野沢尚のレビュー一覧
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江戸川乱歩賞の「破線のマリス」は面白かった。その後も評判のいい本があったので買ってきて積んでいたが、この「深紅」がミステリを語る中で何度も目に入ったので読んでみた。衝撃的な出だしからすっかり夢中になって時間を忘れて最後まで読んでしまった。
目次は第一章から第五章まである。
まず第一章
事件が起きたとき修学旅行で信州の高原にいた小学校六年生の秋葉奏子(かなこ)の話。
旧友たちとふざけながら寝る用意をしていた時、緊張した気配で担任が部屋に入ってきて、すぐ自宅に帰れと言った。よくない予感がしたが、付き添われて高速道路を使って帰ってきた。行き先が監察医務院だと言う。不安は的中して、霊安室で両親 -
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ネタバレ破線のマリス/野沢尚:第43回大賞受賞。1997年
マリスとはTVの送り手側の作為とか悪意。
映像技術者の瑤子は、バツイチ。息子は元夫がひきとった。世田谷の助教授殺人事件を、怪しくみえる妻が犯人のように見せる映像を番組で流す。これに関しては妻が自首。自分の感覚に自信を持つ瑤子。
弁護士が殺され、郵政省の春名から告発ビデオを渡される。取り調べの後の警察署前で2秒の笑顔を見せた麻生が犯人だと思う。瑤子の映像をきっかけに、家族も離れ、仕事も左遷に。謝れと瑤子につきまとう麻生。隠し撮りされたビデオも届き、瑤子の精神は不安定となる。盛り上がりー。
とうとう麻生を殺してしまうわけだが。盗撮ビデオは違うんだ -
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野沢尚のデビュー作でもあり、のちに映画化されたときには脚本も担当している。
タイトルにある「マリス」とは英語の法律用語で<悪意>という意味である。
メディア関連の仕事をしていただけあって、主人公を取り巻く環境や状況、描写にはリアリティがあった。
中盤までは一気に読ませる展開で、どんな結末が待っているのだろうと思っていたら、後半はつじつま合せのような展開で残念な思いをした。
前半部分が面白かっただけに余計にそう感じたのかもしれないが。
主人公が怯えていた存在が明らかになったときには「えっ?」となる結末で驚かされた。
映像は果たしていつも真実を伝えているのだろうか?
制作側に明確な意図があれば簡