【感想・ネタバレ】魔笛のレビュー

あらすじ

白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ! 2000個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事・鳴尾良輔(なるおりょうすけ)は実行犯の照屋礼子(てるやれいこ)を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。人間心理の深奥に迫る野沢ミステリーの白眉。

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Posted by ブクログ

脚本家なだけあって描写が映画かドラマを見ているようでした。
面白い。
照屋礼子が鳴尾良輔を選んでおいて、最終的に自らの手で終わらせたことに脚本家としての嘆きを垣間見た気がした。

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2021年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

10ページをすぎたところで爆弾テロのシーン。
それから10ページにわたって、ここの死の様子を延々と読む羽目になり、これはつらいと思ったのだが。
案に相違して、読む手が止まらなかった。

信徒を使って爆弾テロを行った新興宗教。
死刑を言い渡された教祖と、逮捕された幹部信者の他に、報道されてはいないが潜伏を続ける信者がいる。
照屋礼子、彼女は公安のスパイだった。

公安のスパイではあるが、潜伏するためには信者に成りすまさなければならない。
一番つらい修行を積極的に受けることで、彼女は教団の疑いをはらしたものの、徐々に彼女の中で二つの顔が均衡を崩し始める。
いや、過剰に均衡を取りはじめるといった方が良いか。

「メシア神道」とは、教祖・坂上輪水の迷妄に世界中の宗教を切り張りしたものが、時代の閉塞感の中で居場所を求める人たちに圧倒的に支持されて急速に巨大化した新興宗教。
それは、思うにまかせぬ世の中に対する恨みや苛立ちを糧として育ち、武装したことによる高揚感で過激な行動に踏み出してしまったことで有名になってしまったもの。

ただ、彼女の行動のおぞましさは、教団に潜入したからというわけではないことが後半わかってくる。
彼女の心の闇が、一体どこから生まれたものなのかはともかく、彼女はそんな自分を受け入れることも切り捨てることも出来なかった。
だから賭けた。
自分は生きのびていいのか、生きていてはいけないのかの判断を、鳴尾良輔という一人の刑事に。

それと並行して鳴尾と妻である安住籐子の物語が紡がれる。
400ページ強、膨大な情報量と重苦しい世界観。
読み終えたとき、駆け抜けた満足感ったらなかったよ。

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2020年11月05日

Posted by ブクログ

著者の作品はもうだいぶ前の「リミット」以来。 とにかく面白かった。止まらなかった。 90年代の日本社会事象の総復習+人間の情念+希望+スピード+映像。 それまでの布石が全て繋がる後半のストーリー展開、唸ります。 この作品って、映像にはなってるんですか? かつじでも映像感満載。でも、敢えて、映像にはなって欲しくないし、やっぱり無理でしょう!

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2018年05月01日

Posted by ブクログ

絶品!!
手記の独特な読みづらさがあり、とにかく読まされる。でも何故か読んでしまってページが進まない。が…面白い!
ラストに向かう臨場感は他に無いくらい凄かった。
正義って何を定義しているのか考える本であった。
わたし的に「信じる者は救われる」って言葉は宗教的な観点であるっていうことが理解できた本。

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2017年08月27日

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再読。これがデビューして間もない作品だったなんて、すごいなあ。何で死んじゃったんだろう。いろいろ圧力がかかったのではと思えてならない。書きすぎる作家として。。。

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2015年12月08日

Posted by ブクログ

最後がハラハラさせられる作品だった。鳴尾と真杉の関係、鳴尾と籐子の関係、鳴尾と礼子の関係が上手く描かれていた。

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2012年12月03日

Posted by ブクログ

これは、死刑囚「照屋礼子」による手記である。

警察・公安・宗教団体、三つの組織が織り成す関係。
どの人物が誰に対して、どのような精神が彼・彼女に魔笛を吹いてしまったのか。

様々な精神異常者達の持つドロドロとした心理が
面白い。

メシア神道は何かを敵にすることで存続してきた。
そのような宗教に入っている人達も、何かを敵にするように生きている。それでしか生きていけない。
そのように生きることで、奇跡が起こると信じている。しかし、人々の人生には様々な地点に奇跡は落ちている。そういった物に気づけるように生きたい。
そういった物に気づくことが出来れば…。

これは死刑囚「照屋礼子」による手記である。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

うわっ!映画してる!エンターテイメントしてる!
クライマックスを映画館で観てる自分がある!って感じ。
クライマックスは、3ヶ所同時!巧妙に仕掛けられた罠に対峙しながら!
さぁ、それぞれ、活路を開けるか!
カルト宗教、警察、公安とが、絡まって…なかなか面白いストーリー!
この作者は、脚本家やねんな。どうりで、映像が目に浮かぶ感じがすると思った。なかなかでした。

PS:
読みやすいし、面白いんやけど、なかなかページが進まないのは何故?

