野沢尚のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
インターネットのサイトで出会った男女5人が
自らの胸のうちに沈めこんだ秘密を打ち明けあう。
ある主婦は小学生の頃中学生にいたずらをされて以来男性恐怖症となり
犯人を恐れる気持ちとつきとめたいという気持ちがないまぜに。
なんとか結婚することができたある日、犯人とそっくりの男を見つけ…
作者急逝のため未完となった小説・プロット。
装丁:石倉ヒロユキ
秘密の友人の連作は完成させてほしかったです。
倒錯した感じが恐ろしくもあり興味深くもあり。
プロット「群青」もほとんど小説の形になってます。
でもストーリーの骨組みが出来ていても
やっぱり肉付けがされていないと物足りないですね。
本当に惜しい人を亡く -
Posted by ブクログ
12歳で成長を止めてしまった少年が、自分の存在の意味を知るために、母親を追い求める話。
設定がまず魅力的で、一気に読みました。
途中の政治的、宗教的な部分は大分斜め読みになってしまいましたが^^
15歳でも10歳でもない、12歳という年齢が切ないですね。思春期の入り口にずっと立ったまま友達の背中を見送り続ける心情って、どんなものなんだろう。
呼人が巡り会った母親に放つ言葉が痛くて切なかった。
遠ざかっていくみんなの背中を見送るしかないつらさが哀しかった。
ラストシーンで呼人が涙する姿は、読者に、今生きているということを大切にしろというメッセージを伝えている。
成長し、大人になった今、子どもであ -
Posted by ブクログ
場面転換の仕方や、誰の視点で語っているのか分からない描写や、勢いのあるリズミカルな台詞使いが、脚本家だなと思わせる作品でした。
台詞の一つ一つが強く、印象に残る文章も多かったです。
夢を追うことの輝きや、挫折することのつらさ、人を踏み台にすることへの想いや、いつか自分がそうされることの切なさが、残酷なまでに冷静に描写されていて、引き込まれました。
修吉の去り際の格好良さと、一矢のラストソングに込める想いが熱く語られています。これぞ青春小説といった感じでしょうか。
修吉のような激しい人は魅力的ですが、実在したらあまり関わりたくはないですね^^
今後の彼らの幸せを祈りたくなるような物語でした。 -
Posted by ブクログ
【十二の深い傷跡を全身に刻んだ女のこと。少年に悪戯され暗転した小四の夏のこと。五角形の部屋で互いの胸の奥に封じ込めていた秘密を明かしたとき、辿り着くのは―急逝を惜しまれた著者最後の作品集。まさに着手寸前だった長編『群生』のプロット200枚も収録!野沢ミステリーが目指した高みが迫る。】
まずは、私が読んだのは文庫本ではなかったので『郡生』は収録されておらず。
この本が野沢さんの遺作という事になるんですよね。残念。
五角形の部屋で秘密を打ち明ける・・・。おそらくあと2人(もしくは3人)分のエピソードが続くはず。
そして、主催者の意図するところも。野沢さんがどのような着地点を用意していたのか、と