など野沢氏のミステリーはほとんど読みましたが読んでいる間は本当に心が暗くなります。
    どんよりしていくのを実感します。

    が、

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    2022年11月03日
  • 深紅

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    殺人事件の被害者家族と加害者家族の交錯する人生。
    結末がどうなるのかを考察しながら、最後まで楽しく読めました。

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    2022年10月22日
  • 深紅

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    前半の殺戮シーンは壮絶やけど、本来は、その後の話がメインなんやろな。

    家族が殺人事件に巻き込まれ、1人残った娘さんを中心とした話…
    しかも、被害者側だけでなく、加害者側にも1人…

    両者立場が正反対かもしれけど、本人らには何の罪もない…
    とはいえ、精神的には、かなりの痛手を被って…
    事件は、小学生の頃、時は流れ、多少の復帰はしたものの…

    生きてていいの?殺されて当然…
    色んな葛藤があって、徐々に、両者が近づいていく…まぁ、被害者側が近づいていくんやけど。

    これは、酷い…死刑宣告されても、自身の中は納得出来んものがある…それは、被害者側の娘も、加害者側の娘も…

    絶対、連帯保証人にはならん

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    2022年09月11日