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2021年01月23日

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野沢尚 著「魔笛」、2002.9刊行、2004.9文庫。大作です。読み応えがあると同時に、読むのにとても時間がかかりました(10日間)。新興宗教とテロがひとつの軸(オウムの事件がベースか)。獄中の教祖坂水輪水に心服し爆弾テロを次々に仕掛ける照屋礼子38歳。獄中の女性安住籐子と結婚した刑事鳴尾良輔、これがもうひとつの軸。この二つの軸が交差するとき、それがこの物語のクライマックス。

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2020年03月31日

Posted by ブクログ

普通に生きていたら沸かないであろう感情や判断が次から次へと表れる。無慈悲と言うべきか、恐ろしい事が起きているはずなのに、現実離れしていてどこか他人事のようにあっという間に読めてしまった。犯人が語り部な作品を読み慣れていないためか、初めは違和感こそあったがすんなり読めてしまうあたり、物語としての完成度は高い。タイトルの意味もまた恐ろしさを引き立てていて良い。

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2020年01月22日

Posted by ブクログ

流石脚本家出身だけあって、構成が映画を見ているように感じた。プロットも完璧に近く面白かったが、照屋礼子の小学校時代の凶行の必然性があまり無いように思い、その点だけが残念。

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2019年03月02日

Posted by ブクログ

読むのに疲れた一冊、でも読んでよかったと思う一冊でした。ストリーテラーが追われている犯人というのが興味深かった。そして否が応でもオウムの事件が頭をよぎってしまう。フィクションでありノンフィクションでもある、と。照屋礼子の執念が恐ろしかった。

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2018年12月07日

Posted by ブクログ

2015/07/01 -07/07
人間心理の深奥に迫る野沢ミステリーの白眉
白昼の渋谷を襲った無差別爆弾テロ!爆風を背に立ち去ったのは、公安が過激な教団に送り込んでいた女だった。何が彼女を変えたのか?
白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ!2千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔(なるおりょうすけ)は実行犯の照屋礼子(てるやれいこ)を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。迫真の野沢サスペンス。

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2015年07月07日

Posted by ブクログ

ラストに向かう三つ巴の終盤は圧巻。あの盛り上が
りに関しては自分が読んだ中では他に無いくらい
凄かった。締めは野沢さんに重なって切ないすね。

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2014年05月14日

Posted by ブクログ

『なるなるなるなり』

読みづらく、ただただ疲れた。なのに、面白いから投げ出すこともできなくて、辛い読書だった。

手記でいて全く手記らしくなく、なんか、そもそも手記らしく書く必要もなくて、物語は面白いのに構成がよくなかった。

もう読みたくはないが面白かった。

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2014年05月03日

Posted by ブクログ

野沢尚は 読みやすく 映像が浮かびやすい
文章を書く 作者だった。
ただ この魔笛は ちょっと 違った。

なぜ 照屋礼子の 手記で 書かれなくてはいけないのか。
そのことで 鳴尾と 藤子のことが 浮き彫りになるからだろうか。
照屋礼子の視点から見ると やはり全貌が見えないね。

オウム真理教という事実の中に
様々な素材があって、創作意欲を
湧き立てることになるのだろう。

自分の救済をはかろうとして
無差別殺人に 発展するのか?
ということだろう。

照屋礼子は、公安の捜査員だった。
坂上輪水が創設した新興宗教に、潜入した。
それが、無差別殺人の渋谷爆発犯となる。
なぜ、そうなったのか?

それを追い詰める鳴尾刑事。
それに協力する獄中結婚した鳴尾の妻 安住籐子。

照屋礼子の独白で、この事件を説明して行くのだが、
意外とまだるっこしいのだ。

照屋礼子は 何をしたかったのだろうか?
坂上輪水 を慕うことで 爆発犯になったのか。
よくみえない。
そして、なぜ 鳴尾をターゲットにするのか。
ジェラシー?

公安としての論理が はっきりしていて
それが 魔笛の 論理を 明らかにする。
鳴尾の 情理が 打ち破る。
公安の論理とヒトの情理のぶつかり合い。

この物語は 野沢尚として、よく勉強をしたあとが見える。
野沢尚の綿密な物語の作り方に、さらに、詳しくした。
野沢尚は登場人物の経歴書を作り、その人物のプロフィールから
キャラクターを作り上げていことで、物語の安定性を作る。
リアリティとはそういうところから生まれる。
シナリオとは、その手法によってしか整合性と
調和性を作り上げることができないのだ。

爆発犯であるが故に 爆弾のことを勉強した。
メシア神道であるが故に 神道と仏教、そして新興宗教とは。
新興宗教からいかにテロリズムが生まれるのか?
公安の仕組みと 公安捜査員が洗脳されていく様。
照屋礼子という存在から、沖縄の米軍犯罪の歴史。
照屋礼子の企みをしられないための公安の隠蔽体質。
それを追いかけるために 獄中結婚というありかた。
(ここは、ちょっと無理があるのであるが)

そこまでの素材の上に組み立てられている。
読者にお勉強してもらわないと、物語が成り立たないのだ。

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2013年09月17日

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ネタバレ

渋谷で爆破テロ。鉄球が炸裂。なぜかそこにはビーズも・・・ 犯人は元公安捜査員の照屋礼子。彼女は新興宗教に潜入したはずだったが・・・獄中の妻とともに照屋と戦う主人公の鳴尾刑事。なかなか面白い。 

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2017年01月14日

Posted by ブクログ

序盤のページは、会話文が少ないせいか、ほぼ文字で埋め尽くされていて、読むのに時間がかかった。爆弾の中身の説明や宗教の説明など難しいところはほぼ斜め読み(^^;
半分くらい読んでからはスピードアップ!
決戦の日に入ってからは面白かったけど、手記により結末が分かるのでハラハラ感はなかったかな…
全体的に難しかった。なぜ鳴尾刑事はあの情報だけで目的地が分かったのか?難しすぎるよ。

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2023年11月23日

Posted by ブクログ

新興宗教の教祖に死刑判決が下された瞬間、白昼の渋谷は無差別爆弾テロに襲われた。
その犯人は公安が教団に送り込んでいた女潜入捜査官照屋礼子だった。
刑事の鳴尾が実行犯の照屋礼子を追い、礼子を送り込んだ公安は面子を保つために躍起となる。

前半はかなり読みづらかったが、後半は何とかスピードアップで読み終えました。
及第点。

公安が送り込んだ潜入捜査官照屋礼子の冷静さと追う刑事の鳴尾の泥臭さは結構魅力的だが
ストーリーとしてはイマイチ繋がらない部分が多数あるのが残念。

第一に話は照屋礼子の刑務所収監後に書き記した文章で進むが、その設定にこだわる理由が不明だ。
収監後の面会等でヒアリングをしたと書いているが、追う警察側の情報をしっかり書き込むのには不自然である。
普通に第三者の俯瞰として書いた方が良いと感じた。
また、そうすることで最後には礼子は死なずに逮捕される事が自明になるので、最後の追跡劇の部分が少々しらけ気味に感じた。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

読み応えのある一冊。
前半は某宗教団体の事件を思い出してしまうところもありましたが、後半は緊迫感が伝わってきてハラハラする場面もあり、映画を見ているかのような描写や展開が面白くて引き込まれました。

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2020年06月30日

Posted by ブクログ

オウム事件を思い出させるような背景、教祖が捕まった後信者と思われる犯人が爆弾テロを起こす。犯人の背景と犯人が認めたはぐれ警官の攻防。
人を洗脳して、どんどん考え方を変えていく方法の描写は興味深かったな。教団内部ではこんな事が行われていたのかとイメージが膨らみ、楽しい。公安が自分らの存在感を高めるために悪を作り出す構図もしょうもない集団の考えそうなことで、あり得るねえと感心してしまう。
もう一人の主人公とも言える爆弾処理班の人もカッコイい。

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2018年05月16日

Posted by ブクログ

刑事と獄中のその妻のやり取りは置いといて。
冒頭のテロの描写から引き込まれて終盤の緊張感とスピード感はなかなか読み応えがあった。
しかし遥ちゃんに対する父親の所業は展開に必要とはいえキツい、ここだけは苦手。
けっこう色々見たことのある映像の脚本家だったんですね、作者小説初読みでなかなかすごい描き方。
残されている小説を色々読んでみようかな。

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2018年03月13日

Posted by ブクログ

宗教ものとかサイコパスものが好きなので興味があり。
手記として話が進むのになぜ警察内部の状況とかもこんなに鮮明に描けるのかとか、獄中の妻が何でこんな冴え渡った隠れた名探偵的ポジションやねんとかちょっと突っ込みたくなるところはあったものの、ラストの逮捕までのくだりは映像ばえしそうな疾走感ある感じやったなーとおもう

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2017年10月14日

Posted by ブクログ

この世の中には正義は存在しない。公安もカルト教団も同じ。犯罪者も警察も同じ。ただ立場が違うだけ。
終盤、緊張感高まる3場面の展開はまるで臨場感のある映像を見ているようだった。

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2015年07月21日

Posted by ブクログ

物語が照屋礼子の手記という形になっていることが面白い。鳴尾と安住藤子の関係が理解はできないが設定としては面白い。ずしりと読み応えのある一冊だが照屋礼子の心情は理解し難い。

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2015年03月10日

Posted by ブクログ

渋谷の交差点の無差別爆弾テロとオウムを彷彿とさせる宗教教団(でも教祖は女性)、元夫殺害の罪で服役中の女性と婚姻関係にある刑事、そして公安、と盛りだくさんで少し食傷気味ですが、一気に読んでしまいました。
ただ、個人的には服役中の奥さんに(法を犯してまで)アームチェアディテクティブをやらせた経緯がよくわからず、余分だったような気がします。
結末は「ミイラ取がミイラになった」、、というより「ミイラ取だと思って送り込んだミイラ取が実はミイラだった」という感じでしょうかね。

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2015年02月05日

Posted by ブクログ

突如発生した、渋谷交差点での爆破テロ。宗教団体との関連が取り沙汰されるなか、テロリストの守屋礼子は、元公安の潜入捜査員だった。犯人のメッセージにただ一人気づいた刑事、 は、彼女とのゲームに巻き込まれていく。

前半は背景の説明に紙数をさかれて冗長な感じだったけど、後半の対決モードになってからは一気に読めました。狂った爆弾魔と一徹な正義という対立に加え、警察組織の確執が混じり合うなか、主人公の熱意には感心しました。
狂気にかられた宗教団体、面子にこだわる組織、獄中の支援者など、どこかで見たような要素を貼りあわせたストーリーに感じられなくもないですが、爆弾に対する詳述など、著者のこだわりも随所に感じることができます。
まーケツ爆弾なんて本当に作れるのかって感じですが、絶対にこんな死に方したくないです。

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2013年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何ていうか、読んでてものすごい疲れるというか、消耗させられた作品。

そんなことってあるの?
・・いや、この作品を読むとないとは言い切れないような・・気がする。

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2013年06月17日

Posted by ブクログ

―――白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ!
二千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。
新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔は
実行犯の照屋礼子を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。
迫真の野沢サスペンス。


借りもん
初めて野沢 尚を読んだ
でも彼はもうこの世にいないらしい

「クレイモア」と言えば伝わる人もいるかもしれない。
無数の鋼鉄球を爆弾と一緒に仕掛けて、全方位への殺傷能力を高めたもの

この兵器の解説を筆頭に、関連事象への圧倒的な情報量とその密度
そしてストーリー展開のスピード感が魅力の小説

最初がちょっと取っつきにくいのと
終盤ちょっとだけグダったのを除けばハラハラして面白かった

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2012年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オウムがモデルみたいです。
テロリストとそれを追う刑事。
テロリストは新興宗教団体の内部を調査するために送った警察の公安の人物。
という、警察内部のグチャグチャを書いた、ちょっと重めの内容。
野沢作品は、血の書き方が超リアルでグロテスクなんですよねー。
痛いってばーって感じ。(笑)
宗教のマインドコントロールについては、理解しにくいです。
理解できないから、読んでても「え、ここでそうなっちゃいます?」って感じ。

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2012年12月17日

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